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4勇者との遭遇
村が勇者に襲われている。その一報を受けて魔王様は部屋を出ていこうとした。私はその袖を掴んで振り向かせる。今はお前にかまっている暇などないのだと言わんばかりに苛立ちを露わに魔王様は振り返る。
「私も行きます。連れて行ってください!」
「よかろう。……顔は隠せよ」
外套を羽織りそのフードを深く被った。魔王様は私の腕を掴んで、次の瞬間私たちは外にいた。
「魔界まで遠路はるばるよく来たものだ。勇者よ」
「出たな魔王!」
「覚悟しろ!」
「二人とも、油断するなよ!」
「みんな、頑張って!」
勇者、魔術師、神官、それから知らない女の子が順番に声をあげる。……いや、あの子誰?
「魔王様、頑張ってくださいね」
「言われずとも」
私は自分の周りに防御の結界を張って傍観する。魔術師と勇者は連携が取れていた。一方が隙を作りもう一方がその隙を突く。負った傷は瞬時に神官が治す。少し、魔王様が不利か? というか向こうが想定より強すぎる。魔王様に強化の術をかける。
「ダメだ勇者、一度引こう! みんな、僕の傍に近寄って!」
そう叫んだ魔術師の元へ勇者パーティーは近付いて、消えた。転移の術で逃げたのだろう。
「お疲れ様です、魔王様」
「助かった。礼を言う。我々も戻ろう」
そう言って魔王様は私に手を差し出した。その手を取れば出かける前にいた私の部屋だった。
「紅茶が冷めてしまったな。ベルタ、淹れ直してくれるか?」
「はいはい、もちろんでございますとも」
それからしばらく沈黙が場を支配した。紅茶で口を湿らせる。
「ルアーナよ、あやつらをお前はどう見る?」
「想定より強いです。普通の人間の範疇は余裕で超えています。一人だけパーティーの中に見たことのない女の子がいましたから、彼女が聖女として強化したのでしょう」
「聖女か、厄介だな」
「私がこっちについててよかったですね。こちらも強化の術が使えますから。でも、それにしても相手が強すぎる気がするんです」
「……あやつらは交合した結果ああも強化されたのか? 頭が痛いな」
魔王様は米神を揉んでいる。
「いざという時は私を抱いてください。それなら条件は同じになるはずです」
「私はそんなことのためにお前を庇護下に置いているわけではない……!」
やや語気荒くそう言った魔王様はどこか苛立っているように見えた。ああ、この人はいい人なんだなと思った。いや、人じゃないけど。魔族だけど。
「そんなことは分かっています。でも、魔王様に死なれたら私も困りますからできることはなんでもする所存です」
「ルアーナ、今日お前が私にかけた強化の術は全力か?」
「馬鹿にしないでください。四割程度です」
そう言うと魔王様はほっとしたようだった。
「ならよいのだ」
紅茶を飲み干して魔王様は出て行った。今度は私も引き留めなかった。
「私も行きます。連れて行ってください!」
「よかろう。……顔は隠せよ」
外套を羽織りそのフードを深く被った。魔王様は私の腕を掴んで、次の瞬間私たちは外にいた。
「魔界まで遠路はるばるよく来たものだ。勇者よ」
「出たな魔王!」
「覚悟しろ!」
「二人とも、油断するなよ!」
「みんな、頑張って!」
勇者、魔術師、神官、それから知らない女の子が順番に声をあげる。……いや、あの子誰?
「魔王様、頑張ってくださいね」
「言われずとも」
私は自分の周りに防御の結界を張って傍観する。魔術師と勇者は連携が取れていた。一方が隙を作りもう一方がその隙を突く。負った傷は瞬時に神官が治す。少し、魔王様が不利か? というか向こうが想定より強すぎる。魔王様に強化の術をかける。
「ダメだ勇者、一度引こう! みんな、僕の傍に近寄って!」
そう叫んだ魔術師の元へ勇者パーティーは近付いて、消えた。転移の術で逃げたのだろう。
「お疲れ様です、魔王様」
「助かった。礼を言う。我々も戻ろう」
そう言って魔王様は私に手を差し出した。その手を取れば出かける前にいた私の部屋だった。
「紅茶が冷めてしまったな。ベルタ、淹れ直してくれるか?」
「はいはい、もちろんでございますとも」
それからしばらく沈黙が場を支配した。紅茶で口を湿らせる。
「ルアーナよ、あやつらをお前はどう見る?」
「想定より強いです。普通の人間の範疇は余裕で超えています。一人だけパーティーの中に見たことのない女の子がいましたから、彼女が聖女として強化したのでしょう」
「聖女か、厄介だな」
「私がこっちについててよかったですね。こちらも強化の術が使えますから。でも、それにしても相手が強すぎる気がするんです」
「……あやつらは交合した結果ああも強化されたのか? 頭が痛いな」
魔王様は米神を揉んでいる。
「いざという時は私を抱いてください。それなら条件は同じになるはずです」
「私はそんなことのためにお前を庇護下に置いているわけではない……!」
やや語気荒くそう言った魔王様はどこか苛立っているように見えた。ああ、この人はいい人なんだなと思った。いや、人じゃないけど。魔族だけど。
「そんなことは分かっています。でも、魔王様に死なれたら私も困りますからできることはなんでもする所存です」
「ルアーナ、今日お前が私にかけた強化の術は全力か?」
「馬鹿にしないでください。四割程度です」
そう言うと魔王様はほっとしたようだった。
「ならよいのだ」
紅茶を飲み干して魔王様は出て行った。今度は私も引き留めなかった。
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