あまいの、いくつほしい?

白湯すい

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本編

16.頼ってください

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 そんな蓜島の様子に驚いていたのは本人だけではなく、もちろん東もだった。しかし東のほうは、蓜島の勢いというよりも、もっと他に気になったことがある。
「……蓜島さん、なんか顔色悪くないですか?」
「え、そう…でしょうか」
「もしかして具合悪いですか?」
「…実は、少し食欲がなく、て……」
 蓜島が言葉を詰まらせたのは、喋っている間に大きな腹の音がぎゅるる、と鳴ったからだった。忙しくして食欲さえも忘れてしまっていたというのに、東に会った途端にお腹が空いてくるのだから、不思議だしなんだか自分自身が滑稽に思えた。
「なんだ、まさか忙しくてまともなもの食べてなかったんじゃないですか?」
「う、仰る通りです」
 そんな素直に認める蓜島を、東はふっと笑ってくれた。けれどその顔は、蓜島の買おうとしている商品を見て少し曇る。
「…まあ、そういうので誤魔化すときは僕もありますけど。お疲れのようですし、嫌じゃなければ何か作りましょうか?」
「そんな、そこまでしていただくなんて申し訳ないです」
 東にとってこの誘いは、それなりに下心のようなものがあっての申し出だった。蓜島の反応を見ると、そんなことはちっとも気付いていなさそうだった。東はそれにホッとするやら、少しくらい意識していないものかと寂しいやらで、複雑な気持ちだった。

 しかしながら、今の蓜島はそんな東の下心など抜きにしたところで、何か世話を焼きたくなってしまうほどに心配だった。顔色は青白く、どこかふらふらとしている。
「そんな手の込んだものは元々作れないですし、いつも一人分より多く作りますから、遠慮はいらないです。というか、自覚ないのかもしれませんけど、全然大丈夫そうじゃないですよ」
「……自覚は、少ししています」
「大変なときは、人に頼ったほうがいいですよ。僕もそうしたでしょう? 試食のときのお礼だと思ってください」
 そう言われてしまえば、蓜島も頷くしかなくなる。
「…本当は、帰っても何もしたくないくらい、しんどかったです」
「ですよね」
 ちゃんとしていそうなイメージがあるし、会社でも立場のある蓜島だから、弱音を吐くのはもしかしたら苦手なのかもしれない。それでもちゃんと本音を見せてくれたことが、東は嬉しかった。
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