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別れ
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自分を、奴隷として酷使していた男達。
その存在に気付いたクレアは、慌ててその場から逃げ出そうとした。
が、
「逃がすかよ! このガキ!」
一瞬早く伸びた男の腕が、クレアの髪を掴み取る。
「い、痛っ!!」
髪を引っ張られたクレアは、痛みで顔を歪め、苦悶の声を上げる。
「うるせえ、手間取らせるんじゃねえよ! おい、誰かギールさんの所に知らせに行って来い!」
男の声に応えて、仲間の一人が、走り去っていく。
この場に残ったのは、クレアを掴んでいる男と、もう一人。
「さて……おいガキ。ダミアン達をやった男はどこだ?」
「し、知らない!」
アレンの場所を聞かれたクレアは、痛みを堪えながらも叫び返す。
「ああ? 嘘つくんじゃねえよ! お前と一緒に居たのは調べてあるんだよ!」
「本当に知らないわ!」
アレンに置いていかれたクレアは、本当にアレンの居場所を知らなかった。
だが、たとえ知っていたとしても、男達に教える気はなかった。
「生意気なガキめ!」
クレアの態度に苛立った男が、腹ただしげに、クレアを殴りつける。
「おい、少し落ち着けよ。やり過ぎて殺しちまったら、元も子もないだろ?」
その様子を見ていた、もう一人の男が、仲間を止めに入る。
だがそれは、当然ながら善意からのものではない。
「言う事を聞かせる方法なら、他にもあるだろう?……このガキ、よく見ると可愛い顔をしてるしよぉ。前は汚れてたから、気付かなかったけどさぁ」
「ひっ……!?」
クレアを見る男の目に、欲情の炎が燈る。
舌なめずりをしながら自分を見てくる男に対し、クレアは身体の痛みも忘れる程の、嫌悪感を抱いた。
「こんなガキにまで盛るとは、変態だなお前は」
もう一人の男は、呆れたような声を出すが、仲間を止めるような事はしなかった。
欲情に駆られた男の手が、クレアへと迫る。
男のおざましさに、クレアはただ震えるだけで、何もする事は出来なかった。
男の手が、今にもクレアに触れそうになった、その時、
「およしよ、馬鹿どもが」
意外な人物が、止めに入った。
「お婆……さん」
「……おい、ババア。今、何か言ったか?」
老婆が発した言葉は、クレアにとっても、男達にとっても予想外だった。
何も力を持たぬ老婆が、自分よりも力の強い者に逆らえばどうなるか。そんな事は、誰でも分かる事だろう。
それでも老婆は、言葉を続ける。
「止めろって言ったのさ、この馬鹿どもが。小さい娘を力尽くで抑え込んで、乱暴を働こうなんて、クズのする事さ。まぁ、アンタ達のようなクズは、そうでもしないと、女に相手にされないんだろうけどね」
「こっ、のっ! ババアがっ!!」
クレアに手を出そうとしていた男が、怒りのままに老婆を殴りつける。
遠慮も、手加減もない、男の一撃だ。
「お婆さん!!」
殴られた老婆はそのまま地面へと倒れ伏し、動かなくなる。
「お婆さん! お婆さん!」
「おい! 暴れるな! ガキが……痛っ!?」
老婆が倒れた事に動揺し、髪が引っ張られるのも構わずに暴れるクレア。
振り回した手が男の鼻っ面へと当たり、男が怯んだ隙に、クレアは男の手から離れるのに成功した。
「お婆さん! しっかりして!」
「うっ……うう……」
そのまま、倒れている老婆へと駆け寄るクレア。
殴られ、怪我はしていたものの、老婆に意識はあるようだ。その口からは辛そうな呻き声が漏れていた。
「お婆さん、大丈夫ですか!? すぐに手当を……」
「このクソガキがぁ……!!」
クレアに殴られた男が、激しい怒りと共に、クレアへと迫る。
その手には、腰から抜き放たれた剣が握られていた。
「もう連れの男の方はどうでもいい! とりあえず死んどけや、ガキが!!」
血走った目をした男は、手にした刃を、クレアへと振り下ろす。
「……あっ」
クレアの目に映ったのは、自分へと振り下ろされた剣の輝き。
そして、青い空の下に、鮮やかに飛び散る、赤い血しぶきだった。
斬られた。と、クレアはそう思った。
剣が振り下ろされるのを見たと思った時には、クレアは地面へと仰向けに倒れていた。
だが、倒れた時の痛みが背中にあるものの、斬られたような激しい痛みは感じない。
不思議に思ったクレアは、身体を動かそうとしたが、上手く動かせなかった。
痛みのせいで動かせないのかと、最初クレアは思ったのだが、そうではない。
足の方から胸のあたりにまで、何か重たい物が乗っており、そのせいでクレアの身体が動かし辛くなっていたのだ。
自分の状態が分からなかったクレアは、恐る恐る視線を下へと向け、自分の上に乗っている物を確認する。
クレアの視界に入ったのは、覆いかぶさるように乗っかている老婆の姿。
その背からは、赤い血が噴き出していた。
「お婆さん!? もしかして、私を庇って……」
今の状況から、クレアは何が起こったのかを理解する。
老婆は、クレアが斬られるよりも一瞬早く、その身体を剣との間に滑り込ませ、クレアの事を庇ったのだ。
「お婆さん……どうして!?」
「ちっ、ババアが邪魔しやがって」
老婆に邪魔をされた男は、苛ただしげに舌打ちし、クレアを斬ろうと、再び剣を振り上げる。
しかし、
「おい」
「あぁ?…………あ?」
後ろから声を掛けられた次の瞬間、その胸から剣を生やし、口から鮮血を吐くと共に、そのまま地面へと倒れていく。
「な、何がっ!?」
突然の出来事に、狼狽する残りの一人。その目に映ったのは血塗れの剣を自分へと振るってくるアレンの姿だった。
アレンは、クレア達を襲っていた二人を始末した後、他に敵がいないのを確認し、剣を納めた。
「お婆さん! お婆さん!」
倒れた老婆へと縋りつき、泣きじゃくるクレア。
老婆の顔は、すでに青ざめており、もう助からないのは、誰の目にも明らかだった。
「済まないな、婆さん……俺のせいで……」
アレンも老婆の傍へと膝をつき、最後の言葉を掛ける。
「なに、迷いは、誰にでもあるもんさ……あんたは、まだ若い。大いに悩み、けれど、後悔しないようにするとええ……」
老婆の言葉に、苦い顔をするアレン。
「お婆さん……どうして私を……? あいつらの邪魔さえしなければ、こんな目にも遭わなかったのに……!」
「別に……大した理由はないよ……私がやりたかったから、やっただけさ……」
刻一刻と死が迫る中でも、老婆はクレアに優しく微笑みかけた。
自分の死は、クレアのせいではないというように。
「お若いの……最期の頼みを、聞いて貰ってもいいかい……?」
「……言ってみな、婆さん」
アレンが頷くのを確認した老婆は、自分の、最期の頼みを、アレンへと告げる。
「この……お嬢ちゃんの面倒を、最後まで……見てやっておくれ……」
老婆の願いに対し、アレンは一瞬、言葉に詰まる。
自分は一度、クレアを放り出そうとしたのだ。
そんな自分が、軽々と約束をしても良いのかどうか。
「……ああ、任せておけよ婆さん」
だが、迷いは一瞬だった。
この場に戻ってくる時に、心はすでに決めていたのだから。
アレンの言葉と、そこに宿る想いを感じ取り、老婆は安心した表情を見せる。
「さぁ……早くお行き……早くしないと、あいつらの仲間が来てしまうよ……」
「でもっ! お婆さんがっ!!」
「私、なら……大丈夫だよ。どのみち、老い先の短い身だったし、あの世への駄賃は……たんまりと貰っているからね……」
もはや言葉を口にするのも、辛そうだった。
だが彼女は、アレンとクレアに対し、最期まで、微笑み続ける。
「……行くぞ」
「でもっ……!」
「いいからっ! 来いっ!」
まだ老婆の傍を離れようとしないクレアを、無理やり立たせ、アレンは走り出した。
老婆の最期の好意を、無駄にしないように……。
遠くへと走り去っていくアレンとクレアの姿を、老婆はかすむ視界の中で、しっかりと捉えていた。
これならば、二人は街の外へと逃げる事が出来るだろう。
自分がせっかく身体を張ったのだから、そうでなければ困ってしまう。
段々と暗くなっていく視界の中で、老婆は今までの人生へと、想いを馳せる。
決して、善人と呼べるような人生ではなかった。生きる為に、汚い事をする時もあった。
だが最期に、少しはマシな事が出来たと思う。
これならば、あの世で両親に怒られる事もないだろう。
完全に暗くなっていく意識の中で、老婆はもう一度だけ微笑み、そして、その生涯を閉じたのだった。
その存在に気付いたクレアは、慌ててその場から逃げ出そうとした。
が、
「逃がすかよ! このガキ!」
一瞬早く伸びた男の腕が、クレアの髪を掴み取る。
「い、痛っ!!」
髪を引っ張られたクレアは、痛みで顔を歪め、苦悶の声を上げる。
「うるせえ、手間取らせるんじゃねえよ! おい、誰かギールさんの所に知らせに行って来い!」
男の声に応えて、仲間の一人が、走り去っていく。
この場に残ったのは、クレアを掴んでいる男と、もう一人。
「さて……おいガキ。ダミアン達をやった男はどこだ?」
「し、知らない!」
アレンの場所を聞かれたクレアは、痛みを堪えながらも叫び返す。
「ああ? 嘘つくんじゃねえよ! お前と一緒に居たのは調べてあるんだよ!」
「本当に知らないわ!」
アレンに置いていかれたクレアは、本当にアレンの居場所を知らなかった。
だが、たとえ知っていたとしても、男達に教える気はなかった。
「生意気なガキめ!」
クレアの態度に苛立った男が、腹ただしげに、クレアを殴りつける。
「おい、少し落ち着けよ。やり過ぎて殺しちまったら、元も子もないだろ?」
その様子を見ていた、もう一人の男が、仲間を止めに入る。
だがそれは、当然ながら善意からのものではない。
「言う事を聞かせる方法なら、他にもあるだろう?……このガキ、よく見ると可愛い顔をしてるしよぉ。前は汚れてたから、気付かなかったけどさぁ」
「ひっ……!?」
クレアを見る男の目に、欲情の炎が燈る。
舌なめずりをしながら自分を見てくる男に対し、クレアは身体の痛みも忘れる程の、嫌悪感を抱いた。
「こんなガキにまで盛るとは、変態だなお前は」
もう一人の男は、呆れたような声を出すが、仲間を止めるような事はしなかった。
欲情に駆られた男の手が、クレアへと迫る。
男のおざましさに、クレアはただ震えるだけで、何もする事は出来なかった。
男の手が、今にもクレアに触れそうになった、その時、
「およしよ、馬鹿どもが」
意外な人物が、止めに入った。
「お婆……さん」
「……おい、ババア。今、何か言ったか?」
老婆が発した言葉は、クレアにとっても、男達にとっても予想外だった。
何も力を持たぬ老婆が、自分よりも力の強い者に逆らえばどうなるか。そんな事は、誰でも分かる事だろう。
それでも老婆は、言葉を続ける。
「止めろって言ったのさ、この馬鹿どもが。小さい娘を力尽くで抑え込んで、乱暴を働こうなんて、クズのする事さ。まぁ、アンタ達のようなクズは、そうでもしないと、女に相手にされないんだろうけどね」
「こっ、のっ! ババアがっ!!」
クレアに手を出そうとしていた男が、怒りのままに老婆を殴りつける。
遠慮も、手加減もない、男の一撃だ。
「お婆さん!!」
殴られた老婆はそのまま地面へと倒れ伏し、動かなくなる。
「お婆さん! お婆さん!」
「おい! 暴れるな! ガキが……痛っ!?」
老婆が倒れた事に動揺し、髪が引っ張られるのも構わずに暴れるクレア。
振り回した手が男の鼻っ面へと当たり、男が怯んだ隙に、クレアは男の手から離れるのに成功した。
「お婆さん! しっかりして!」
「うっ……うう……」
そのまま、倒れている老婆へと駆け寄るクレア。
殴られ、怪我はしていたものの、老婆に意識はあるようだ。その口からは辛そうな呻き声が漏れていた。
「お婆さん、大丈夫ですか!? すぐに手当を……」
「このクソガキがぁ……!!」
クレアに殴られた男が、激しい怒りと共に、クレアへと迫る。
その手には、腰から抜き放たれた剣が握られていた。
「もう連れの男の方はどうでもいい! とりあえず死んどけや、ガキが!!」
血走った目をした男は、手にした刃を、クレアへと振り下ろす。
「……あっ」
クレアの目に映ったのは、自分へと振り下ろされた剣の輝き。
そして、青い空の下に、鮮やかに飛び散る、赤い血しぶきだった。
斬られた。と、クレアはそう思った。
剣が振り下ろされるのを見たと思った時には、クレアは地面へと仰向けに倒れていた。
だが、倒れた時の痛みが背中にあるものの、斬られたような激しい痛みは感じない。
不思議に思ったクレアは、身体を動かそうとしたが、上手く動かせなかった。
痛みのせいで動かせないのかと、最初クレアは思ったのだが、そうではない。
足の方から胸のあたりにまで、何か重たい物が乗っており、そのせいでクレアの身体が動かし辛くなっていたのだ。
自分の状態が分からなかったクレアは、恐る恐る視線を下へと向け、自分の上に乗っている物を確認する。
クレアの視界に入ったのは、覆いかぶさるように乗っかている老婆の姿。
その背からは、赤い血が噴き出していた。
「お婆さん!? もしかして、私を庇って……」
今の状況から、クレアは何が起こったのかを理解する。
老婆は、クレアが斬られるよりも一瞬早く、その身体を剣との間に滑り込ませ、クレアの事を庇ったのだ。
「お婆さん……どうして!?」
「ちっ、ババアが邪魔しやがって」
老婆に邪魔をされた男は、苛ただしげに舌打ちし、クレアを斬ろうと、再び剣を振り上げる。
しかし、
「おい」
「あぁ?…………あ?」
後ろから声を掛けられた次の瞬間、その胸から剣を生やし、口から鮮血を吐くと共に、そのまま地面へと倒れていく。
「な、何がっ!?」
突然の出来事に、狼狽する残りの一人。その目に映ったのは血塗れの剣を自分へと振るってくるアレンの姿だった。
アレンは、クレア達を襲っていた二人を始末した後、他に敵がいないのを確認し、剣を納めた。
「お婆さん! お婆さん!」
倒れた老婆へと縋りつき、泣きじゃくるクレア。
老婆の顔は、すでに青ざめており、もう助からないのは、誰の目にも明らかだった。
「済まないな、婆さん……俺のせいで……」
アレンも老婆の傍へと膝をつき、最後の言葉を掛ける。
「なに、迷いは、誰にでもあるもんさ……あんたは、まだ若い。大いに悩み、けれど、後悔しないようにするとええ……」
老婆の言葉に、苦い顔をするアレン。
「お婆さん……どうして私を……? あいつらの邪魔さえしなければ、こんな目にも遭わなかったのに……!」
「別に……大した理由はないよ……私がやりたかったから、やっただけさ……」
刻一刻と死が迫る中でも、老婆はクレアに優しく微笑みかけた。
自分の死は、クレアのせいではないというように。
「お若いの……最期の頼みを、聞いて貰ってもいいかい……?」
「……言ってみな、婆さん」
アレンが頷くのを確認した老婆は、自分の、最期の頼みを、アレンへと告げる。
「この……お嬢ちゃんの面倒を、最後まで……見てやっておくれ……」
老婆の願いに対し、アレンは一瞬、言葉に詰まる。
自分は一度、クレアを放り出そうとしたのだ。
そんな自分が、軽々と約束をしても良いのかどうか。
「……ああ、任せておけよ婆さん」
だが、迷いは一瞬だった。
この場に戻ってくる時に、心はすでに決めていたのだから。
アレンの言葉と、そこに宿る想いを感じ取り、老婆は安心した表情を見せる。
「さぁ……早くお行き……早くしないと、あいつらの仲間が来てしまうよ……」
「でもっ! お婆さんがっ!!」
「私、なら……大丈夫だよ。どのみち、老い先の短い身だったし、あの世への駄賃は……たんまりと貰っているからね……」
もはや言葉を口にするのも、辛そうだった。
だが彼女は、アレンとクレアに対し、最期まで、微笑み続ける。
「……行くぞ」
「でもっ……!」
「いいからっ! 来いっ!」
まだ老婆の傍を離れようとしないクレアを、無理やり立たせ、アレンは走り出した。
老婆の最期の好意を、無駄にしないように……。
遠くへと走り去っていくアレンとクレアの姿を、老婆はかすむ視界の中で、しっかりと捉えていた。
これならば、二人は街の外へと逃げる事が出来るだろう。
自分がせっかく身体を張ったのだから、そうでなければ困ってしまう。
段々と暗くなっていく視界の中で、老婆は今までの人生へと、想いを馳せる。
決して、善人と呼べるような人生ではなかった。生きる為に、汚い事をする時もあった。
だが最期に、少しはマシな事が出来たと思う。
これならば、あの世で両親に怒られる事もないだろう。
完全に暗くなっていく意識の中で、老婆はもう一度だけ微笑み、そして、その生涯を閉じたのだった。
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