役立たずの俺は異世界で「取得」と呼ばれるスキルで成り上がります

雪塚 ゆず

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第四章 魔法使いと大会

第五十三話 真実(アイシャ視点)

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私は…人攫いに捕まって奴隷になった。
もともと平凡な町娘に抗う力などありゃしない。
あっという間に檻の中。
そこで会ったのが…リサーナとルリィー。
後にリサとルリと呼ぶようになる姉達だった。
私達は馬車に乗って奴隷市場に行ってる最中…魔族に襲われた。
幸い持ち主は死に至り、魔族は去っていったが…私達の鎖はとれないいままだった。
そこで、師匠と出会う。
私達を助け出してくれた師匠はプロの魔法使いだったらしく、魔法を教わった。
沢山教えてもらって、技術を身につけた。
だけど…
ある日、魔法団という人達がやってきて、師匠を殺した。
三人で、無我夢中で逃げた。
苦しい。涙が飛び出た。
まさに、悲劇という名がふさわしい。
それから街にたどり着いて、路地裏に住み込んだ。
私は体が弱かった。
私を気遣ってリサやルリは盗みを働いた。薬もとってきた。
そんな二人を見てるととっても苦しい。
そして、その日はやってきた。











「…ここか?」
「誰!?」

男の低い声が響いて、思わず声をあげたリサ。
それに目を凝らすと…
魔法団の男だと分かった。

「おっ…お前はっ…!!」

リサが杖を構えようとしたが、弾き飛ばされた。
私は恐怖でうずくまることしか出来ない。
男はリサの首もとに杖を突きつけ、静かに言う。

「お前は…リサーナ・アントニオで間違いないな?」
「ーーーーっ!!」

リサが、肩をこわばらせた。

「アントニオ…アントニオ一族には莫大な魔力が眠っていると聞いてな。その魔力、我がボスの糧にしてもらおう」
「ふざけるな…!誰がそんなものに…!」
「頭の固い一族だな」
「え?」

気がついたら、男が私を押さえ込んでいた。
なにがなんだか、全く分からなかった。
呆気にとられるリサの顔がチラリと見えた。

「コイツを殺させたくはないだろう…?」
「アイシャッ!!」
「リ…リサ…」

恐怖で体が震える。
ガチガチと顎を鳴らし、すがるかのようにリサを見る。

「同意しないなら…」
「やめて!入る…魔法団に入るからっ…!」
「リサ!」

魔法団に入るということは…犯罪者に身を落とすということ。
嫌だ。
大事な姉を犯罪者にはしたくない。

「やめっ…!」
「貴様には紋章を刻んでおこう」

男が炎の魔法を放つ。

「ーーあ」

手に、炎が食い込んだ。

「あああああああああっ!!」
「リサーーーーッ!!」

涙をポタポタと落とし、燃える手を押さえる。
そこには、確かに紋章があった。

「その紋章は、魔法団の証だ…もう、ここにはいられないな」
「ハアッ…ハアッ…」
「では、魔法団は1ーA地に拠点がある。待っているぞ」

その時首もとに鋭い痛みが走り、私は
意識を手放した。
………















「…んう…」
『実験体09番が目を覚ましました』

モニターに研究者のような人が移る。
ここは…どこ?
辺りを見回せば、データが壁にペタペタと貼ってあった。
研究者が私をジロジロ見てくる。

「やあ。実験体09番。君は、08番…あのルリィーという少女とここに拾われたのだよ」
「実験体ーーー?」

モニターの声がやたらと冷たく聞こえる。
ゾクリ、と悪寒を感じる。
コイツは、危険だと。

「早速だけど、実験させてもらおう」
「え!?」

手足が拘束されているのが今となって気づく。
研究者が持ってきた物は…点滴のような物だった。
怖い。怖い。

「い…嫌!やめて…!」
「我らの悲願を叶えるために」

点滴を刺され、痛みが突き刺さる。
頭が割れそうだ…
身悶えるほどに苦しさは増していく。

「は…ははは!人類は今!進化を遂げるのだっ!!」

進化。
なんだそれ。
そんなもの、知らない。
私は。
私、は。

「ーーーー」
「あ?」

ドッゴオオオオオッ!!

「ギャアアアアアアアッ!!」

部屋が、吹き飛んだ。
炎に包まれた部屋を眺め、立ち上がる。

「お…おおお…」
「…お前らなんか…消えろ」

怒りが、全てを焼き払った。
そこからは、よく覚えていない。
気がつけば、外に立っていた。


















私は、獣族になっていた。
狐のような姿を泉で見て、絶句した。
あの点滴のせいか…
だが、利益はあった。

「変身できるとはね…」

さすが狐と言った所か。
私は女性へと姿を変えた。
そして、街で銀行員として働きだしたのだ。
名前も、セリーヌと偽って。
…そこで開かれた大魔法使い大会で姉達と再会するなんて思ってもみなかったけど。
すごく、嬉しかった。
だが。
今、スッゴくマズいと思う…

「…さて、リサーナ?全て説明してもらいましょうか…」

怒り狂ったルリが、リサに牙をむいているからだ。
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