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7小説請負人ハマ-Ⅰ
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7小説請負人ハマ-Ⅰ
私はハマ、職業は作家。 貴方の為だけのオリジナル小説を書きます。
恋愛・推理・サスペンス・SF・ジャンルは問いません。
貴方の希望する小説を貴方の為だけに執筆します。
当然、貴方の大切な人に送る小説もOKです。
人気小説は依頼者のパラレルな自分の自叙伝。
別世界の自分の半生を描いた小説に人気があります。
依頼者が来た場合、依頼者の生い立ちと小説にしてみたい事柄、登場人物の名前を教えてもらい
ジャンルを聞いて希望の書き方をします。
まだ内容が決まってない人はとうぜん相談に応じます。
最後にこの小説は誰の為に作成するのか?
ここがポイントになりそれによってメッセージせいが変わってきます。
こんなすべり出しで客と一時間ほど打合せをしてから、制作に一週間ほど時間を掛けて
書き上げるというもので、費用は一律三十万円。
出張取材が必要な場合は別途料金で請負ます。
ハマの発想は今までこの業界には類がない。
評判が評判を呼び予約が殺到していた。
今日も直接、依頼者の訪問があった。
「いらっしゃいませ」
「小説を書いて下さい」来たのは初老の紳士。
「はいでは 多少の質問をさせて下さい。 まず、この小説は誰の為に作るものですか?」
「妻の為です。 昨年、体調不良で他界した妻の為です。 五十八歳でした」
「内容は随筆風・恋愛風・物語風等どのように描きたいですか?」
「童話風で妻を主人公として幼年期は苦労し、それ以降は子宝に恵まれた幸せな晩年を。
妻をケルトの妖精にしたてて欲しいです。
生前、妻はケルト文化の神秘的な世界が好きだったものですから……」
「はい、もう私の中にイメージが湧いてきました。 あとはご主人さんをどのような場面で登場させますか?」
「僕は要りません。 登場させないで下さい。 妻には最後まで何一つ優しいことをしてあげられず
苦労ばかりかけてきたので、せめてこの小説は僕抜きで違う伴侶と結ばせてやりたいのです。
この小説は妻に捧げるレクイエムのつもりです」
「そうですか…… 解りました。 今日の打合せの大筋を二~三日で通知します。
目を通していただき、それで良ければ執筆活動に入ります。 それで宜しいでしょうか?」
「はい、お願いいたします」
ハマは、大筋の作成に取りかかった。
ここはイギリスのウェールズにある小さな漁村。
古来からのケルトの風習が多く残る村。 ある人間の家の屋根裏にブラウニーという家事好きな妖精がいた。
よく人間の手伝いをしてくれ、報酬のミルクや蜂蜜を忘れたり、仕事に文句をつけたりすると、
ブラウニーは怒って家をめちゃくちゃにする事もある。
また、 丁寧に扱わないと悪戯好きなボガードになりさがり更に落ちると醜くて物を壊したり
投げつけたりするドビーになってしまう。
そのブラウニーがある時、人間の青年ニップに禁断の恋をしてしまう。
妖精ブラウニーは事あるごとに山に入り、フェニックスの落とした羽を集め帽子を作ったり、
妖精ならではの手法による小物を作りニップに手作りの小物をプレゼントした。
ニップもその厚意に報いるためにブラウニー専用のドールハウスを作ってプレゼントをしたりと、
二人の間はだんだんと深まりやがてふたりは恋に陥ってしまった。
人間と妖精という大きな壁を抱えたまま時は過ぎていった。
そんなある日、 ケルトの神話伝説に人間の青年に恋をした妖精がトネリコ山脈のどこかにあるココ
というキノコと白龍の涙を煎じ、満月の夜に妖精が飲むと人間に変身出来るというのを耳にした。
ブラウニーはその伝説に掛けてみようと決断した。
身内からは「そんな伝説に信憑性がない。 トネリコ山脈は危険な山だから辞めた方がいい」
だとか「妖精は妖精同士で結ばれるべきだ……」との声も多くあった。
そんなケルトの妖精ブラウニーの半生を描いた物語。
二日後ハマは依頼者に概略を説明した。 電話の向こうで依頼者のむせび泣く声が聞こえた。
それから六日間で小説は完成し製本され依頼者に手渡された。
「はい、この世でただひとつの物語。 お読み下さい」そう言って渡された。
その四日後にお礼の手紙がハマの手元に届いた。
心のこもった感謝の手紙だった。
「いらっしゃいませ」依頼者の訪問であった。 ハマは、ひととおり説明し相手の言葉を待った。
「あのう……」
「はい?」
「こんなお願いの前例ありますか?」
「はい! どんな事でしょうか?」
「主人公は実は宇宙人の子で大きくなって本当の自分に目覚め、地球を救うという使命を思い出す。
という内容で描けませんか?」その依頼者は恥ずかしそうな目をして言った。
「面白い題材ですね全然可能ですよ。 では登場人物の名前を数人教えて下さい。
二日前後で大筋を連絡します。 それでよければ一週間で描けると思います」
「はい! よろしくお願いします」
二日して依頼者に概略をFAXした。
ここは渋谷駅、井の頭線の通路にあるコインロッカー。
その一つから微かな声がした。
駅員はロッカーの鍵を開け中を見てみるとそこには、産着に包まれ指をくわえた生後間もない女の
赤ん坊がいた。
駅員の通報によりその赤ん坊は警察が保護し渋谷区内の孤児院に引き取られた。
その子は生後間もないせいもあって里親が早く決まり、同じ渋谷区内の夫婦に引き取られた。
月子と命名され幼児期、思春期と愛情たっぷりに育てられた。
月子が二十歳になったある満月の夜、たまたま近くの代々木公園をジョギングしていた月子は突然激しい
目眩に襲われその場に倒れ込んでしまった。
気が付いてみるとなにやら身体が軽い。 いや、重力が全く感じられない。
周囲に視線を向けて驚いた。
そこは乳白色のブヨブヨとした狭いけど狭さを感じさせない心地良い異空間だった。
次の瞬間、隣から声ではない声がした。
「ニーナ・ニーナ」と誰かが月子に話しかけてくるのだった。
「……? 私はニーナでありません。 月子よ」 突然月子に意識体が重なってきた。
「月子、あなたはプレアデスから来た宇宙巫女。 二十歳まで地球人に育てられました。
今の地球は修羅場。 我々宇宙の存在も大変心配してます。
あなたにはこの地球を変える役目が生前から約束されていたのです」
「私はそんなこと知りません。 地球に返して下さい。 それにあなた達宇宙人がやったらどうですか?」
「我々には直接手を下してはいけないというルールがあって、そこで二十年前にあなたを地球人として
育て上げるために生後一ヶ月のニーナを失礼ですがコインロッカーに置いてきたんです。
そして縁あって月子さんの今のご両親が育ててくれたんです。
深層意識では御両親とも承諾済みですけどね」
「チョット待ってよ。 じゃあ、私は両親と血が繋がってないと……?」
「そうです」
そのまま月子は気を失ってしまった。
その時月子は宇宙の存在から黄色い石をもらった。
その石は宇宙の存在と会話が出来る能力や様々な力を秘めていた。
やがて使命に目覚めた月子は地球を救うため友人を集め、地球人の意識改革を
始めることになったが困難の連続の日々の中にも心温まる出会いがあり、
独特のヒューマンドラマに仕上がった。
依頼者はFAXを読み快諾した。 後日、依頼者に一冊の本が届けられた。
ある時、ハマの友人マキコがやってきた。
「ハマさん久しぶり。 最近はどう? 何か面白い事あった?」
「そう簡単に面白い事なんて無いわよ」
「私も一冊頼もうかな?」
「あんたのなにを書くのよ?」
「私、最近考てる事があるのよ、近い将来家も家族も全部棄てて旅に出ようかなって思ってるのよね。
長年、思ってたんだけど世界中を回って絵を描いてみたいの、世界中の町並みを……」
ハマは一瞬驚いたが冷静に語りかけた「それ、小説で実現しない? マキコがこれから実際にやるのではなく、バーチャルでやってみたらどう?」
「バーチャル? なにそれ?」
「マキコが実際に体験しないで小説の中だけで経験をするのよ。
つまり仮想現実を小説にしてしまうの。 小説の中で色んな体験をしながら旅を重ねるのよ。
費用はかけず旅をし絵も学ぶの…… 但し仮想でね。
だからやりたいことをどんどんやるの。 男にもなれるし神様にだってなれる。
神として人類に警告を発するなんてどう?
創造は自由で制限が無いから何だって出来る。 おもいのまま。どう?」
「ハマ、それ面白そうね。自分の夢を追えない環境の人や、一度挫折した人が再トライして夢を達成するの。
たとえ小説の中でも形にしたら何かが変わるかもしれないよね」
「マキコ、私も夢が広がったよ、ありがとう。 これ商売になるかもしれないね?
なんか喜ばれそう。 ワクワクしちゃう。
さっそくマキコの夢を叶えちゃいましょう。
当然無料で。 発想のお礼よ」
「OK」
その後、この企画は一般に広がった。 特に第一線から退ぞいた中高年層や主婦に好評だった。
私はハマ、職業は作家。 貴方の為だけのオリジナル小説を書きます。
恋愛・推理・サスペンス・SF・ジャンルは問いません。
貴方の希望する小説を貴方の為だけに執筆します。
当然、貴方の大切な人に送る小説もOKです。
人気小説は依頼者のパラレルな自分の自叙伝。
別世界の自分の半生を描いた小説に人気があります。
依頼者が来た場合、依頼者の生い立ちと小説にしてみたい事柄、登場人物の名前を教えてもらい
ジャンルを聞いて希望の書き方をします。
まだ内容が決まってない人はとうぜん相談に応じます。
最後にこの小説は誰の為に作成するのか?
ここがポイントになりそれによってメッセージせいが変わってきます。
こんなすべり出しで客と一時間ほど打合せをしてから、制作に一週間ほど時間を掛けて
書き上げるというもので、費用は一律三十万円。
出張取材が必要な場合は別途料金で請負ます。
ハマの発想は今までこの業界には類がない。
評判が評判を呼び予約が殺到していた。
今日も直接、依頼者の訪問があった。
「いらっしゃいませ」
「小説を書いて下さい」来たのは初老の紳士。
「はいでは 多少の質問をさせて下さい。 まず、この小説は誰の為に作るものですか?」
「妻の為です。 昨年、体調不良で他界した妻の為です。 五十八歳でした」
「内容は随筆風・恋愛風・物語風等どのように描きたいですか?」
「童話風で妻を主人公として幼年期は苦労し、それ以降は子宝に恵まれた幸せな晩年を。
妻をケルトの妖精にしたてて欲しいです。
生前、妻はケルト文化の神秘的な世界が好きだったものですから……」
「はい、もう私の中にイメージが湧いてきました。 あとはご主人さんをどのような場面で登場させますか?」
「僕は要りません。 登場させないで下さい。 妻には最後まで何一つ優しいことをしてあげられず
苦労ばかりかけてきたので、せめてこの小説は僕抜きで違う伴侶と結ばせてやりたいのです。
この小説は妻に捧げるレクイエムのつもりです」
「そうですか…… 解りました。 今日の打合せの大筋を二~三日で通知します。
目を通していただき、それで良ければ執筆活動に入ります。 それで宜しいでしょうか?」
「はい、お願いいたします」
ハマは、大筋の作成に取りかかった。
ここはイギリスのウェールズにある小さな漁村。
古来からのケルトの風習が多く残る村。 ある人間の家の屋根裏にブラウニーという家事好きな妖精がいた。
よく人間の手伝いをしてくれ、報酬のミルクや蜂蜜を忘れたり、仕事に文句をつけたりすると、
ブラウニーは怒って家をめちゃくちゃにする事もある。
また、 丁寧に扱わないと悪戯好きなボガードになりさがり更に落ちると醜くて物を壊したり
投げつけたりするドビーになってしまう。
そのブラウニーがある時、人間の青年ニップに禁断の恋をしてしまう。
妖精ブラウニーは事あるごとに山に入り、フェニックスの落とした羽を集め帽子を作ったり、
妖精ならではの手法による小物を作りニップに手作りの小物をプレゼントした。
ニップもその厚意に報いるためにブラウニー専用のドールハウスを作ってプレゼントをしたりと、
二人の間はだんだんと深まりやがてふたりは恋に陥ってしまった。
人間と妖精という大きな壁を抱えたまま時は過ぎていった。
そんなある日、 ケルトの神話伝説に人間の青年に恋をした妖精がトネリコ山脈のどこかにあるココ
というキノコと白龍の涙を煎じ、満月の夜に妖精が飲むと人間に変身出来るというのを耳にした。
ブラウニーはその伝説に掛けてみようと決断した。
身内からは「そんな伝説に信憑性がない。 トネリコ山脈は危険な山だから辞めた方がいい」
だとか「妖精は妖精同士で結ばれるべきだ……」との声も多くあった。
そんなケルトの妖精ブラウニーの半生を描いた物語。
二日後ハマは依頼者に概略を説明した。 電話の向こうで依頼者のむせび泣く声が聞こえた。
それから六日間で小説は完成し製本され依頼者に手渡された。
「はい、この世でただひとつの物語。 お読み下さい」そう言って渡された。
その四日後にお礼の手紙がハマの手元に届いた。
心のこもった感謝の手紙だった。
「いらっしゃいませ」依頼者の訪問であった。 ハマは、ひととおり説明し相手の言葉を待った。
「あのう……」
「はい?」
「こんなお願いの前例ありますか?」
「はい! どんな事でしょうか?」
「主人公は実は宇宙人の子で大きくなって本当の自分に目覚め、地球を救うという使命を思い出す。
という内容で描けませんか?」その依頼者は恥ずかしそうな目をして言った。
「面白い題材ですね全然可能ですよ。 では登場人物の名前を数人教えて下さい。
二日前後で大筋を連絡します。 それでよければ一週間で描けると思います」
「はい! よろしくお願いします」
二日して依頼者に概略をFAXした。
ここは渋谷駅、井の頭線の通路にあるコインロッカー。
その一つから微かな声がした。
駅員はロッカーの鍵を開け中を見てみるとそこには、産着に包まれ指をくわえた生後間もない女の
赤ん坊がいた。
駅員の通報によりその赤ん坊は警察が保護し渋谷区内の孤児院に引き取られた。
その子は生後間もないせいもあって里親が早く決まり、同じ渋谷区内の夫婦に引き取られた。
月子と命名され幼児期、思春期と愛情たっぷりに育てられた。
月子が二十歳になったある満月の夜、たまたま近くの代々木公園をジョギングしていた月子は突然激しい
目眩に襲われその場に倒れ込んでしまった。
気が付いてみるとなにやら身体が軽い。 いや、重力が全く感じられない。
周囲に視線を向けて驚いた。
そこは乳白色のブヨブヨとした狭いけど狭さを感じさせない心地良い異空間だった。
次の瞬間、隣から声ではない声がした。
「ニーナ・ニーナ」と誰かが月子に話しかけてくるのだった。
「……? 私はニーナでありません。 月子よ」 突然月子に意識体が重なってきた。
「月子、あなたはプレアデスから来た宇宙巫女。 二十歳まで地球人に育てられました。
今の地球は修羅場。 我々宇宙の存在も大変心配してます。
あなたにはこの地球を変える役目が生前から約束されていたのです」
「私はそんなこと知りません。 地球に返して下さい。 それにあなた達宇宙人がやったらどうですか?」
「我々には直接手を下してはいけないというルールがあって、そこで二十年前にあなたを地球人として
育て上げるために生後一ヶ月のニーナを失礼ですがコインロッカーに置いてきたんです。
そして縁あって月子さんの今のご両親が育ててくれたんです。
深層意識では御両親とも承諾済みですけどね」
「チョット待ってよ。 じゃあ、私は両親と血が繋がってないと……?」
「そうです」
そのまま月子は気を失ってしまった。
その時月子は宇宙の存在から黄色い石をもらった。
その石は宇宙の存在と会話が出来る能力や様々な力を秘めていた。
やがて使命に目覚めた月子は地球を救うため友人を集め、地球人の意識改革を
始めることになったが困難の連続の日々の中にも心温まる出会いがあり、
独特のヒューマンドラマに仕上がった。
依頼者はFAXを読み快諾した。 後日、依頼者に一冊の本が届けられた。
ある時、ハマの友人マキコがやってきた。
「ハマさん久しぶり。 最近はどう? 何か面白い事あった?」
「そう簡単に面白い事なんて無いわよ」
「私も一冊頼もうかな?」
「あんたのなにを書くのよ?」
「私、最近考てる事があるのよ、近い将来家も家族も全部棄てて旅に出ようかなって思ってるのよね。
長年、思ってたんだけど世界中を回って絵を描いてみたいの、世界中の町並みを……」
ハマは一瞬驚いたが冷静に語りかけた「それ、小説で実現しない? マキコがこれから実際にやるのではなく、バーチャルでやってみたらどう?」
「バーチャル? なにそれ?」
「マキコが実際に体験しないで小説の中だけで経験をするのよ。
つまり仮想現実を小説にしてしまうの。 小説の中で色んな体験をしながら旅を重ねるのよ。
費用はかけず旅をし絵も学ぶの…… 但し仮想でね。
だからやりたいことをどんどんやるの。 男にもなれるし神様にだってなれる。
神として人類に警告を発するなんてどう?
創造は自由で制限が無いから何だって出来る。 おもいのまま。どう?」
「ハマ、それ面白そうね。自分の夢を追えない環境の人や、一度挫折した人が再トライして夢を達成するの。
たとえ小説の中でも形にしたら何かが変わるかもしれないよね」
「マキコ、私も夢が広がったよ、ありがとう。 これ商売になるかもしれないね?
なんか喜ばれそう。 ワクワクしちゃう。
さっそくマキコの夢を叶えちゃいましょう。
当然無料で。 発想のお礼よ」
「OK」
その後、この企画は一般に広がった。 特に第一線から退ぞいた中高年層や主婦に好評だった。
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