透明人間の見えない生活 - invisible life -

ウタ

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1年 1学期

第1話 透明人間の入学 - invisible entrance -

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  俺の行く高校は家から15分程のところにある。俺は高校を選ぶ時にまず自分の家から近いところを探した。薄々気が付いている人もいると思うが、俺は基本的に電車やバスなどの交通機関には乗れない。目立ちすぎるし、車内がパニックになるからだ。おそらくその辺のバスジャックなんかよりも厄介だ。
    
 と、そんなことを考えていると学校の前まで来た。母に急かされたこともあり式の開始よりかなり早くについて着いてしまった。ちなみに俺は今マスクをつけ、メガネをかけて、さらにはカツラもかぶっている。髪の毛も当然透明なのでカツラがいるのだ。髪の毛の上にカツラというのはなんとも奇妙だが、もう何年もしていると慣れてしまった。

 カツラの位置を整えつつ俺は高校の中に足を踏み入れた。校内に入ってみると新入生とその親たちが列に並んで入学式のスケジュールとかを書いた資料を受け取っている。俺も資料をもらおうと列に並んだ。校内をキョロキョロ見回して待っていると俺が資料をもらう番になった。

「親御さんは今ご一緒ですか?」

突然係の人に話しかけられてテンパりながら答える。

「あ、あのー、いえ、今は1人です。後で来ると思うんですけど。」

「そうですか。なら今資料2つお渡ししときますね。」

「あ、はい分かりました。ありがとうございます。」

「それじゃあ資料を持ってそのまま奥の講堂までお進みください。」

 話しかけられて一瞬透明なのに気づかれたのかとドキッとしたが、もう何人もの対応をして機械作業になっているのか、係の人はほとんど顔を上げずに説明していた。

 母親からまだ連絡がなかったので俺は式の前にトイレに行くことにした。トイレの中に入ると誰かが2人で話しているのが聞こえる。

「なんか噂によるとさ、今年の新入生に変な奴がいるんだって」

「変な奴?」

「そうそう、なんでもそいつ体が透明らしいぞ」

「しょーもな。もう少しマシな冗談言えよ」

「でも結構みんな言ってたぜ」

「みんなって誰だよ。大体、体が透明なら見えねーんだから来ても分かんねーだろ」

「そっか、確かに」

話を聞いていた俺は面食らって、顔を手で隠しながら急いでトイレを出た。

(びっくりしたー。なんで透明っていうことバレてんの?入学する前に校長が極秘事項ということで先生たちにだけ伝えるって言ってたからそっからバレたのか?でも、今思えば、生徒にもいつかはバレるよな。一緒に授業受けたりするわけだし。でも、あんまりおおっぴらになると困るなー。中学の時みたいになっても嫌だし。)

 俺が冷や汗を流しながら廊下を歩いていると、母親から連絡が来た。

“前まで来たけど今どこ?”

我が親ながら随分不躾な物言いだなーと思いつつ返信する。

“受付のところ通って講堂に向かうところ。資料はもらったから受け取らなくて良いよー”

間も無くして母と合流した。

「着いたんだったら連絡の1つや2つ寄越しなさいよ」

「いやだって、どのみち学校に着いたら母さんから連絡するからその時でいいかなーと思ってさ」

「また、そんなこと言って。適当なのよあんたは。誰に似たんだか」

あんただよと心の中でツッコミつつ、俺は講堂の方に歩き始めた。このまま話を続けたら、文句が説教にランクアップしてしまう。

「もう行くの?まだ始まらないでしょ」

「念のためにさ、遅れるの嫌だし」

「そうは言っても、みんなで入場するんじゃないの?」

「それはそうだけど早く行っときたいんだって。だから、母さんは先に講堂に入って保護者席に座ってて」

「まもるが合流するって行ったんじゃない。全く勝手なんだから。じゃあ後でね」

「うん、分かった。後で連絡する」

「絶対だからね!それとあんまり目立たないようにしてね。ややこしくなるから」

「分かってるよ。何年もこの体なんだからさ」

俺は母と別れて新入生が集まっているところに向かった。

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