不思議な黒石(ケンタ編・京子編)

當宮秀樹

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八脱 会

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八脱 会

 京子とケンタは久々に二人だけで話しを交わすことになった。

「ケンタくんとも長い付き合いになったわね、十年くらい前にケンタくんに石を見せられて
色んな経験をしたわね。 まさかこういう展開になるとは……」 

「そうだよ。最初はバカにして翌朝には電話がきて石でトリップ。 その後一気に展開しここまで
来たよね…… 早かった」

「でもまだ十年だよ。 私もそろそろ嫁さんに行かなくちゃね」  

「僕もだ……」

ケンタが「ところでシリパの会の事なんだけど、そろそろ何らかの障害がありそうな感じするんだよね。 
僕さ発足してすぐに感じたことがあったんだ。 具体的には解らないけど…… 
そろそろ一波乱ありそうな予感がする」 

「ケンタくんもそうなの? 私も感じてるの。 私たち四人は一枚岩にならなくちゃね。 
所詮シリパの会も人間の作った組織だから、無くなったっていいけど、解ると思うけど私は
ケンタくんと繋がってるからね」

それから程なくしてある問題が発生した。 会員のひとりが、ここシリパの会は詐欺集団だと
触れ回ってるらしい。 シリパの会は集団催眠のようなもので、四人が会員を集団催眠で誘導し、
さも異空間を垣間見たような錯覚を催眠術で視させる。 その辺の黒い玉石を拾ってきて、
これは特殊な力があると暗示にかけ、制限を外したら一つの新しい世界が増えるなどと言い、
本当は言葉巧みに誘導する騙しのテクニック。 

会員から会費と受講費をだまし取ってる。 会員の中には特別コースと称し五十万円納めた
女性が数人いるとか、新種のカルト集団みたいなものという噂を流した。 

しかも集めた金は四人の遊行費に使われている。 シリパの会は新手の詐欺集団と嘘を言い会員の
脱会をそそのかしていた。

噂はすぐ四人の耳に入った。 京子はケンタと目を合わせうなずいた。

「ケンタくん来たわよ……」 

「こういう形できたんだ」ケンタは笑みをうかべた。 

四人が集合し京子が口火を切った。

「最近妙な噂を耳にしたんだけど、なんか会員に変化無い?メメちゃん」

「大きな変化は無いけど入会者が減ってますね」 

「そう。ママはなんか気付かない? 講習中のみんなの目線が気になるの」 

京子が「ケンタくんとこの前話してたんだけど、この会に何一波乱かありそうだってね、
それが今回の事だったのね。 会員さんが増えると中には異分子も入ってて当然かも……」

ケンタが「僕達四人に噂のようなことが無いことは百も承知。 この四人の結束が崩れたときは解散しよう。 
噂はあえてこちらから否定しない方がいいと僕は思うけどみんなはどう?」

全員賛同し意識は固まった。  

メメが「聞かれたときはなんと答えます?」  

「その時はそのような事実はありません。 とハッキリ言ったってかまわないよ。 
それが事実なんだから」とケンタが言った。

京子が語気を強めて「疑心暗鬼になってる人はどうやったって辞めるものは辞めるのよ。 
ほっておきましょ。 メメちゃんは受付だから嫌な思いさせるけどゴメンね。 去る者は引き止めない、
理由も聞かないということでどうですか? 肝心なのはこの四人の心がぶれないこと」  

四人は結束を強めた。

数日が過ぎ、第一回目の受講者でこの会の立ち上げに協力した女性五人が一緒に事務所に現れた。 
事務所には京子とメメがいた。 

京子が「あら珍しいのね五人揃ってどうかした……?」 

「実は話しがあってきました。 私たち辞めさせてもらいます。 ケンタさんやマチコママに
宜しくお伝え下さい。 今までありがとうございました」  

「あっそう、お疲れ様でした。 とでもいって欲しいわけ? この私に……」

メメが慌てて話しに割ってはいった「京子さん」 

「うん、メメちゃんの言いたいこと解ってる…… でもこの五人は、この会にとってとっても
重要な五人なのね、この人達が居なかったらここは無かったのよ。 始めっからイスやテーブル、
何から何まで集めて一緒にここを作った仲間じゃない。 他の会員さんとこの人達は違うのよ、
メメちゃんごめん。
脱会者がいてもなにも聞かないし、引き止めないでおこうねって決めたのね。ケンタの意見にママもメメ
も私も同意したわ。 でも、あなたたち五人は別。何があったか聞かせてちょうだい……」

京子の目は真剣だった。

ひとりが言った「京子さんはご存じだと思うけど、今回ひとりの会員さんの為にシリパの会に迷惑掛けました。 私たちが係わってるんです。 京子さんが狸小路の事件があったあの頃でした。 久々に五人が事務所で
同じ受講を受けたんです。  帰りに札幌駅そばの居酒屋に行って食事したんです。 途中で隣の席にいた
二人組の女性が話しかけて来たんです。  

『不思議な話してるけど聞かせて下さい』って言われ、私たちひととおり説明したんです。 
そしたら経験したいっていうから、この事務所を教えたんです。どうも噂で、あの二人はある
宗教団体の熱心な会員さんで、こういう会の会員になりすまして潜入し、その会を引っかき回し
脱会者を募り、自分たちの宗教に言葉巧みに入会させてるみたいなんです」  

「ふ~んそれで?」 

「私たち5人が責任をとって辞めようという事になりました」 

「あっそう、それで?」 

「それだけです……」

「あっそう、そう言う理由なの解りました。 五人力合わせて頑張ってください。 今
までお手伝いまでしていただき、どうもありがとうございました。
当会の四人を代表して私からお礼を言わせてもらいます。 ありがとうお元気で……」  

京子はそう言って五人を見送った。

五人が帰ったあとメメが「京子さん、あの言いまわしからすると何か気付いたことでもあるの?」

「うん、途中でなんか読めちゃったの。 あの人たちの考えがね。 この会のやりかたなら自分たちで
も出来るって思っちゃたのね。 たぶん居酒屋で横に座った二人の話は本当だと思う。 
それでこの会に揺さぶりをかけて、予め脱会者に声をかけていて、自分たちで作ったグループに
引き込む算段だと感じたの。 たぶん…… 別にいいんじゃない頑張って指導して、
ひとりでも多くの人に、気づきを得る手助けになればそれはそれで」  

「そうですね」メメも相づちを打った。  

京子が付け加えた「それに私たちのやってきたことは間違ってなかったっていう証しよ。 
あの人達もやってることは間違ってないという確証があるから同じことをやろうと思ってるのよ。

あの人達が証明してくれたわよ。ただ、頭が多いとまとまる意見もまとまらないから大変よ。 
分裂しなきゃいいけどね。みんな良い子達だから心配」

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