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第52話 銀月大虎 異世界に到着する
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「うっ!ここは・・・?」
身体の激しい痛みを感じて目を覚ます銀月大虎。
起き上がれないほどの激痛に顔を歪ませる。
「ぐっ!自己回復しないだと?」
銀月大虎は『邪法』を行使しようとして気付いた。
「自分の邪気を感じない?そんな馬鹿な」
再度発動させようとするが全く反応がない。
「これは『幻界の幽鬼』とかいう奴の呪いか何か?」
銀月大虎は動かせる首だけ動かし周りを見渡す。
「少なくともどこかしらには転移はしているようだな」
転移する前は崩壊した校舎の中だったのが、周りには木々に覆われた場所、切り刻まれて倒壊しているそれほど大きくない建物。
辺りに無数の死体が転がっている。
「ぐっ!この程度の傷で動けなくなるなんて、これじゃあ、まる、で、」
俺は半分悪魔で半分人間だ。それでも心臓を貫かれた程度では死なないくらいの身体を持っていたはず。なのにこの程度の傷で動けなくなるなんて、まるで人間の体になってしまったかのように。
そう考えた時、自分の心にざわめきを感じたが今は無視する。
「はあ、誰か生き残りはいないのか?」
力が入らず寝そべっていると地面から体に振動が伝わってくる。
「これは車・・・じゃないな、人か?いや馬か?複数こちらに近づいてきているのか?」
とりあえずある程度の事情を説明して手を借りよう。
できれば盗賊のような話が通じない連中でない事は祈って。
しばらくすると全員が同じ白い鎧を身に纏い統制の取れた動きをする集団がやって来た。
少なくとも盗賊のような連中には出来ない動きだ。
俺は最後の力を振り絞り手を上げて生きている事をアピールする。
この場で起こった事件を引き起こした犯人の仲間かと疑われるかもしれないがいきなり殺される事はない。
傷を治療して貰ってから事情を説明するか逃げ出せばいい。
・・・そんな悠長な事を考えていた自分を殴りたくなる!
気が付くと治療どころか衛生管理の行き届いてない汚れた牢にブチ込まれていた。
確か、生きている事をアピールした時に集団の中の三人が近寄って、それで気を失う前に見た最後の光景は、その三人組が鞘に収まったままの剣を振りかぶっている姿だった。
それから毎日取り調べという名の暴力を受け続けた。
日の光も入ってこない牢で手錠も一日中外される事もなく、トイレも穴も何もない、ただ牢の端で垂れ流せと言われ、食事も牢の中に投げ込まれて汚い床に落ちたパン一つ。寝る時は目隠し、耳栓、足に追加の枷を嵌められ、牢の床に体を固定される。風呂はなし。
毎日毎日、『お前は帝国の人間だ!』『お前が殺したんだ!』と決めつけられていて、こちらの意見を聞いてくれないどころか、何かを喋ろうとすると『口答えするな』と言われ殴られる。
何日も何日も暴力を受け続ける。
『全人類の皆さん馬鹿にして申し訳なかった!人間の体の耐久力結構あるな!』
こんな扱いを受ければ二、三日持たずに死んでしまうと思っていたが、しぶとく生き残れている。
何日?何週間?
そんな暴力を受け続ける毎日を送っていたある日、いつも暴力を振るってきた兵士に『お前の処刑日が決まった』と一方的に告げられた。
まずい!!!このままでは・・・殺される!!!
しかし、逃げ出そうにも今の俺は歩くのもキツい。身体がこちらの世界に来てから思うように動かない。どうやら身体に受けた傷だけが原因ではないようだ。
そして、何も出来ないまま、処刑日が来てしまった。
最後の食事だと言われて、いつもはパン一つだが二つになっていた。
目隠しをされ、首輪を嵌められ、首輪につけられた鎖を兵士に引っ張られて移動する。
その後、何故か兵舎にある風呂場に案内され、風呂に入らされた。どうやら『処刑人』が汚ならしい今の俺に触れたくないと言ってきたらしい。
体を洗い終えると処刑場にそのまま連れて行かれた。
逃げ出す隙がない!助けも・・・あるわけないか。
そして目隠しだけを外されると一本道の通路に立たされていた。
後ろには槍を構える複数の兵士、前に進むしかない。
俺は思うように動かない体で懸命に進んでいく。通路を抜けると、広い空間に出た。
そして数万人以上の人間が視界に入ってきた。
『これは、ドームか?』
銀月大虎が思考していると、
「久し振りだな~、銀蝿野郎~、まさかてめえも『こっちの世界』に来ているとは思わなかったぜ」
気が付くと正面に一人の男が立っていた。そしてその男の着ている服が自分も通っている学校の制服である事に気づく。
「お前・・・地球から来た人間か?なら、月島の居場所を、『アイツ』の居場所を知っているんだろ!教えてくれ!」
正面に立っていた男の顔が今までニヤニヤと笑っていたのがドンドン表情が変わっていく。
あれ?何かおかしな事でも聞いたか?
「てめえ!俺を!この田島 獅子王丸(タノシマ シシオウマル)を知らない訳じゃねえだろ!」
何故か自己紹介された???
そっちも名を名乗れと言いたいのか???
「俺は隣のクラスの銀月 大虎(ギンゲツ タイガ)だ。すまないが月島 竜一(ツキシマ リュウイチ)と射光矢 月下美人(イルミ ハニー)・・・そしてアプリコット=C=白河(シラカワ)に会いたいんだ!今どこにいる?会わせてくれ!」
田島がプルプルと体を震わせている。顔は下を向いて見えないがどうしたんだろうか?笑われたのか俺?
「まさか俺を覚えていないのかあああああああ!!!ぶっ殺すぞ!!!てめえええええええ!!!」
あれ?なんか怒らせた?
身体の激しい痛みを感じて目を覚ます銀月大虎。
起き上がれないほどの激痛に顔を歪ませる。
「ぐっ!自己回復しないだと?」
銀月大虎は『邪法』を行使しようとして気付いた。
「自分の邪気を感じない?そんな馬鹿な」
再度発動させようとするが全く反応がない。
「これは『幻界の幽鬼』とかいう奴の呪いか何か?」
銀月大虎は動かせる首だけ動かし周りを見渡す。
「少なくともどこかしらには転移はしているようだな」
転移する前は崩壊した校舎の中だったのが、周りには木々に覆われた場所、切り刻まれて倒壊しているそれほど大きくない建物。
辺りに無数の死体が転がっている。
「ぐっ!この程度の傷で動けなくなるなんて、これじゃあ、まる、で、」
俺は半分悪魔で半分人間だ。それでも心臓を貫かれた程度では死なないくらいの身体を持っていたはず。なのにこの程度の傷で動けなくなるなんて、まるで人間の体になってしまったかのように。
そう考えた時、自分の心にざわめきを感じたが今は無視する。
「はあ、誰か生き残りはいないのか?」
力が入らず寝そべっていると地面から体に振動が伝わってくる。
「これは車・・・じゃないな、人か?いや馬か?複数こちらに近づいてきているのか?」
とりあえずある程度の事情を説明して手を借りよう。
できれば盗賊のような話が通じない連中でない事は祈って。
しばらくすると全員が同じ白い鎧を身に纏い統制の取れた動きをする集団がやって来た。
少なくとも盗賊のような連中には出来ない動きだ。
俺は最後の力を振り絞り手を上げて生きている事をアピールする。
この場で起こった事件を引き起こした犯人の仲間かと疑われるかもしれないがいきなり殺される事はない。
傷を治療して貰ってから事情を説明するか逃げ出せばいい。
・・・そんな悠長な事を考えていた自分を殴りたくなる!
気が付くと治療どころか衛生管理の行き届いてない汚れた牢にブチ込まれていた。
確か、生きている事をアピールした時に集団の中の三人が近寄って、それで気を失う前に見た最後の光景は、その三人組が鞘に収まったままの剣を振りかぶっている姿だった。
それから毎日取り調べという名の暴力を受け続けた。
日の光も入ってこない牢で手錠も一日中外される事もなく、トイレも穴も何もない、ただ牢の端で垂れ流せと言われ、食事も牢の中に投げ込まれて汚い床に落ちたパン一つ。寝る時は目隠し、耳栓、足に追加の枷を嵌められ、牢の床に体を固定される。風呂はなし。
毎日毎日、『お前は帝国の人間だ!』『お前が殺したんだ!』と決めつけられていて、こちらの意見を聞いてくれないどころか、何かを喋ろうとすると『口答えするな』と言われ殴られる。
何日も何日も暴力を受け続ける。
『全人類の皆さん馬鹿にして申し訳なかった!人間の体の耐久力結構あるな!』
こんな扱いを受ければ二、三日持たずに死んでしまうと思っていたが、しぶとく生き残れている。
何日?何週間?
そんな暴力を受け続ける毎日を送っていたある日、いつも暴力を振るってきた兵士に『お前の処刑日が決まった』と一方的に告げられた。
まずい!!!このままでは・・・殺される!!!
しかし、逃げ出そうにも今の俺は歩くのもキツい。身体がこちらの世界に来てから思うように動かない。どうやら身体に受けた傷だけが原因ではないようだ。
そして、何も出来ないまま、処刑日が来てしまった。
最後の食事だと言われて、いつもはパン一つだが二つになっていた。
目隠しをされ、首輪を嵌められ、首輪につけられた鎖を兵士に引っ張られて移動する。
その後、何故か兵舎にある風呂場に案内され、風呂に入らされた。どうやら『処刑人』が汚ならしい今の俺に触れたくないと言ってきたらしい。
体を洗い終えると処刑場にそのまま連れて行かれた。
逃げ出す隙がない!助けも・・・あるわけないか。
そして目隠しだけを外されると一本道の通路に立たされていた。
後ろには槍を構える複数の兵士、前に進むしかない。
俺は思うように動かない体で懸命に進んでいく。通路を抜けると、広い空間に出た。
そして数万人以上の人間が視界に入ってきた。
『これは、ドームか?』
銀月大虎が思考していると、
「久し振りだな~、銀蝿野郎~、まさかてめえも『こっちの世界』に来ているとは思わなかったぜ」
気が付くと正面に一人の男が立っていた。そしてその男の着ている服が自分も通っている学校の制服である事に気づく。
「お前・・・地球から来た人間か?なら、月島の居場所を、『アイツ』の居場所を知っているんだろ!教えてくれ!」
正面に立っていた男の顔が今までニヤニヤと笑っていたのがドンドン表情が変わっていく。
あれ?何かおかしな事でも聞いたか?
「てめえ!俺を!この田島 獅子王丸(タノシマ シシオウマル)を知らない訳じゃねえだろ!」
何故か自己紹介された???
そっちも名を名乗れと言いたいのか???
「俺は隣のクラスの銀月 大虎(ギンゲツ タイガ)だ。すまないが月島 竜一(ツキシマ リュウイチ)と射光矢 月下美人(イルミ ハニー)・・・そしてアプリコット=C=白河(シラカワ)に会いたいんだ!今どこにいる?会わせてくれ!」
田島がプルプルと体を震わせている。顔は下を向いて見えないがどうしたんだろうか?笑われたのか俺?
「まさか俺を覚えていないのかあああああああ!!!ぶっ殺すぞ!!!てめえええええええ!!!」
あれ?なんか怒らせた?
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