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本編
50.隠さなくてもいい
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その日も陽が落ちるまで二人は観光地を見て回ったり、色々なものを食べ歩いたりして旅行先を満喫した。
せっかくなので二日目は旅館ならではの豪華な部屋での夕食を楽しんだ。宅の上にずらりと並ぶ丁寧な仕事を施された料理はどれも美味しくて、まさに非日常を味わえる時間だった。
少しずつ色々と食べるのが好きな東は終始にこにこと嬉しそうにしながら、美味しい美味しいと喜んでいて、蓜島はそれを微笑ましく眺めていた。
「はあ、お腹いっぱいです」
「こういう食事は意外とボリュームがありますよね」
「そうそう、ひとつひとつは少ないかなって思うくらいなのに」
夕食も大満足で、二人は部屋でゆっくり過ごす。今日行ったあそこが綺麗だったとか、あれが美味しかったとか、二人並んでスマートフォンで撮った写真を見ながら話した。
明日は少しお土産を見たりして、お昼にはもう帰りの新幹線の時間だ。楽しくて、二人の仲がより近くなった旅行も終わりになる。
手を繋いで歩くようになったし、お互いに少し怖がっていたセックスもできた。その後だって、いつも通りどころかまた少し互いに向ける言葉や仕草が甘くなった。
「…東さん、体は平気ですか?」
「大丈夫ですよ」
「良かった……やはり無理をさせてしまった部分はあったかなと思っていたので」
そう言いながら蓜島は東の髪を優しく撫でる。東はその指先に労わりや慈しみの情が込められていることを感じて、それが嬉しくて猫のようにすりすりとその手に擦りつき甘えた。
「そういうところがなかったと言えば、ちょっと違いますけど。でも蓜島さんが優しくしてくれたから……蓜島さんが触ってくれるのが嬉しかったから、おれは幸せでしたよ」
「……東さん」
求めるように名前を呼ばれれば、素直に顔をあげて、ごく自然にキスをする。ついばむような短いキスを何度も重ねて、抱き締め合って。
「愛しています、東さん」
「……っ、おれも」
真っ直ぐすぎて思わずどぎまぎとしてしまうほどの言葉も、今はすっかり受け止めることにも慣れた。それを同じように返すことは東には難しくても、蓜島はそれで良いと思っている。
愛情を伝えるのに、言葉で伝えることだけが大切なのではない。東の優しさや素直な反応を示す視線ひとつで、蓜島の心はどこまでも満たされていくのだから。
「……どうしよう、蓜島さん」
「どうしました?」
唇を離すと、東がぽつりとこぼす。
「きのう、したばっかりなのに。もうおれ、蓜島さんに触ってほしいっておもってる」
むらむらと湧き出てきた欲望を、東は隠せなくなる。恥ずかしそうに耳まで真っ赤に染めた東のそんな告白に、蓜島は思わず言葉を失う。
……なんて、煽情的なんだろうか。
「ごめんなさい、おれ、はしたない……」
「…っ、そんなことありません。嬉しいです、ものすごく」
「ほんと?」
「嘘は言いません」
「……ふふ、そっか。そうですよね」
してほしいことを素直に言っても、受け止めてもらえる。そんな安心感に満ちた東のとろけるようなほっとした笑顔は、蓜島の胸を甘く締めつけてくる。
たまらずぎゅうっと抱き締めて、そこから耳や首筋にいくつもキスを落としていく。
「ん、ん……っ」
蓜島の肩口に埋もれて東はくぐもった声をあげながら蓜島の唇の熱さを感じている。
二人の息遣いと比例するように、着ていた衣服も乱れていく。やがて布団の上にもつれるように、どちらともなく倒れていくのにそう時間はかからなかった。
ああ、なんてしあわせなんだろう。
言葉にはしなくとも、二人はそう同じことを考えていたのだった。
せっかくなので二日目は旅館ならではの豪華な部屋での夕食を楽しんだ。宅の上にずらりと並ぶ丁寧な仕事を施された料理はどれも美味しくて、まさに非日常を味わえる時間だった。
少しずつ色々と食べるのが好きな東は終始にこにこと嬉しそうにしながら、美味しい美味しいと喜んでいて、蓜島はそれを微笑ましく眺めていた。
「はあ、お腹いっぱいです」
「こういう食事は意外とボリュームがありますよね」
「そうそう、ひとつひとつは少ないかなって思うくらいなのに」
夕食も大満足で、二人は部屋でゆっくり過ごす。今日行ったあそこが綺麗だったとか、あれが美味しかったとか、二人並んでスマートフォンで撮った写真を見ながら話した。
明日は少しお土産を見たりして、お昼にはもう帰りの新幹線の時間だ。楽しくて、二人の仲がより近くなった旅行も終わりになる。
手を繋いで歩くようになったし、お互いに少し怖がっていたセックスもできた。その後だって、いつも通りどころかまた少し互いに向ける言葉や仕草が甘くなった。
「…東さん、体は平気ですか?」
「大丈夫ですよ」
「良かった……やはり無理をさせてしまった部分はあったかなと思っていたので」
そう言いながら蓜島は東の髪を優しく撫でる。東はその指先に労わりや慈しみの情が込められていることを感じて、それが嬉しくて猫のようにすりすりとその手に擦りつき甘えた。
「そういうところがなかったと言えば、ちょっと違いますけど。でも蓜島さんが優しくしてくれたから……蓜島さんが触ってくれるのが嬉しかったから、おれは幸せでしたよ」
「……東さん」
求めるように名前を呼ばれれば、素直に顔をあげて、ごく自然にキスをする。ついばむような短いキスを何度も重ねて、抱き締め合って。
「愛しています、東さん」
「……っ、おれも」
真っ直ぐすぎて思わずどぎまぎとしてしまうほどの言葉も、今はすっかり受け止めることにも慣れた。それを同じように返すことは東には難しくても、蓜島はそれで良いと思っている。
愛情を伝えるのに、言葉で伝えることだけが大切なのではない。東の優しさや素直な反応を示す視線ひとつで、蓜島の心はどこまでも満たされていくのだから。
「……どうしよう、蓜島さん」
「どうしました?」
唇を離すと、東がぽつりとこぼす。
「きのう、したばっかりなのに。もうおれ、蓜島さんに触ってほしいっておもってる」
むらむらと湧き出てきた欲望を、東は隠せなくなる。恥ずかしそうに耳まで真っ赤に染めた東のそんな告白に、蓜島は思わず言葉を失う。
……なんて、煽情的なんだろうか。
「ごめんなさい、おれ、はしたない……」
「…っ、そんなことありません。嬉しいです、ものすごく」
「ほんと?」
「嘘は言いません」
「……ふふ、そっか。そうですよね」
してほしいことを素直に言っても、受け止めてもらえる。そんな安心感に満ちた東のとろけるようなほっとした笑顔は、蓜島の胸を甘く締めつけてくる。
たまらずぎゅうっと抱き締めて、そこから耳や首筋にいくつもキスを落としていく。
「ん、ん……っ」
蓜島の肩口に埋もれて東はくぐもった声をあげながら蓜島の唇の熱さを感じている。
二人の息遣いと比例するように、着ていた衣服も乱れていく。やがて布団の上にもつれるように、どちらともなく倒れていくのにそう時間はかからなかった。
ああ、なんてしあわせなんだろう。
言葉にはしなくとも、二人はそう同じことを考えていたのだった。
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