役立たずの俺は異世界で「取得」と呼ばれるスキルで成り上がります

雪塚 ゆず

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第五章 天使と勇者と相棒と

第六十八話 村への帰還

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「タクヤ!スカーレット!見えてきたわよ!」
「…久しぶりだな」
「わぁああ…!」

俺達は、馬車に揺られながら街を出た。
そっから長い時間かけて帰って来たのだが…

「…ん?」
「ええっと…」
「むら…?」

出てった時とは比べ物にならないくらい賑わっていたのだ。















「…ネネ」
「…!タクヤ、様…?それに、ナナカ様………」
「二人がご帰還なさったぞーーー!!」

ワアアアアッと村人が群がって来た。
おお…苦し、苦しいです。

「ナナカ様…!お体は大丈夫で!?」
「そんな心配しないでって!」

駆け寄って来たリチャードさんにナナカは返事を返した。

「お久しぶりです!タクヤ様…そちらの少女は?」

カストルさんが大鷲のフィーリーを連れてやってきた。
スカーレットはおずおずと進み出ると、名乗った。

「あ、あの…スカーレットです。よろしくおねがいします…」
「か、可愛いっ!!」

ハートを射止められてしまったカストルさん…フィーリーが慌てて支えてるな。

「…にしても、この村の賑やかな感じは…」
「よくぞ聞いてくれましたっ!!」

リチャードさんが自慢げに語り出した。

「我々がタクヤ様が開発なさった商品をテントでそれぞれ売っていたのですが、どこからともなくやってきた人々で村は大賑わいですよ!!今は、ちょうど売るのを終わった所です」

…丁寧なことに、村の入り口には「ようこそ!辺境の土地マブリーへ!」と書いてある看板まであった。
確かに本当にたくさんの人々で賑わっている。

「ナナカよ…」
「アギトおじい様!?お体は大丈夫なのですっ!?」

あわあわとナナカが突然現れた長老様に駆け寄った。

「実は、村に来た商会の方が長老様を治してくださったのですよ」
「リューリャ!」

後ろから長老様の世話係のリューリャが出てきた。
もう、すっかり長老様は元気そうだ。

「ナナカ、話がある…」
「?何ですか?」
「…私は、村長を引退しようかと思う」
「「「え!!?」」」

村人が驚きの声をあげた。
…村人も知らなかったらしい。
俺もそんな事になるなんて思ってなかった。

「そこで、だ…ナナカよ。村長の座をお前に渡そう」
「…!!ま、え、う、本当、ですか?」
「ああ」

深く深く、長老様が頷いた。
ナナカは、何とも言えないような顔になって、深々とお辞儀をした。

「…村長として、精一杯お役に立つよう頑張ります!!」
「うむ」
「………」

パチ、パチとパラパラ拍手が起こり出す。
それが、波となって周りには大きな拍手が起きた。

「ナナカ様ーーー!!」
「おめでとうございますっ!!」
「よしっ!!今から祝いだーー!!」

ワアアアアッと声をあげ、村人は嬉しそうに食堂へ向かった。
俺も、スカーレットと一緒について行く事にした。














「カンパーイ!!」

カシャンッとエールのグラスの乾杯の音が心地良く響いた。

「いやあ、ようやく仕入れた金でやっとエールが買えましたよ!もううまいったらなんの!全て、タクヤ様のおかげですな!」
「い、いやぁ…ははは」

本当は日本からの知識だ、と言わんばかりだが、まあ…良しとしよう。

「ほら!タクヤ様も!」
「未成年者にお酒を飲ませないでください」
「イテッ」

ポカッとリチャードさんに殴られてしまった村人のおじさん。
…そういえば、とフラワー商会の事を思い出した。

「リチャードさん。フラワー商会という所と話し合いが出来るので、街に行って話し合いをしてはもらえませんか?」
「!かの有名なフラワー商会と…!分かりました!」

お任せくださいっ!と胸を張るリチャードさん。
うん、こーゆーとこ頼りになるよね。

「では、皆さんにお知らせが…」

俺が立ち上がると、皆いっせいにこちらを向いた。

「…俺は、旅に出ようと思います。明日の朝ぐらいに」
「…旅、ですか」

食堂が、水を打ったのように静かになる。
…なんか寂しそうな雰囲気。
と、

「…タクヤの旅を祝して、カンパーイ!!」
「!」

ナナカが、そう叫んだ。

「…そうだよね!いってらっしゃいタクヤ様っ!」
「タクヤ様!頑張ってください!」

村人が、応援するかのように騒ぎ出した。
…寂しそうな顔も見えるが、これは決めたことだ。

「みんな…本当に、お世話になりました!!」

こうして、夜遅くまでその祝いは続いたのだった。
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