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第三章 グローフ商会と商売

第二十九話 売り物決め?

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「いや、助かった…ありがとうニシェル」
「ははは。いえ、たいしたことではありませんよ~」

そう言いながらも照れ笑いをするニシェル。
すると、後ろから女が出てきた。

「こんにちは。私はニシェル様の付き添いのカリーと申します」
「カリー。そーんな堅い挨拶は…」
「あなた幹部ですよね?プラチナですよね?」

ずい、とカリーはその真面目さを表す黒ぶち眼鏡をくいっと上げてニシェルに詰め寄った。
カリーは美人とはいえないけど結構真面目そうな茶髪。
これはニシェル、苦労しそうだな…

「…まぁさておき!さてタクヤさん。私どもは今日は商品化するものを選びに来たんですよ」

にこやかな笑みを絶やさずに微笑みかけ、すりすりと手をすりあわせながらこちらへ言って来る。

「そんなんだからあなたが怪しまれるんですよっ」

そんなニシェルを引き戻し、カリーは怒鳴った。

「まあまあ。じゃあ俺の作った物を紹介しますよ」










「…これ、は…!!」

シャツを握りしめ、わなわなと震えてカリーはつぶやく。

「ああ。それはシャツって言って…」
「な、な、な…なんて素晴らしい商品でしょう!!こんなスベスベでほんのり暖かくて…!!」
「これは金貨5枚ほどの価値がありますよ!」
「金貨5枚っ!?」

金貨。
ちなみにこの金貨とうの価値とは…

瑠璃貨 1枚・・・10円
銅貨 1枚・・・100円
銀貨 1枚・・・1000円
金貨 1枚・・・10000円

となっている。
金貨5枚とは…五万!!

「そんなんじゃ金持ちしか買えないじゃないですか!!せいぜい銀貨3枚では…?」
「ええ!?銀貨3枚ってありえませんよ!!」
「う~む…そんな値段で売って赤字にならないので?」
「うん。全然。だって羊の毛で出来てますから」
「「羊の毛!?」」

カリーとニシェルはまるで同じなポーズで叫んだ。

「羊が毛を分けるなんて…!!」
「タクヤさんはテイマーなんですね!!」
「いや、違う」

じゃあ次、次。

「これは?」
「ななな…なんて丈夫なズボンでしょう!!」

ズボンを渡すとさらに驚かれた。

「これは「ヌーヌの毛皮」と「羊の毛」と「光キノコ」の合成で出来てまして…」
「合成!?な、なんて高度なスキルでしょう…!!」
「どうやったらこんな細かな物が出来るんだ…」

驚きすぎて疲れないだろうか?
この調子じゃまだまだ驚きは続きそうだ…









結局、商品化されるのは「シャツ」「ズボン」「ミルコン」「飴」「ジョウロ」だ。
ここまで黒字ばかりの値段が出され(てかほとんど金貨)銀貨に変えた。
もう、ここまで高価になるとは思いもしなかったな。
ただ、言われたことでとても気になったとは一つ。

「タクヤさん…ここをグローフ商会にするにはまだまだ先になりますが…いずれ将来ここの村が大きな商業地になるのかもしれませんね」

この発明は非現実的らしい。
でも高い値段つらつら並べでも…ねえ。
買う人いないでしょ?
それで、商売の基本を学ぶためにちょっとオススメと言われた回復薬をもらった。
そう、ファンタジーの基本「ポーション」。
初級ポーションならまだ安く買えるのだが…なかなか傷は完治せず。
中級から上級は高すぎるから買えずじまいらしい。

「なあ「取得」。俺にもポーション作れる?」
『もちろんです。ポーションの作り方はスキル「回復術」で分かりますが、取得しますか?』
「お願い」

ピローンと音がして、ステータスに追加されたのが分かった。
明日、作ってみよう。
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