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本編
40.手を繋いでおでかけしましょう
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先にホテルに荷物を置きに行くと、以前のコラボ先の系列ホテルということもあって、フロントの時点でものすごく丁寧な挨拶をされた。蓜島とプライベートな気持ちで過ごしている中だったので、いつも通りの猫かぶりが出来たかどうか、いまいち自信がなかった。
「なんか、蓜島さんと居るのにカメラの前みたいにしなきゃって思うと、よくわかんなくなっちゃいました」
「もちろん知ってはいましたけど、東さんはやっぱり有名人なんですよね……」
「……今はそんな感じですけど。でも芸能人ってわけでもないし、普通の人ですよ」
少し感心したように言う蓜島の言葉に東は恥ずかしくなる。それになんだか、恋人になった蓜島にそんな風には見てほしくないような、そんな気持ちになった。
「だから、そんなの気にしないで、また手繋いでくださいね」
「……っ、はい」
東は少し甘えベタだ。東が甘えるきっかけはいつも蓜島が作っていて、きっかけを作っている蓜島自身もそれに気付いている。だからこそ、この素直な甘え方は蓜島の心に強く響いた。背の高い蓜島を上目遣いに見上げて服の裾をつまみ、素直になることに少し恥ずかしそうにしながらもまた手を繋いでほしいなんてかわいいことを言ってくるのだ。これで愛おしい気持ちにならないほうが難しい。
たまらずぎゅっとハグをすると「わ、なんですか」と慌てつつ、抱き締めた体は照れで少し熱くなっているのがわかって、より愛おしさが深まった。
荷物を置いて身軽になると、いざ観光に繰り出した二人の手は、しっかりと繋がれている。
「今日、実はすごく楽しみにしてました」
「ふふ、知ってますよ。蓜島さん、そわそわしてましたから」
「嘘。そんな感じでしたか?」
「蓜島さん、案外わかりやすいですから」
少し恥ずかしそうに頬を染める蓜島。今回の旅行のプランは二人で立てたものではあるが、東の仕事としての人気スイーツの調査の側面が強い。地方ではどういうものがウケているのかの調査や、隠れた名店の味や技を自分の体で見て知って感じるための旅。地方誌やネットの情報をかき集めて作られたスイーツめぐりのマップは、甘いもの好きな蓜島にはまるで宝の地図のようだった。
もちろん東も作る側ではあるが食べるほうも好きなので、楽しみにはしていた。それ以上に楽しみにして落ち着かない様子だった蓜島のことを微笑ましく思い、東も張り切ってプランを立てたのだった。
「あ、ありましたよ。フルーツ大福のお店」
「本当だ、かわいいですね」
二人がまず足を運んだのは有名なフルーツ大福のお店だった。愛らしい外観の店先には少し列ができているが、持ち帰りのみのため人の流れは早い。目の前が広い公園になっていて、食べる場所にも困らなかった。
「やっぱり全部、いっちゃいます?」
「いいんですか」
「あはは、何の遠慮してるんですか」
いちごにオレンジ、パインにブドウ、バナナ、キウイ。カラフルなフルーツを前に蓜島の小さな瞳がきらきらと光る。
小さなサイズのそれはかわいらしく、ずらりと全種類を並べると彩りも鮮やかで目にも楽しい。
「ん、美味しい。フルーツごとにあんこの甘さがちょっとずつ違うな」
「……! 確かに、そうですね。仕事が細かい」
「うーん、分量もだけど砂糖の種類がそもそも違いそう。こっちはきび砂糖だな、キウイの酸味と合う」
味とレシピの分析をしながら真剣に味わう東と、もくもくと食べ進める蓜島。様子はそれぞれ違っていても、二人とも楽しんでいるのは間違いない。
「はあ、幸せです。瑞々しくて美味しい」
「蓜島さん、フルーツが好きですもんね」
「はい。実は求肥とかのもちもちしたものも好きで」
「そうだったんだ。求肥かあ、何か使えるアイディアないかな」
「洋菓子ではあまり使われませんよね」
頬張りながら、和やかにお菓子の話に花を咲かせる二人。
東はまたひとつ蓜島の好きなものを知ることができて、こっそり喜んでいた。もちもちが好きなのか、かわいいな、覚えておこう、なんてことを考える。
「なんか、蓜島さんと居るのにカメラの前みたいにしなきゃって思うと、よくわかんなくなっちゃいました」
「もちろん知ってはいましたけど、東さんはやっぱり有名人なんですよね……」
「……今はそんな感じですけど。でも芸能人ってわけでもないし、普通の人ですよ」
少し感心したように言う蓜島の言葉に東は恥ずかしくなる。それになんだか、恋人になった蓜島にそんな風には見てほしくないような、そんな気持ちになった。
「だから、そんなの気にしないで、また手繋いでくださいね」
「……っ、はい」
東は少し甘えベタだ。東が甘えるきっかけはいつも蓜島が作っていて、きっかけを作っている蓜島自身もそれに気付いている。だからこそ、この素直な甘え方は蓜島の心に強く響いた。背の高い蓜島を上目遣いに見上げて服の裾をつまみ、素直になることに少し恥ずかしそうにしながらもまた手を繋いでほしいなんてかわいいことを言ってくるのだ。これで愛おしい気持ちにならないほうが難しい。
たまらずぎゅっとハグをすると「わ、なんですか」と慌てつつ、抱き締めた体は照れで少し熱くなっているのがわかって、より愛おしさが深まった。
荷物を置いて身軽になると、いざ観光に繰り出した二人の手は、しっかりと繋がれている。
「今日、実はすごく楽しみにしてました」
「ふふ、知ってますよ。蓜島さん、そわそわしてましたから」
「嘘。そんな感じでしたか?」
「蓜島さん、案外わかりやすいですから」
少し恥ずかしそうに頬を染める蓜島。今回の旅行のプランは二人で立てたものではあるが、東の仕事としての人気スイーツの調査の側面が強い。地方ではどういうものがウケているのかの調査や、隠れた名店の味や技を自分の体で見て知って感じるための旅。地方誌やネットの情報をかき集めて作られたスイーツめぐりのマップは、甘いもの好きな蓜島にはまるで宝の地図のようだった。
もちろん東も作る側ではあるが食べるほうも好きなので、楽しみにはしていた。それ以上に楽しみにして落ち着かない様子だった蓜島のことを微笑ましく思い、東も張り切ってプランを立てたのだった。
「あ、ありましたよ。フルーツ大福のお店」
「本当だ、かわいいですね」
二人がまず足を運んだのは有名なフルーツ大福のお店だった。愛らしい外観の店先には少し列ができているが、持ち帰りのみのため人の流れは早い。目の前が広い公園になっていて、食べる場所にも困らなかった。
「やっぱり全部、いっちゃいます?」
「いいんですか」
「あはは、何の遠慮してるんですか」
いちごにオレンジ、パインにブドウ、バナナ、キウイ。カラフルなフルーツを前に蓜島の小さな瞳がきらきらと光る。
小さなサイズのそれはかわいらしく、ずらりと全種類を並べると彩りも鮮やかで目にも楽しい。
「ん、美味しい。フルーツごとにあんこの甘さがちょっとずつ違うな」
「……! 確かに、そうですね。仕事が細かい」
「うーん、分量もだけど砂糖の種類がそもそも違いそう。こっちはきび砂糖だな、キウイの酸味と合う」
味とレシピの分析をしながら真剣に味わう東と、もくもくと食べ進める蓜島。様子はそれぞれ違っていても、二人とも楽しんでいるのは間違いない。
「はあ、幸せです。瑞々しくて美味しい」
「蓜島さん、フルーツが好きですもんね」
「はい。実は求肥とかのもちもちしたものも好きで」
「そうだったんだ。求肥かあ、何か使えるアイディアないかな」
「洋菓子ではあまり使われませんよね」
頬張りながら、和やかにお菓子の話に花を咲かせる二人。
東はまたひとつ蓜島の好きなものを知ることができて、こっそり喜んでいた。もちもちが好きなのか、かわいいな、覚えておこう、なんてことを考える。
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