5 / 7
5決意
しおりを挟む
それからも何度も勇者パーティーは魔界に攻め込んでくる。その度に魔王様が追い返すのだが勇者パーティーはやって来る度に強くなっていて、今回の魔王様と勇者パーティーの戦いは熾烈を極めていた。私は全力で魔王様に強化の術をかけている。だというのに押されている。あの国に私以上の強化の魔力の持ち主なんていなかったのに。
「魔王様!」
魔王様が腕を怪我した。私は思わず駆け寄り、魔王様を自らの防御の結界の中に入れる。癒しの魔術も多少なら使える。切断までいくと治せないけどこのくらいの傷なら治せるとほっとする。癒しの光が魔王様に降り注ぐ。よかった。ちゃんと治った。
「な、君は! 聖女じゃないか!」
フードが外れていたようだ。バレてしまったなら仕方がない。
「だったらなに?」
「行方不明になったんじゃ?」
「まさか、魔王に連れ去られて?!」
「もしや、洗脳されているのか?!」
勇者パーティーは好き勝手言っている。
「洗脳されてるんじゃなくて正気になったのよ! あなたたち全員に抱かれろなんて狂気の沙汰じゃない!」
「君はいったいなにを言ってるんだ? 勇者とその仲間に抱かれるんだぞ、名誉なことだろう」
「複数人と婚前交渉なんて不名誉以外の何物でもないわよ!」
勇者パーティーは理解に苦しむという顔をしている。理解に苦しむのはこっちだ。
口を開こうとした勇者が消えた。次に魔術師が消えた。それから神官が消えて、聖女らしき女の子が残った。
「それにしても不思議なんですよね。あなたの力が私を上回っているとは思えないのになんであの人たちはあんなに強いんですか?」
「そんなの決まってるじゃない。聖女を抱けば抱くほど強くなるんだから!」
なるほど、そういうカラクリか。そう思っていたら女の子も消えた。
「全員別々の場所に飛ばした。これでしばらくは攻めてこないだろう」
「帰りましょうか、魔王様」
魔王様が差し出した手を取れば見慣れぬ室内だった。
「ここは?」
「私の部屋だ。ここなら誰にも話を聞かれない。ルアーナ、今日私にかけた強化の術は全力か?」
「はい、全力でした」
「……そうか」
魔王様は視線を足下に向けた。その顔は物憂げでなにかを考えているようだった。きっと私たちは同じことを考えている。それを魔王様に言わせるのは嫌だなと思って私は口を開いた。
「魔王様、私を抱いてください」
「前にも言ったはずだ。そんなことのために君を庇護しているわけではないと」
私のヘーゼルの瞳と絡み合ったそのスカーレットは強い意志を宿している。
「あなたに死んでほしくないんです」
「君は私を愛してるのか?」
「愛しています」
回答を間違えてしまえば、この男はあっさり死を選ぶだろうと思った。
「ルアーナ、結婚しよう」
「はい、魔王様」
「そこはオリヴェルと呼んでくれ」
「ごめんなさい、オリヴェル様」
「魔王様!」
魔王様が腕を怪我した。私は思わず駆け寄り、魔王様を自らの防御の結界の中に入れる。癒しの魔術も多少なら使える。切断までいくと治せないけどこのくらいの傷なら治せるとほっとする。癒しの光が魔王様に降り注ぐ。よかった。ちゃんと治った。
「な、君は! 聖女じゃないか!」
フードが外れていたようだ。バレてしまったなら仕方がない。
「だったらなに?」
「行方不明になったんじゃ?」
「まさか、魔王に連れ去られて?!」
「もしや、洗脳されているのか?!」
勇者パーティーは好き勝手言っている。
「洗脳されてるんじゃなくて正気になったのよ! あなたたち全員に抱かれろなんて狂気の沙汰じゃない!」
「君はいったいなにを言ってるんだ? 勇者とその仲間に抱かれるんだぞ、名誉なことだろう」
「複数人と婚前交渉なんて不名誉以外の何物でもないわよ!」
勇者パーティーは理解に苦しむという顔をしている。理解に苦しむのはこっちだ。
口を開こうとした勇者が消えた。次に魔術師が消えた。それから神官が消えて、聖女らしき女の子が残った。
「それにしても不思議なんですよね。あなたの力が私を上回っているとは思えないのになんであの人たちはあんなに強いんですか?」
「そんなの決まってるじゃない。聖女を抱けば抱くほど強くなるんだから!」
なるほど、そういうカラクリか。そう思っていたら女の子も消えた。
「全員別々の場所に飛ばした。これでしばらくは攻めてこないだろう」
「帰りましょうか、魔王様」
魔王様が差し出した手を取れば見慣れぬ室内だった。
「ここは?」
「私の部屋だ。ここなら誰にも話を聞かれない。ルアーナ、今日私にかけた強化の術は全力か?」
「はい、全力でした」
「……そうか」
魔王様は視線を足下に向けた。その顔は物憂げでなにかを考えているようだった。きっと私たちは同じことを考えている。それを魔王様に言わせるのは嫌だなと思って私は口を開いた。
「魔王様、私を抱いてください」
「前にも言ったはずだ。そんなことのために君を庇護しているわけではないと」
私のヘーゼルの瞳と絡み合ったそのスカーレットは強い意志を宿している。
「あなたに死んでほしくないんです」
「君は私を愛してるのか?」
「愛しています」
回答を間違えてしまえば、この男はあっさり死を選ぶだろうと思った。
「ルアーナ、結婚しよう」
「はい、魔王様」
「そこはオリヴェルと呼んでくれ」
「ごめんなさい、オリヴェル様」
20
あなたにおすすめの小説
【完結】私は聖女の代用品だったらしい
雨雲レーダー
恋愛
異世界に聖女として召喚された紗月。
元の世界に帰る方法を探してくれるというリュミナス王国の王であるアレクの言葉を信じて、聖女として頑張ろうと決意するが、ある日大学の後輩でもあった天音が真の聖女として召喚されてから全てが変わりはじめ、ついには身に覚えのない罪で荒野に置き去りにされてしまう。
絶望の中で手を差し伸べたのは、隣国グランツ帝国の冷酷な皇帝マティアスだった。
「俺のものになれ」
突然の言葉に唖然とするものの、行く場所も帰る場所もない紗月はしぶしぶ着いて行くことに。
だけど帝国での生活は意外と楽しくて、マティアスもそんなにイヤなやつじゃないのかも?
捨てられた聖女と孤高の皇帝が絆を深めていく一方で、リュミナス王国では次々と異変がおこっていた。
・完結まで予約投稿済みです。
・1日3回更新(7時・12時・18時)
皇后マルティナの復讐が幕を開ける時[完]
風龍佳乃
恋愛
マルティナには初恋の人がいたが
王命により皇太子の元に嫁ぎ
無能と言われた夫を支えていた
ある日突然
皇帝になった夫が自分の元婚約者令嬢を
第2夫人迎えたのだった
マルティナは初恋の人である
第2皇子であった彼を新皇帝にするべく
動き出したのだった
マルティナは時間をかけながら
じっくりと王家を牛耳り
自分を蔑ろにした夫に三行半を突き付け
理想の人生を作り上げていく
これからもあなたが幸せでありますように。
石河 翠
恋愛
愛する男から、別の女と結婚することを告げられた主人公。彼の後ろには、黙って頭を下げる可憐な女性の姿があった。主人公は愛した男へひとつ口づけを落とし、彼の幸福を密やかに祈る。婚約破棄風の台詞から始まる、よくある悲しい恋の結末。
小説家になろうにも投稿しております。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
私の夫は妹の元婚約者
彼方
恋愛
私の夫ミラーは、かつて妹マリッサの婚約者だった。
そんなミラーとの日々は穏やかで、幸せなもののはずだった。
けれどマリッサは、どこか意味ありげな態度で私に言葉を投げかけてくる。
「ミラーさんには、もっと活発な女性の方が合うんじゃない?」
挑発ともとれるその言動に、心がざわつく。けれど私も負けていられない。
最近、彼女が婚約者以外の男性と一緒にいたことをそっと伝えると、マリッサは少しだけ表情を揺らした。
それでもお互い、最後には笑顔を見せ合った。
まるで何もなかったかのように。
【完結】恋人にしたい人と結婚したい人とは別だよね?―――激しく同意するので別れましょう
冬馬亮
恋愛
「恋人にしたい人と結婚したい人とは別だよね?」
セシリエの婚約者、イアーゴはそう言った。
少し離れた後ろの席で、婚約者にその台詞を聞かれているとも知らずに。
※たぶん全部で15〜20話くらいの予定です。
さくさく進みます。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
どう見ても貴方はもう一人の幼馴染が好きなので別れてください
ルイス
恋愛
レレイとアルカは伯爵令嬢であり幼馴染だった。同じく伯爵令息のクローヴィスも幼馴染だ。
やがてレレイとクローヴィスが婚約し幸せを手に入れるはずだったが……
クローヴィスは理想の婚約者に憧れを抱いており、何かともう一人の幼馴染のアルカと、婚約者になったはずのレレイを比べるのだった。
さらにはアルカの方を優先していくなど、明らかにおかしな事態になっていく。
どう見てもクローヴィスはアルカの方が好きになっている……そう感じたレレイは、彼との婚約解消を申し出た。
婚約解消は無事に果たされ悲しみを持ちながらもレレイは前へ進んでいくことを決心した。
その後、国一番の美男子で性格、剣術も最高とされる公爵令息に求婚されることになり……彼女は別の幸せの一歩を刻んでいく。
しかし、クローヴィスが急にレレイを溺愛してくるのだった。アルカとの仲も上手く行かなかったようで、真実の愛とか言っているけれど……怪しさ満点だ。ひたすらに女々しいクローヴィス……レレイは冷たい視線を送るのだった。
「あなたとはもう終わったんですよ? いつまでも、キスが出来ると思っていませんか?」
ヒロインと結婚したメインヒーローの側妃にされてしまいましたが、そんなことより好きに生きます。
下菊みこと
恋愛
主人公も割といい性格してます。
アルファポリス様で10話以上に肉付けしたものを読みたいとのリクエストいただき大変嬉しかったので調子に乗ってやってみました。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる