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声が出ない僕の話
しおりを挟む僕は生まれつき声が出ない。
ストレス性のもので幼い頃から声が出ない。
母は、そんな僕に呆れ家に僕を置いたまま出ていった。
父は、僕が生まれる前に事故で亡くなったらしく
僕は1週間ほど家に放置されたままだった。
運がいいことに水道は通っていて脱水症状にはならなかったけど
あまりいい状態でもなく、見つけてくれた大家さんがすぐさま病院に連れていったそう。
それから僕は、施設に預けられ、その後仲の良さそうな夫婦が僕を引き取った。
声も出せないし、さっきのことで食が細くなった僕を引き取った夫婦に
感謝してもしきれないほど、感謝している。
そんな僕も、高校生になった。
未だに声は出ないけど充実した生活をしている。
「真澄!!」
僕の名前を呼んだのは、夫婦に引き取られ小学校に通ってたときからの仲の太陽。
「〔太陽、おはよう。 〕」
僕はスマホに打って太陽にみせた。
「おう!おはよう!」
太陽の笑顔は、眩しい。
小学校の頃声が出なくて虐められてた僕を助けてくれた太陽。
その時、太陽に一目惚れして中学の2年の時僕は勇気をだして告白した。
太陽は、少し困った顔をしてたけど、すぐにニコって笑って「いいよ」と言ってくれた。
僕は、その時すっごく嬉しかった。
でも、今はすごく苦しい……。
何故なら、太陽は今想い人がいるから。
同じクラスの、高橋さん。ちゃんと喋れる‘正常’な人
太陽と同じ学級委員で同じ部活。
高橋さんと喋る太陽は、少し緊張して、不器用にニコッと笑って
年相応の恋してる男の子で──────────
僕には見せない、恋してる顔──────────
ほら、今も──────────
「あ、た、高橋さん!おはよう」
登校中に高橋さんを見つけた太陽は、駆け足で高橋さんに近寄った
高橋さんも「あ!太陽くんおはよう。」と返す。
自然に声を出して挨拶できる高橋さんと
声も出せずスマホで会話してる僕とじゃどっちがいいかなんてわかりきっていて……
「〔太陽、僕急がなきゃ行けない用があったんだ先に行ってるね。〕」
そうスマホに書いて太陽にみせた。
「そうだったのか。気をつけていけよ」
「〔うん。〕」
僕が居なくなってホッとしてるのバレバレだよ。
チクッと痛む心を無視して、僕は早足で学校に向かった。
クラスに入ろうとドアをガラッと開けると教室はシーンと静まった。
正直、僕みたいなやつを同じ‘仲間’ として見てくれるやつは多くない。
そんな人たちからしたら、僕は‘異端者’で唯一仲間はずれ
何が充実してるだよ。太陽がいなきゃ何も出来ないくせに。
またチクッと心が痛んだ。
遅れてガラッと音がすると太陽と高橋さんが入ってきた。
顔のいい2人が一緒に入ってきて、クラスは大盛り上がりだ。
2人は付き合ってるの?
やっぱお前ら仲良いよな!
2人はお似合いのカップルだよね
とかさ、太陽も高橋さんも満更でもなさそうな顔をして……
太陽の中で、僕と付き合ってる記憶なんてないみたい
チクッ、チクッっと溜まっていく痛みに僕はどれだけ我慢すればいいんだろう。
「 真澄、用事ごとは間に合ったのか?」
太陽が近寄って話しかけてきた。
「〔用事ごと、僕の勘違いだったみたい〕」
そうスマホに書いてニコって笑うと
太陽が「真澄もおっちょこちょいだな!」って言って頭をくしゃくしゃした
おっちょこちょいね……。
「そうだ!真澄、今日一緒に帰れね!部活の買い出し行かなきゃ行けないんだ!美幸と!」
太陽の言葉にピシッと体が硬直した。
美幸って言うのは、高橋さんの下の名前だ。
朝一緒に登校しただけでこんなに仲良くなれるなんて
「〔大丈夫だよ〕」
「 わりぃな!」
「〔高橋さんと随分仲良くなったみたいだね。〕」
仲良くなれてよかったじゃん、これで太陽は高橋さんと付き合えるかもしれないよ。
お似合いだよ。2人は……僕と違って……
太陽は俺のスマホを見るとムスッとして
「なんだよ。嫌味な言い方だな。真澄、そんなイヤなやつだったか?」
太陽に思ってることが伝わらなくて、
太陽にガッカリされて、
太陽が僕から離れていく──────────
僕はスマホを強く握りしめて……
「〔ごめん〕」
思ってないことを書いて──────────
~
お昼ご飯時になった。
僕は、おばさんが作ってくれたお弁当を出して太陽を見ると
太陽は、部活の人達と食べるそうなので、1人体育館裏で食べることにした。
もう、太陽は僕を捨てるかもしれない。
太陽は高橋さんと付き合うかもしれない。
そうなったら、僕は一人ぼっちだ。
一人お弁当を食べてると、上から水が降ってきた。
上でクスクスと笑う声。
近くでも笑う声が聞こえる。
お弁当の3分の1も食べれなかった。お弁当箱はビシャビシャで少し減ったスペースには水が溜まっている。
お弁当を閉じて、帰ろうとすると後ろから殴られて僕は気絶した。
あー、今日は散々だ。
────────────────────
起きると、今は使われていない旧倉庫だった。
埃っぽいマットと少し壊れた跳び箱。
「あんた、太陽くん達の邪魔なんだよ。
空気が読めないわけ。
ほんっとここでずっと居て…………いいのに」
女の子の声がガンっと頭に突き刺さって、その言葉がループする。
ガチャンっと大きな音を立てて閉まるドア
開けようとしても開かないドア。
あー、ほんとに散々だ。
キーンと耳鳴りがする。
校庭から聞こえる体育をしている人達の声
その声も、すぐ聞こえなくなると僕の耳は音を拾わなくなった。
ここは旧倉庫だから誰も来ない。
声を出したら、もしかしたら助かるかもしれないけど
あいにく僕は声が出ない。
スマホも昼の水で壊れてるだろう。
マットの上にぼふっとするとホコリがたって少し蒸せる。
ちっちゃい頃と同じだ。
真っ暗な部屋で、ゆういつの窓の光が頼りで
ドアの前に座って、二度とかえってこない母を待って……
苦しくても、声は出せなくて
お腹が減っても食べるものなんてなくて
外の悪天候に寂しさを持って
帰って来ない母を待って……
ふふ、今回は太陽を待ってここに閉じ込められるのかな。
来ない太陽を待って、声も出せないまま、一人寂しくここで死ぬかもしれない。
まぁ、あの子からしたら本望だろうけど
「死ねばいいのに」
そっか、僕は死ねばよかったんだ。
母に捨てられて、好きな人にも捨てられて
どうして僕はここまで生きてしまったんだろう。
ここで、声を出して「助けて」と言えれば
「太陽」と呼べる高橋さんが羨ましい。
沢山お話出来る高橋さんが羨ましい。
太陽に好かれてる高橋さんが羨ましい。
女の子に生まれた高橋さんが羨ましい。
太陽の唯一になれる高橋さんが羨ましい。
声が出せることが羨ましい──────────
っ──────────なんで、僕は声が出せないんだっ……
────────────────────
今回のお話は、殴り書きで書きました。
本当は、好きな人とられても、声の出せない主人公をもっと表現したかったんです
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