役立たずの俺は異世界で「取得」と呼ばれるスキルで成り上がります

雪塚 ゆず

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第四章 魔法使いと大会

第五十一話 悲劇2(ルリィー視点)

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私達はその後…街にたどり着いた。
生きていくすべも知らなかった子供はろくな事など出来ない。
私達は盗みを働いた…
やっちゃいけないとは分かってた。
けど…
生きていくにはこれしか方法が見つからないの。
だけどある日、捕まった。

「きゃあっ…」
「お前、何者だ!?」

抑えつけられ、身動きが出来たものでななかった。
私を取り押さえたのは…男の子だった。
盗んだ物が地面に転がった。
あれは…アイシャとリサーナが食べる分!
男の子をとっさに睨んだ。

「…っ!」

たじろいたが、離しはしない。

「はっ…なして!」
「おいっ!暴れるなっ…」
「凍てつく氷よ…我に…力を」
「え!?お前、それ…」
「アイスクラッシュ!!」

パキィッ!

「魔法…?」
「………」

男の子は防御壁を張っていた。
私の攻撃は貫通しない。
だが、拘束は解けた。
早く…逃げなきゃ。

「おいっ!待てよっ!」
「…っ!」
「お前、ギルドに入らないか!?」
「…?」

不意に足が止まった。
ゆっくりと振り返る。
ギルド…師匠に聞いたことがあった。
そこでは依頼をこなせばお金が貰えるって。

「あなた…誰?」
「僕はボルク。ボルク・ナインリィだよ」
「私、は…」

ここで名乗るか迷った。
もしかしたら捕まるかも…?

「一回詳しく聞かせて」
「…!分かった」

分かった事。
ボルクはギルド《銀狼の息吹》に所属している孤児らしい。
そこでは食いっぱぐれることはない…らしい。
幸い魔法が使えれば入れるらしい。
リサーナも、アイシャも。
そして私も。
魔法が使える…!

「入る!入るわ!!」
「う…うん。分かったよ」

後ずさりするボルクをほっといて胸をなで下ろした。
これで盗む必要は無くなる。
助かるんだ…

「一回寝床に戻るわね。じゃあ」
「…ぜひ来てね!」
「もちろんよ」

早く、伝えたかった。
仕事が見つかった。これからはひもじさを味わうことはないんだよって…
だけど…遅すぎた。
















「ただいま!リサーナ、アイシャ…え?」
「…おかえり、ルリィー」

私達の寝床。
路地裏の隅っこだけど…ここまで荒れたとこじゃなかったはず…
それに、アイシャがいない。

「ね、ねえ、リサーナ、何が…あったの?」
「………」

うつむいて黙ったままのリサーナ。
思わず肩に手を乗せる。

「リサ…」
「触らないでっ!!」
「いたっ…」

手をはじかれた。
リサーナ…え?

「はあ…はあ…」
「そ、その腕…………っ」

その腕。
血まみれで、ただれた腕。
手には…紋章があった。
なに、それ。

「…アイシャは、無事。寝てる」
「え、ちょっ」

確かに目をこらせば隅のほうに縮こまっているアイシャが目に入った。

「私…働く場所見つけたのよ!!ギルドっていってね…それで…もう、盗まなくていいんだよ」
「…ルリィー」
「リサ…」
「ごめん、私、行けない」
「え…?」

静かにポツリとつぶやいた。
しばらく、動けなかった。

「私…魔法団に入ることになったの。だから、行けない」
「え、な、なんで?ギルドがあるんだよ…?」
「………」
「それに魔法団って…師匠を殺したとこじゃないっ!!」

魔法団とは。
魔法使いでありながらも盗みや犯罪を働く者達の集い。
なんでリサーナが…

「じゃあ、ね」
「リッリサーナッ!」
「もう、縁は切りましょう…私達は、家族じゃない」
「リサーナァァァアアアア!!」

叫んでも叫んでもリサーナは振り返らなかった。
戻って来て…戻って来てよ。
リサーナ…

















「なんで…こんな所にっ…」

再び疑問を口に出すと、リサーナはクスリと笑う。

「さあ?運命ってもんじゃない?」
「…っ」

ぎり、と杖を持つ手に力が入った。
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