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7京子金星に出入り禁止
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7京子金星に出入り禁止
禅か? いい経験したなあ! 面白い!
今度は近未来をのぞいてみたい。ケンタは石を手に取り念じた。
次の瞬間、あっ! この空気感覚えてるミツトモがいた世界。 ケンタはミツトモを念じた。
その刹那「呼んだかい」右手後方から声がした。
「あっミツトモ。 呼んだりしてごめんね。 それにしても早いね?」
「時間がないからね」
「じつは近未来を念じたら、ミツトモと会った世界に雰囲気がとてもよく似てたから
ミツトモを念じてみたんだ」
「ケンタもだいぶコツが掴めたようだね? 世界はパラレル・リアリティーだからね」
「……」ケンタの目が宙を舞っていた。
「まっいっか、そのうちわかるよ」
やっぱ、ミツトモむかつく
「で、どうしたの」
「そう、近未来を見たかったんだ」
「そっか、もうケンタは既に見終わってるよ」
「えっ僕そんな実感無いけど」
「この世界とトミゾウのいた世界覚えてる?」
「うん覚えてるけど……」
「地球の近未来はそうなるのさ。 但し、いち未来だけどね」
「そのへん、今ひとつよくわからないけど?」
「つまり、地球が二方向に分離するんだよ」
「どうしてさ?」
「そっか、これからいうことは今後大きなポイントになるからしっかり聴いてね。
そもそもこの地球というのは統一から分離、分離から統一という具合に、地球は過去七回
それを繰り返した経緯がある。 ムー・レムリアとか、アトランティス文明って聞いたことない?」
「あるけど空想の世界だとおもってた」
「空想ではない。 現実なんだ」
「えっ?」
「そして今の世界は七回目の分離の時代が終わり又統一の世界に移行されるんだよ。
ケンタから見たらこの世界は近未来だからね」
「ひとつ質問していい…… トミゾウさんのいたあのダークな世界はどういうこと?」
「残念だが近い将来分離するネガティブ世界に行こうする可能性がある。 彼らは自分であの
ダークな世界を
選択したんだ。
今後はワクワクするポジティブな世界が近未来の統一された世界なんだ。
そして、いままであった中間(グレ―ゾーン)も存在しなくなってしまう。
つまり誤魔化しが効かないということ。 相手の気持ちが瞬間伝わるから、かけひきや裏心はその世界では
通用しないのさ。 今までの奪いあう世界から、今度は奉仕する調和のとれた世界が近未来の地球ってわけ」
「……」
ケンタはその話しが衝撃過ぎて発する言葉が無かった。 当然、むかつく余裕もなかった。
ケンタはその後しばらく落ち込んでしまった。 色んな事が脳裏をよぎっては消えそしてまたよぎる。
今の地球は決して誇れる地球ではないけど、まんざら嫌いでもなかった。 そうだ!京子ちゃんに
話してみようか? 彼女なら話せる。 例のごとく会社帰りにミルキーコーヒー合うことになった。
ひととおり話し終え京子の顔色をうかがった。
「なんかワクワクするね」
「えっ!」僕は声を失った。
「なんで? もしかしたらこの世界が変わるかも知れない大変なことなんだよ?
京子ちゃんはなんとも思わないの?」
「だって、なったらなったでしょうがないよ」
この女は神経が図太いのか? ケンタは思った。
「話し変わるけど、私ねえケンタくんに話してないことがあるんだよね」
「なに?」
「石を借りたとき二~三日で返すと言ったのに結局一週間くらい借りたでしょ?」
「うん」
「他にも見てきた世界があるのね」
「どんな?」
「それが太陽のそばの金星なの。 そこでこれからの地球のことをレクチャーされたのね、
だからさっきケンタくんの言ったこと私知ってたのね」
「金星熱くなかった?」
京子は大笑いした。
「なんで笑うの?」ケンタはむかついた。
「だって肉体じゃないから熱さは感じないし、金星なんて地球より整備されてて環境は抜群よ。
一度行ってみたら解るよ。 金星も過去に地球と同じ状態だったらしいの。
今の地球は産みの苦しみだっていってた。 だから金星人も出産するんですかって聞いてやったの。
そしたらここは性別がないから出産はないって。
私たちの未来も金星みたいに性別がなくなるっていう話しよ。 地球人はみんなオカマになるのって聞いたら、
オカマってなに? だって! 『金星人はオカマも知らねんだ!』ていってやったわよ。
だからオカマのことや、おなべのことをしっかりと教えてやったわ。 地球に興味持ったかもね……」
ケンタは頭を抱えてしまった。 もしかして、この女は金星人にオカマの説明したのかよ……
「あのさっ! 京子ちゃんはもう金星に行かない方がいいと思うけど」
「なんで? 楽しいから又来てねっていってたもん」
「金星人は、やさしいね」
「なんで?」
「そっか金星も今の地球と同じことが過去にあったんだ」
「うん、太陽系で地球が最後だって」
「金星以外に他の星は行ったの?」
「行ったよ。月の裏側も。 宇宙船の基地がたくさんあったよ」
「京子ちゃんってけっこう大胆だったんだね」
「なにがさ?」
「ところで、それ以外に行ってきたところあったら教えて」
「エジプトのピラミッド建造してるとこ見に行ったわよ。 ケンタくん興味ない?」
「へえ! どうだったの?」
「あれはアトランティス時代だったわ。 現代では見たことない小さい機械で光を当てると空気が歪み、
次の瞬間あの大きい石が宙に浮くのよね。 ひとつひとつ重なっていくの。 最後はツルツルした石で
化粧するの。 今と全然違うのね、すごく綺麗だった! スフィンクスと地下で繋がってるのよ。
あの機械ほしいな。 あれ一台あったら建築現場楽よね。 私なら会社起ち上げていっぱい仕事取るよ。
ケンタくん部長か専務待遇でどう?」
「いやだ!」
「一見の価値あるわよ。 あれは凄いと思う。 でもマクドナルドは当時さすがにないけど…… ハハ」
この女は宇宙でも何処ででも、いつの時代でも生きていける。 がっぺむかつくけど…… すげえ!
その後、京子言うとおりケンタは金星にとんだ。
金星人が「京子の仲間か?」と聞いてきたので、
「ハイ」と応えた。
「京子の仲間なら金星からとっとと消えろ」と威圧された。
「待って下さい。 なにかあったのですか?」当然聞いた。
「あの京子という存在が来て、この星にカラオケという音楽の娯楽システムをレクチャーしていった。
みんな四六時中カラオケばかりで働かなくなった。 金星ではいま大問題。
よって地球の存在、特に京子とその仲間は出入り禁止します……」
僕は丁寧に「すみませんでした」とあやまり地球に戻った。
京子ちゃんが金星に出入り禁止をくらったって……? そんな……
筒井康隆や大槻ケンジでも小説に書かないよ! そんな題材……でも実話なんだよね。
金星に出入り禁止をくらった女。 が小説書こうかな……?
ケンタは気分のすぐれない日が続いていた。 金星に出入り禁止をくらった女か。
地球の有史上そんな事件あったのかなあ? 助平な中年の父っつぁんがススキノのキャバクラに
出入り禁止をくらったのと、少し訳がちがうよなあ~ 金星だもんなあ。
今日も京子ちゃんはバリバリ元気だろうなあ? 嗚呼! ガンジにも会いたいな?
そう呟きながらケンタは家を出た。 今日は暑い、もう初夏か……
太陽がまぶしい季節。 札幌はライラックの香りが街中いたるところする。アサガオも花弁を大きく
開き家の庭に綺麗な色を添えている。 創成川沿いの散策路を歩いていると向こう方から
ニヤニヤ笑いながらこっちに向かってくる二人組がいた。
蛯子くんと晃平くんだ。 今は会いたくねぇ…… と思ったが気付かれた。
蛯子が「おっ、ケンタ久しぶり。 元気だった?」
「うん、可もなく不可もなくって感じ。 そっちは?」
晃平が笑顔で「蛯子さあ今ススキノのクラブconaというホストクラブでホストやってんだぜ!
狸小路を歩いていてスカウトされたらしいよ」
蛯子がいきなり「いらっしゃいませ~」
ケンタは理由もなくむかついた。
「で、晃平は?」
「派遣でスーパーのレジ打ってる」
蛯子が「ケンタはサッシ屋で働いてるって、京子ちゃんから聞いたけど」
「そうアルバイトだけどね」
蛯子が「せっかく三人衆そろったからお茶しない?」
ロレックスの時計をこれみよがしに腕まくりしながら僕に見せつけた。
「ごめん。これから人に会うんだ。 今日は時間無いからまたにしよう」
その場で二人と別れた。
「なにが三人衆だ! 僕は認めない。 それに僕の承諾無しに誰が勝手に決めたんだ! むかつく!」
ケンタはブツブツ呟きながら歩いた。 二条市場あたりにきたところで、前方からひと目で
解る容貌のあの人が歩いていた。 ガンジだ。
「あれ…… ガンジ久しぶり! 会いたかったよ」
「やあ君か…… 久しぶり」
「ちょうど今日ガンジに会いたいと思ってたんだ。 思いがかなった」
「なにか僕に用事でもあった? これから帰るところなんだ。 僕に用があるなら僕の家にくる?」
「いいの? 申し訳ないです。 お言葉に甘えておじゃまします」
ガンジの家は二条市場の近くにあった。
「おじゃまします」
「コーヒー飲むかい?」
「はい、でもおかまいなく」
「で、何か聴きたいことあった?」
ケンタは、ひととおり今までのことを話した。
「で、なにが聞きたい?」
「……あれ?」ケンタは思考が停止してしまった。
「ふふ……」ガンジは暖かい眼差しでケンタを見た。
「君はその経験を僕に話したいだけなんだ。 いいかい、君の中で答えはもう出ているのさ。
君がした特異な経験を再経験しようとしているのさ。 君の中でね。
その切っ掛けを僕が与えてくれると思いこんでる。 僕はその切っ掛けをを君に与えないよ
。 何故なら、経験は経験であって経験でしかないからさ」
ケンタは理解しようと聞き入った。
「いいかい、経験してるってことは経験しているケンタがまだそこにあるっていうことなんだ。
つまり、君の自我がそこに改ざんしてるってこと。 その自我がある限り君は何度経験してもそれ
以上にはなれない。 経験を越えた経験をしなくてはその答えは出てこない」
なおもガンジはつづける。
「いいかい、ケンタはこれからも色々な経験をするよね。 でもそれにいちいち囚われないことだ。
なぜならそこで止まってしまうからさ。 また同じような経験を試行錯誤しながら経験しまくるんだ。
つまりケンタくんの最終目的が経験することになってしまうんだ。 経験はあくまでも経過さ通過点だよ。
最終目的ではない。 そこをはき違えるとどうどうめぐりになってしまう。 インドのヨガ行者か、
どこぞの修験者のように、人間としての最終目的は経験じゃないんだよ。 解放なんだ!
自分を含めて森羅万象全てからの解放」
「解放か……」ケンタは軽くうなずいた。
「ケンタにとって、それが重要なポイントだからね」
ケンタは頷きながらコーヒーを口に含んだ。
「ガンジ、瞑想のしかた知ってたら教えてほしいけど」
「いいよ」
「まず大きく深呼吸を三回し、身体を楽にして座る。 落ち着くまで深い呼吸を何度も繰り返すんだ。
そうすると瞑想に入りやすくなる。 あとは、背筋を軽く伸ばし手は仏像のように組む。
目は閉じても半眼でもかまわない。 自分の内面を観る場合は目を閉じる。
現実と向き合う場合は半眼で座る。
呼吸法は、鼻から吸って口から息を吐く。 まず尾てい骨から頭頂に気を通す。
吸った息を一度止め尾てい骨にゆっくりと落とし又止める。 吐き出すときは背骨をゆっくり上に通って
頭頂からゆっくりと宇宙へ吐き出すイメージで吐く。 そのうち虫の息のように静かになり心も落ち着く。
その時の頭の中は無念無想と禅僧はいうがそれはどうでもいい。 身体が生きていると云うことは脳も
生きているから頭はたえずなにか思い浮かぶ。 それを払う努力するよりもほっておくことが大事。
あとは流れのままに。 苦痛に感じたら辞める。 無理しない。
それと瞑想って座ることだけではない。 話しをしながら瞑想してる人もいるからね。
今、レクチャーしたのは瞑想の中の一形式なんだ。 自分好みの瞑想のしかたでかまわないよ。
自分の好みで……
「あと石のことなんだけど」
「石って?」
例の石のことをケンタは説明した。
「君にとって石は多重世界や時空移動の手段と思ってるけど、石に頼らなくても本当は自由に出来るんだ。
石がないと出来ないという君の思いこみさ。 いいかい水晶占いは水晶をとおして。
タロットはタロットを使い、手相占いも姓名判断もみんな同じ理屈。 勝手に思いこんでるだけさ。
つまり、それらに頼ってアカシックレコードにアクセスする手段なのさ。
はやいはなしが依存さ! 君にとってその石は同じ理屈。 さっき言ったろう?
本当は石がなくてもできるって。 人間はもっと自由な存在なんだ。 但し制限を取り払えばね。
石もタロットも手相も同じ。 制限を好む癖がそうさせてるんだ。
あの人達は道具を使わなくても本当は解るんだ。 道具は道具。 人間はそういうものを好むからね」
「なるほど……」うなずくケンタ。
「ガンジ、さっきアカシックレコードって言ったよね。 それってなに?」
「森羅万象の情報が詰まった別世界の図書館のこと。 その膨大なデーターベースから情報を取ってくるのさ」
「どういう風に?」
「人の数だけ方法はある。 みんないつでも自由にアクセスしてるよ。 アクセスするのに決まりや制限はないからね」
「認識ないけど……」
「夢や閃き、思いつきって経験ない?」
「それは普通にある」
「当然意識して繋がる人もいるし、タロットや手相で繋がる人もいるよ」
「そっか」
「ノストラダムスも?」
「当然」
「彼は上手だった」
「なにが?」
「解釈のしかたがさ。 人によって同じモノを視ても解釈が違うんだ」
「……」
「例えばエジプトのピラミットを観て三角形と解釈する人。 四角形と解釈する人。
四角錐という立体的にとらえる人。 など全部違う解釈があるけどケンタはどう思う?」
「全部あってる」
「そういうこと。でも三者は全部形が別々だよ? 平面に観るか立体に観るか」
「解釈?」
「そう。 だから解釈する側の問題にも関わってくるんだ。 同じタロットを観ても観る側の意識、
経験、知識そして才能によってとらえ方が違う。 同じものを観てもとらえ方が違うと表現も違う。
人気のある占い師と、そうでない占い師との違いがそこにある。 プラス人格や話し方なども正確には
加味されるけどね」
ケンタは胸のつかえが落ちた感じがした。
「なんでガンジは、そんなことまで解るの? なに聞いても即答だよね」
「悟れば解る」
「悟るにはどうしたら悟れるの」
「簡単さ! 大きな声で俺は悟った~と、腹の底から声を張り上げてごらん」
「えっ! そんなことで悟れるの?」
「ほら君はまたそんなわけないという制限をつけた」
「はっ! そうだよね」
「制限を取りたいけどどうしたら取れるの?」
ガンジはひとこと「悟れ」
「……」
ケンタは、また何かが胸につかえた気がした。 ガンジは笑いをこらえていた。
「あと、僕は君であり、君は僕でもあるってどういう意味?」
「それは自分で……」
「……? じゃあ、時間の概念を教えて」
「うん、この世界の時間軸はこの次元の固定観念なんだ。 でも宇宙人の時間軸は数倍早いというか
正確には時間が存在しないんだ。 この世的に見たらね。
投稿ビデオなどでUFOが移動したと思った瞬間消えることがあるだろ?
例えば一本のヒモを連想してごらん?
左端をA、右端をBとする。 A地点からB地点への移動はは地球時間的には二時間かかる。
そのヒモを丸めてごらん? AとBは隣に存在する。 A・B間の移動は瞬時に出来るんだ。
原理はそれだ。
もう君は勉強したと思うけどこの地球から時間軸がもうすぐ無くなるからね。瞬間移動は普通になされるよ。
地球世界から宇宙世界への仲間入り。 悟りという言葉も無くなるよ」
「悟りが……どうして?」
「みんなが悟った世の中なら、それが当たり前になるだろう? 当たり前のことにあえて特別視はしない。
だから悟りという言葉は必要ない」
「なるほど」
この日ケンタは頭の中を整理する為、早めに帰宅し寝入った。
禅か? いい経験したなあ! 面白い!
今度は近未来をのぞいてみたい。ケンタは石を手に取り念じた。
次の瞬間、あっ! この空気感覚えてるミツトモがいた世界。 ケンタはミツトモを念じた。
その刹那「呼んだかい」右手後方から声がした。
「あっミツトモ。 呼んだりしてごめんね。 それにしても早いね?」
「時間がないからね」
「じつは近未来を念じたら、ミツトモと会った世界に雰囲気がとてもよく似てたから
ミツトモを念じてみたんだ」
「ケンタもだいぶコツが掴めたようだね? 世界はパラレル・リアリティーだからね」
「……」ケンタの目が宙を舞っていた。
「まっいっか、そのうちわかるよ」
やっぱ、ミツトモむかつく
「で、どうしたの」
「そう、近未来を見たかったんだ」
「そっか、もうケンタは既に見終わってるよ」
「えっ僕そんな実感無いけど」
「この世界とトミゾウのいた世界覚えてる?」
「うん覚えてるけど……」
「地球の近未来はそうなるのさ。 但し、いち未来だけどね」
「そのへん、今ひとつよくわからないけど?」
「つまり、地球が二方向に分離するんだよ」
「どうしてさ?」
「そっか、これからいうことは今後大きなポイントになるからしっかり聴いてね。
そもそもこの地球というのは統一から分離、分離から統一という具合に、地球は過去七回
それを繰り返した経緯がある。 ムー・レムリアとか、アトランティス文明って聞いたことない?」
「あるけど空想の世界だとおもってた」
「空想ではない。 現実なんだ」
「えっ?」
「そして今の世界は七回目の分離の時代が終わり又統一の世界に移行されるんだよ。
ケンタから見たらこの世界は近未来だからね」
「ひとつ質問していい…… トミゾウさんのいたあのダークな世界はどういうこと?」
「残念だが近い将来分離するネガティブ世界に行こうする可能性がある。 彼らは自分であの
ダークな世界を
選択したんだ。
今後はワクワクするポジティブな世界が近未来の統一された世界なんだ。
そして、いままであった中間(グレ―ゾーン)も存在しなくなってしまう。
つまり誤魔化しが効かないということ。 相手の気持ちが瞬間伝わるから、かけひきや裏心はその世界では
通用しないのさ。 今までの奪いあう世界から、今度は奉仕する調和のとれた世界が近未来の地球ってわけ」
「……」
ケンタはその話しが衝撃過ぎて発する言葉が無かった。 当然、むかつく余裕もなかった。
ケンタはその後しばらく落ち込んでしまった。 色んな事が脳裏をよぎっては消えそしてまたよぎる。
今の地球は決して誇れる地球ではないけど、まんざら嫌いでもなかった。 そうだ!京子ちゃんに
話してみようか? 彼女なら話せる。 例のごとく会社帰りにミルキーコーヒー合うことになった。
ひととおり話し終え京子の顔色をうかがった。
「なんかワクワクするね」
「えっ!」僕は声を失った。
「なんで? もしかしたらこの世界が変わるかも知れない大変なことなんだよ?
京子ちゃんはなんとも思わないの?」
「だって、なったらなったでしょうがないよ」
この女は神経が図太いのか? ケンタは思った。
「話し変わるけど、私ねえケンタくんに話してないことがあるんだよね」
「なに?」
「石を借りたとき二~三日で返すと言ったのに結局一週間くらい借りたでしょ?」
「うん」
「他にも見てきた世界があるのね」
「どんな?」
「それが太陽のそばの金星なの。 そこでこれからの地球のことをレクチャーされたのね、
だからさっきケンタくんの言ったこと私知ってたのね」
「金星熱くなかった?」
京子は大笑いした。
「なんで笑うの?」ケンタはむかついた。
「だって肉体じゃないから熱さは感じないし、金星なんて地球より整備されてて環境は抜群よ。
一度行ってみたら解るよ。 金星も過去に地球と同じ状態だったらしいの。
今の地球は産みの苦しみだっていってた。 だから金星人も出産するんですかって聞いてやったの。
そしたらここは性別がないから出産はないって。
私たちの未来も金星みたいに性別がなくなるっていう話しよ。 地球人はみんなオカマになるのって聞いたら、
オカマってなに? だって! 『金星人はオカマも知らねんだ!』ていってやったわよ。
だからオカマのことや、おなべのことをしっかりと教えてやったわ。 地球に興味持ったかもね……」
ケンタは頭を抱えてしまった。 もしかして、この女は金星人にオカマの説明したのかよ……
「あのさっ! 京子ちゃんはもう金星に行かない方がいいと思うけど」
「なんで? 楽しいから又来てねっていってたもん」
「金星人は、やさしいね」
「なんで?」
「そっか金星も今の地球と同じことが過去にあったんだ」
「うん、太陽系で地球が最後だって」
「金星以外に他の星は行ったの?」
「行ったよ。月の裏側も。 宇宙船の基地がたくさんあったよ」
「京子ちゃんってけっこう大胆だったんだね」
「なにがさ?」
「ところで、それ以外に行ってきたところあったら教えて」
「エジプトのピラミッド建造してるとこ見に行ったわよ。 ケンタくん興味ない?」
「へえ! どうだったの?」
「あれはアトランティス時代だったわ。 現代では見たことない小さい機械で光を当てると空気が歪み、
次の瞬間あの大きい石が宙に浮くのよね。 ひとつひとつ重なっていくの。 最後はツルツルした石で
化粧するの。 今と全然違うのね、すごく綺麗だった! スフィンクスと地下で繋がってるのよ。
あの機械ほしいな。 あれ一台あったら建築現場楽よね。 私なら会社起ち上げていっぱい仕事取るよ。
ケンタくん部長か専務待遇でどう?」
「いやだ!」
「一見の価値あるわよ。 あれは凄いと思う。 でもマクドナルドは当時さすがにないけど…… ハハ」
この女は宇宙でも何処ででも、いつの時代でも生きていける。 がっぺむかつくけど…… すげえ!
その後、京子言うとおりケンタは金星にとんだ。
金星人が「京子の仲間か?」と聞いてきたので、
「ハイ」と応えた。
「京子の仲間なら金星からとっとと消えろ」と威圧された。
「待って下さい。 なにかあったのですか?」当然聞いた。
「あの京子という存在が来て、この星にカラオケという音楽の娯楽システムをレクチャーしていった。
みんな四六時中カラオケばかりで働かなくなった。 金星ではいま大問題。
よって地球の存在、特に京子とその仲間は出入り禁止します……」
僕は丁寧に「すみませんでした」とあやまり地球に戻った。
京子ちゃんが金星に出入り禁止をくらったって……? そんな……
筒井康隆や大槻ケンジでも小説に書かないよ! そんな題材……でも実話なんだよね。
金星に出入り禁止をくらった女。 が小説書こうかな……?
ケンタは気分のすぐれない日が続いていた。 金星に出入り禁止をくらった女か。
地球の有史上そんな事件あったのかなあ? 助平な中年の父っつぁんがススキノのキャバクラに
出入り禁止をくらったのと、少し訳がちがうよなあ~ 金星だもんなあ。
今日も京子ちゃんはバリバリ元気だろうなあ? 嗚呼! ガンジにも会いたいな?
そう呟きながらケンタは家を出た。 今日は暑い、もう初夏か……
太陽がまぶしい季節。 札幌はライラックの香りが街中いたるところする。アサガオも花弁を大きく
開き家の庭に綺麗な色を添えている。 創成川沿いの散策路を歩いていると向こう方から
ニヤニヤ笑いながらこっちに向かってくる二人組がいた。
蛯子くんと晃平くんだ。 今は会いたくねぇ…… と思ったが気付かれた。
蛯子が「おっ、ケンタ久しぶり。 元気だった?」
「うん、可もなく不可もなくって感じ。 そっちは?」
晃平が笑顔で「蛯子さあ今ススキノのクラブconaというホストクラブでホストやってんだぜ!
狸小路を歩いていてスカウトされたらしいよ」
蛯子がいきなり「いらっしゃいませ~」
ケンタは理由もなくむかついた。
「で、晃平は?」
「派遣でスーパーのレジ打ってる」
蛯子が「ケンタはサッシ屋で働いてるって、京子ちゃんから聞いたけど」
「そうアルバイトだけどね」
蛯子が「せっかく三人衆そろったからお茶しない?」
ロレックスの時計をこれみよがしに腕まくりしながら僕に見せつけた。
「ごめん。これから人に会うんだ。 今日は時間無いからまたにしよう」
その場で二人と別れた。
「なにが三人衆だ! 僕は認めない。 それに僕の承諾無しに誰が勝手に決めたんだ! むかつく!」
ケンタはブツブツ呟きながら歩いた。 二条市場あたりにきたところで、前方からひと目で
解る容貌のあの人が歩いていた。 ガンジだ。
「あれ…… ガンジ久しぶり! 会いたかったよ」
「やあ君か…… 久しぶり」
「ちょうど今日ガンジに会いたいと思ってたんだ。 思いがかなった」
「なにか僕に用事でもあった? これから帰るところなんだ。 僕に用があるなら僕の家にくる?」
「いいの? 申し訳ないです。 お言葉に甘えておじゃまします」
ガンジの家は二条市場の近くにあった。
「おじゃまします」
「コーヒー飲むかい?」
「はい、でもおかまいなく」
「で、何か聴きたいことあった?」
ケンタは、ひととおり今までのことを話した。
「で、なにが聞きたい?」
「……あれ?」ケンタは思考が停止してしまった。
「ふふ……」ガンジは暖かい眼差しでケンタを見た。
「君はその経験を僕に話したいだけなんだ。 いいかい、君の中で答えはもう出ているのさ。
君がした特異な経験を再経験しようとしているのさ。 君の中でね。
その切っ掛けを僕が与えてくれると思いこんでる。 僕はその切っ掛けをを君に与えないよ
。 何故なら、経験は経験であって経験でしかないからさ」
ケンタは理解しようと聞き入った。
「いいかい、経験してるってことは経験しているケンタがまだそこにあるっていうことなんだ。
つまり、君の自我がそこに改ざんしてるってこと。 その自我がある限り君は何度経験してもそれ
以上にはなれない。 経験を越えた経験をしなくてはその答えは出てこない」
なおもガンジはつづける。
「いいかい、ケンタはこれからも色々な経験をするよね。 でもそれにいちいち囚われないことだ。
なぜならそこで止まってしまうからさ。 また同じような経験を試行錯誤しながら経験しまくるんだ。
つまりケンタくんの最終目的が経験することになってしまうんだ。 経験はあくまでも経過さ通過点だよ。
最終目的ではない。 そこをはき違えるとどうどうめぐりになってしまう。 インドのヨガ行者か、
どこぞの修験者のように、人間としての最終目的は経験じゃないんだよ。 解放なんだ!
自分を含めて森羅万象全てからの解放」
「解放か……」ケンタは軽くうなずいた。
「ケンタにとって、それが重要なポイントだからね」
ケンタは頷きながらコーヒーを口に含んだ。
「ガンジ、瞑想のしかた知ってたら教えてほしいけど」
「いいよ」
「まず大きく深呼吸を三回し、身体を楽にして座る。 落ち着くまで深い呼吸を何度も繰り返すんだ。
そうすると瞑想に入りやすくなる。 あとは、背筋を軽く伸ばし手は仏像のように組む。
目は閉じても半眼でもかまわない。 自分の内面を観る場合は目を閉じる。
現実と向き合う場合は半眼で座る。
呼吸法は、鼻から吸って口から息を吐く。 まず尾てい骨から頭頂に気を通す。
吸った息を一度止め尾てい骨にゆっくりと落とし又止める。 吐き出すときは背骨をゆっくり上に通って
頭頂からゆっくりと宇宙へ吐き出すイメージで吐く。 そのうち虫の息のように静かになり心も落ち着く。
その時の頭の中は無念無想と禅僧はいうがそれはどうでもいい。 身体が生きていると云うことは脳も
生きているから頭はたえずなにか思い浮かぶ。 それを払う努力するよりもほっておくことが大事。
あとは流れのままに。 苦痛に感じたら辞める。 無理しない。
それと瞑想って座ることだけではない。 話しをしながら瞑想してる人もいるからね。
今、レクチャーしたのは瞑想の中の一形式なんだ。 自分好みの瞑想のしかたでかまわないよ。
自分の好みで……
「あと石のことなんだけど」
「石って?」
例の石のことをケンタは説明した。
「君にとって石は多重世界や時空移動の手段と思ってるけど、石に頼らなくても本当は自由に出来るんだ。
石がないと出来ないという君の思いこみさ。 いいかい水晶占いは水晶をとおして。
タロットはタロットを使い、手相占いも姓名判断もみんな同じ理屈。 勝手に思いこんでるだけさ。
つまり、それらに頼ってアカシックレコードにアクセスする手段なのさ。
はやいはなしが依存さ! 君にとってその石は同じ理屈。 さっき言ったろう?
本当は石がなくてもできるって。 人間はもっと自由な存在なんだ。 但し制限を取り払えばね。
石もタロットも手相も同じ。 制限を好む癖がそうさせてるんだ。
あの人達は道具を使わなくても本当は解るんだ。 道具は道具。 人間はそういうものを好むからね」
「なるほど……」うなずくケンタ。
「ガンジ、さっきアカシックレコードって言ったよね。 それってなに?」
「森羅万象の情報が詰まった別世界の図書館のこと。 その膨大なデーターベースから情報を取ってくるのさ」
「どういう風に?」
「人の数だけ方法はある。 みんないつでも自由にアクセスしてるよ。 アクセスするのに決まりや制限はないからね」
「認識ないけど……」
「夢や閃き、思いつきって経験ない?」
「それは普通にある」
「当然意識して繋がる人もいるし、タロットや手相で繋がる人もいるよ」
「そっか」
「ノストラダムスも?」
「当然」
「彼は上手だった」
「なにが?」
「解釈のしかたがさ。 人によって同じモノを視ても解釈が違うんだ」
「……」
「例えばエジプトのピラミットを観て三角形と解釈する人。 四角形と解釈する人。
四角錐という立体的にとらえる人。 など全部違う解釈があるけどケンタはどう思う?」
「全部あってる」
「そういうこと。でも三者は全部形が別々だよ? 平面に観るか立体に観るか」
「解釈?」
「そう。 だから解釈する側の問題にも関わってくるんだ。 同じタロットを観ても観る側の意識、
経験、知識そして才能によってとらえ方が違う。 同じものを観てもとらえ方が違うと表現も違う。
人気のある占い師と、そうでない占い師との違いがそこにある。 プラス人格や話し方なども正確には
加味されるけどね」
ケンタは胸のつかえが落ちた感じがした。
「なんでガンジは、そんなことまで解るの? なに聞いても即答だよね」
「悟れば解る」
「悟るにはどうしたら悟れるの」
「簡単さ! 大きな声で俺は悟った~と、腹の底から声を張り上げてごらん」
「えっ! そんなことで悟れるの?」
「ほら君はまたそんなわけないという制限をつけた」
「はっ! そうだよね」
「制限を取りたいけどどうしたら取れるの?」
ガンジはひとこと「悟れ」
「……」
ケンタは、また何かが胸につかえた気がした。 ガンジは笑いをこらえていた。
「あと、僕は君であり、君は僕でもあるってどういう意味?」
「それは自分で……」
「……? じゃあ、時間の概念を教えて」
「うん、この世界の時間軸はこの次元の固定観念なんだ。 でも宇宙人の時間軸は数倍早いというか
正確には時間が存在しないんだ。 この世的に見たらね。
投稿ビデオなどでUFOが移動したと思った瞬間消えることがあるだろ?
例えば一本のヒモを連想してごらん?
左端をA、右端をBとする。 A地点からB地点への移動はは地球時間的には二時間かかる。
そのヒモを丸めてごらん? AとBは隣に存在する。 A・B間の移動は瞬時に出来るんだ。
原理はそれだ。
もう君は勉強したと思うけどこの地球から時間軸がもうすぐ無くなるからね。瞬間移動は普通になされるよ。
地球世界から宇宙世界への仲間入り。 悟りという言葉も無くなるよ」
「悟りが……どうして?」
「みんなが悟った世の中なら、それが当たり前になるだろう? 当たり前のことにあえて特別視はしない。
だから悟りという言葉は必要ない」
「なるほど」
この日ケンタは頭の中を整理する為、早めに帰宅し寝入った。
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