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第一章
ダンスパーティ2
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ダンスパーティの日はすぐにやってきた。
ヴィジーが不器用のためドレスの飾り付けができず、レオーネは己の手でドレスアップをした。
自国にいた頃はお付きのメイドにやってもらっていたので、この経験すらレオーネにとって新鮮なものであった。
「お嬢様、これ、なんですか」
「それは髪飾りよ。ヴィジー、ほらやってあげるから」
慌ただしくヴィジーが髪飾りを振り回すので、レオーネはそれを上手く掴んで、ヴィジーを化粧台へと向かわせた。
元々平民上がりにしても、些か品性にかけた行動が目立つ。
ヴィジーが嫁入りする将来は来るのだろうか、と遠い未来に想いを馳せていると、化粧台の前に座ったヴィジーからこんな言葉が飛び出す。
「お嬢様は、今日のダンスパーティでいい相手を見つけるって言ってましたよね」
「あ、忘れてなかったのね。そうよ。私は今日のダンスパーティで、ミティス様の代わりとなる方を見つけるの」
「それ、ミティス様に言えばやってくださるんじゃないんですか?」
レオーネは知らないことだが、ヴィジーはこっそりミティスに約束を取り付けている。
それこそ、傷物として扱われる彼女への良縁という約束を。
責任を取るという点ではミティスは律儀であるし、別に今回のパーティで焦る必要はないと思っている。
しかし、肝心の約束の内容を、ヴィジーはレオーネに伝えていなかった。
「いいえ。ミティス様に迷惑はかけられないわ。私がすべきことはもう決まっているのだし、行動は早ければ早いほどいいの」
「なるほど、そういうものですか」
結局約束の一件に触れることがないまま、ヴィジーの髪が完成した。
次はレオーネの番だが、いかんせんヴィジーにできるとは思えない。
自分でやるとなるとそんなに凝った髪型はできず、困ったレオーネは髪飾りを片手に固まった。
「どうしようかしら……」
その時、昨日と同じノック音が響いた。
「ミティスだ。準備はできたか?」
「み、ミティス様」
まだ髪を整えていないが、そうこう言ってミティスを放置するのはいただけない。
仕方なく迎え入れると、状況を察したのかミティスが淡く微笑んだ。
「レオーネ。髪、私がやろうか」
「え、ミティス様が?」
訝しげな顔をするレオーネに、ミティスは安心させるような声音で語りかける。
「心配するな。妹がいるし、やったことがある」
「いや、でも」
「まさか王子とあろうものが、女の部屋に二日連続で入り込んだ挙句、婦女の髪を触るとは。どうなんですかね?」
ヴィジーがじとりとミティスを睨むが、特に気にした様子もなく、そのまま事を進めていく。
最後に髪に触れようかといったところで、ミティスはレオーネに尋ねた。
「嫌か?」
嫌だと言ったなら、やめてくれるのだろうか。
答えなんてわかりきっている癖に、ミティスはレオーネに選択を委ねる。
ずるい人だ、とレオーネは思った。
レオーネに惚れておきながら、今度は別の女が好きになったのだと言って、レオーネを捨てようとしている。
それなのに、どうして完璧に放っておいてくれないのだろう。
「……嫌じゃ、ないです」
レオーネの答えを聞いて、満足げにミティスが髪を結い始める。
その手つきがどうしても柔らかかったので、レオーネは静かに俯いた。
ヴィジーが不器用のためドレスの飾り付けができず、レオーネは己の手でドレスアップをした。
自国にいた頃はお付きのメイドにやってもらっていたので、この経験すらレオーネにとって新鮮なものであった。
「お嬢様、これ、なんですか」
「それは髪飾りよ。ヴィジー、ほらやってあげるから」
慌ただしくヴィジーが髪飾りを振り回すので、レオーネはそれを上手く掴んで、ヴィジーを化粧台へと向かわせた。
元々平民上がりにしても、些か品性にかけた行動が目立つ。
ヴィジーが嫁入りする将来は来るのだろうか、と遠い未来に想いを馳せていると、化粧台の前に座ったヴィジーからこんな言葉が飛び出す。
「お嬢様は、今日のダンスパーティでいい相手を見つけるって言ってましたよね」
「あ、忘れてなかったのね。そうよ。私は今日のダンスパーティで、ミティス様の代わりとなる方を見つけるの」
「それ、ミティス様に言えばやってくださるんじゃないんですか?」
レオーネは知らないことだが、ヴィジーはこっそりミティスに約束を取り付けている。
それこそ、傷物として扱われる彼女への良縁という約束を。
責任を取るという点ではミティスは律儀であるし、別に今回のパーティで焦る必要はないと思っている。
しかし、肝心の約束の内容を、ヴィジーはレオーネに伝えていなかった。
「いいえ。ミティス様に迷惑はかけられないわ。私がすべきことはもう決まっているのだし、行動は早ければ早いほどいいの」
「なるほど、そういうものですか」
結局約束の一件に触れることがないまま、ヴィジーの髪が完成した。
次はレオーネの番だが、いかんせんヴィジーにできるとは思えない。
自分でやるとなるとそんなに凝った髪型はできず、困ったレオーネは髪飾りを片手に固まった。
「どうしようかしら……」
その時、昨日と同じノック音が響いた。
「ミティスだ。準備はできたか?」
「み、ミティス様」
まだ髪を整えていないが、そうこう言ってミティスを放置するのはいただけない。
仕方なく迎え入れると、状況を察したのかミティスが淡く微笑んだ。
「レオーネ。髪、私がやろうか」
「え、ミティス様が?」
訝しげな顔をするレオーネに、ミティスは安心させるような声音で語りかける。
「心配するな。妹がいるし、やったことがある」
「いや、でも」
「まさか王子とあろうものが、女の部屋に二日連続で入り込んだ挙句、婦女の髪を触るとは。どうなんですかね?」
ヴィジーがじとりとミティスを睨むが、特に気にした様子もなく、そのまま事を進めていく。
最後に髪に触れようかといったところで、ミティスはレオーネに尋ねた。
「嫌か?」
嫌だと言ったなら、やめてくれるのだろうか。
答えなんてわかりきっている癖に、ミティスはレオーネに選択を委ねる。
ずるい人だ、とレオーネは思った。
レオーネに惚れておきながら、今度は別の女が好きになったのだと言って、レオーネを捨てようとしている。
それなのに、どうして完璧に放っておいてくれないのだろう。
「……嫌じゃ、ないです」
レオーネの答えを聞いて、満足げにミティスが髪を結い始める。
その手つきがどうしても柔らかかったので、レオーネは静かに俯いた。
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