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九ナベ登場
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九ナベ登場
脱会問題から一年が過ぎ大きな混乱もなく、シリパの会は順調に運営され会員数五十名を数えた。
今は週二回、火、金曜六時から二時間の受講がなされていた。 京子は狸小路の仕事も週三回と
パターン化され心身ともに慣れた。
そんなある日突然蛯子から久々の電話があった。
「京子ちゃん元気? ご無沙汰~」
こいつの話し方はいつもイライラすると思いながら「なに……?」
「京子ちゃんへの返済も終わったし、お礼のつもりでご馳走したいんだけども~どう?」
「ありがとう、でも、あたしゃ忙しいの」
「そんなこと言わないでさあ」
「なにか私に頼みたいことあるわけ? あったらさっさと言って。 なに?」
「京子ちゃんに紹介したい人いるんだけど~」
「なに、男? 女? どっち?」
「オ、カ、マ~」
「蛯子てめーえぶっ飛ばすぞ」
「ウソウソ、メンゴメンゴ」
「古いギャグ使うなバ~~カ。 詐欺師蛯子」
「まだ言ってるの京子ちゃん」
「蛯子がこの世に存在する限り、死ぬまで言ってやるよ。 じゃあな」
京子は一方的に電話を切った……
又鳴った。
「だから、なに!」
「京子ちゃん話し途中なんだけど~」
「さっさと話ししてくんない」
「さっきの紹介のはなし、男なんだけど京子ちゃんの話しいつも聞かせてるんだ。
そいつに京子ちゃんを是非紹介してって今日もいわれたんだよね、それで電話したってわけ」
「別に合うのはいいけどさ。 暇が無いから狸小路に直接来なよ。 月・金・土の九時過ぎなら居るよ。
雨の日は居ない可能性あるから電話ちょうだい」
土曜日の九時過ぎ蛯子は現れた。
「おう、蛯子くん久しぶり」
「京子ちゃんご無沙汰。 この人電話で話したナベさん」
「あっ、はじめまして渡辺と申します。 ナベと呼んで下さい」
ジーパンにジャケットのラフな出で立ちであるが、髪は完璧な七・三分けというまじめそうな青年だった。
「今晩は。私、京子ちゃんです」
「京子ちゃん、まだここでやってんの? 結構長いね」蛯子が言った。
「もうそろそろ辞めたいけど、これでも長年やってると頼りにしてくれる人が多いもんだから足洗えなくってね」
ナベが「占いにコツみたいなのってあるんですか?」
京子が言った「なに? ナベさんやりたいのかい?」
「なに、興味が湧いただけです」
「ふふ、コツはね、まず世間話を軽くして、相手の気をそらすのね。 そうすると心に隙みたいのが
出来るの。 そして相手と呼吸を合わせる。 その時自分のガイドに、
相手のガイドに繋げてもらうのがコツ。 それを全部一瞬でやるのよ。
相手も私の処に話しに来るって事は警戒を解いてから来るからあとは楽なの。
でも、 七~八割は自分で答えをもう決めてる人が多いのよね。 最後の確認か背中を押して欲しいのよ。
それで来るみたい」
ふたりは聞き入った。
「特に若いお姉ちゃんはそう。 自分で答え知ってて来るのよね。 この前も、相手の男はあんたを
遊び相手のひとりとしか思ってないよって、私が忠告しても聞きやしないのよ。
いやそれは違うってなもんよ。
自信あるんならそれで好いじゃないって当然私は言うわよね。 なんで金払ってここに来たの?って
言ってやったのよ。 そしたら念のためって言うの。 あんた、自分でも気付いているでしょっ?
てこっちから聞いてやるの。 そしたら泣いたのよ。面白いでしょ」
ふたりも笑った。
「京子ちゃん相変わらずだね」
「蛯子にいわれたくないわよ……」
ナベも笑った。
蛯子が「どう? ナベさん、彼女俺がいったとおりでしょ」
「そうだね」
「なに、詐欺師蛯子、勝手に私をネタに笑ってるとあんたのこと全部話すよ」
「いや、俺、京子ちゃんの悪口言ってないから。 だからこうしてナベさんを連れてきたんだから。
ねっナベさん?」
「ナベさんこいつ詐欺師だから気をつけてね」
狸小路に笑いが響いた。
小一時間話した。
「あんたと話してたら客が全部警戒して逃げてったよ。 今日は店じまいする。蛯子のおごりで
居酒屋リンちゃんにいって飲むか? ナベさんも時間ある?」
三人は居酒屋リンちゃんの暖簾をくぐった。
「あら、詐欺師蛯子さん久しぶりです」
京子が「ねっ、ナベさんこいつの詐欺師有名でしょ?」
「ホントなんですね」
「ナベさん本当でないですから」蛯子が言った。
みんな笑った。
「ママ、こちらナベさん。 俺と同じ職場の人で、京子ちゃんの話しをしたら是非会いたいっていうから
狸に連れて行ったの」
「こちらは俺たち余市の幼なじみが利用する店で、居酒屋リンちゃんのマチコママ」
「渡辺と申します。 初めまして」
「ママ、ナベさんに詐欺師の話しをしてたら、この蛯子がしてませんってぬかすのよね。
ママからも言ってやってよ」
「そう、蛯子さんは詐欺なんかしてませんよね」
「ほらナベさん」
ママが「未遂で終わったのよね」
全員が笑った。
京子が「私、なんで初対面のナベさんにチャネリングのコツを話したか解ります?」
「僕も、初対面でここまで教えてもらっていいのかなって思いました。 今でも不思議です」
「挨拶されたときナベさんのガイドがレクチャーして下さいって私に語りかけてきたのよ。
それで初対面だけどコツを話したの。 ネッ! ママ」
「なるほどね。もっと言うと濃い関係ね」
ナベが「ママさんも京子さんと同じタイプなんですか?」
京子は「ナベさんあんたもね、私、知ってたよ。 あんたも不思議体験が多く話しの解る人間を
長年捜してたでしょ」即答した。
蛯子が「俺は?」自分を指さした。
「蛯子あんたは詐欺師がピッタリだよ、その中途半端さ天性の素質がありそう」
「がっ!」
京子が「さっ乾杯! 蛯子さんゴチになりま~す」
閉店まで盛り上がった。
マチコママは京子の無邪気な顔を久しぶりに見た。
京子もセキロウの死以降久々に無邪気に笑ったので活力が湧いてきた。
脱会問題から一年が過ぎ大きな混乱もなく、シリパの会は順調に運営され会員数五十名を数えた。
今は週二回、火、金曜六時から二時間の受講がなされていた。 京子は狸小路の仕事も週三回と
パターン化され心身ともに慣れた。
そんなある日突然蛯子から久々の電話があった。
「京子ちゃん元気? ご無沙汰~」
こいつの話し方はいつもイライラすると思いながら「なに……?」
「京子ちゃんへの返済も終わったし、お礼のつもりでご馳走したいんだけども~どう?」
「ありがとう、でも、あたしゃ忙しいの」
「そんなこと言わないでさあ」
「なにか私に頼みたいことあるわけ? あったらさっさと言って。 なに?」
「京子ちゃんに紹介したい人いるんだけど~」
「なに、男? 女? どっち?」
「オ、カ、マ~」
「蛯子てめーえぶっ飛ばすぞ」
「ウソウソ、メンゴメンゴ」
「古いギャグ使うなバ~~カ。 詐欺師蛯子」
「まだ言ってるの京子ちゃん」
「蛯子がこの世に存在する限り、死ぬまで言ってやるよ。 じゃあな」
京子は一方的に電話を切った……
又鳴った。
「だから、なに!」
「京子ちゃん話し途中なんだけど~」
「さっさと話ししてくんない」
「さっきの紹介のはなし、男なんだけど京子ちゃんの話しいつも聞かせてるんだ。
そいつに京子ちゃんを是非紹介してって今日もいわれたんだよね、それで電話したってわけ」
「別に合うのはいいけどさ。 暇が無いから狸小路に直接来なよ。 月・金・土の九時過ぎなら居るよ。
雨の日は居ない可能性あるから電話ちょうだい」
土曜日の九時過ぎ蛯子は現れた。
「おう、蛯子くん久しぶり」
「京子ちゃんご無沙汰。 この人電話で話したナベさん」
「あっ、はじめまして渡辺と申します。 ナベと呼んで下さい」
ジーパンにジャケットのラフな出で立ちであるが、髪は完璧な七・三分けというまじめそうな青年だった。
「今晩は。私、京子ちゃんです」
「京子ちゃん、まだここでやってんの? 結構長いね」蛯子が言った。
「もうそろそろ辞めたいけど、これでも長年やってると頼りにしてくれる人が多いもんだから足洗えなくってね」
ナベが「占いにコツみたいなのってあるんですか?」
京子が言った「なに? ナベさんやりたいのかい?」
「なに、興味が湧いただけです」
「ふふ、コツはね、まず世間話を軽くして、相手の気をそらすのね。 そうすると心に隙みたいのが
出来るの。 そして相手と呼吸を合わせる。 その時自分のガイドに、
相手のガイドに繋げてもらうのがコツ。 それを全部一瞬でやるのよ。
相手も私の処に話しに来るって事は警戒を解いてから来るからあとは楽なの。
でも、 七~八割は自分で答えをもう決めてる人が多いのよね。 最後の確認か背中を押して欲しいのよ。
それで来るみたい」
ふたりは聞き入った。
「特に若いお姉ちゃんはそう。 自分で答え知ってて来るのよね。 この前も、相手の男はあんたを
遊び相手のひとりとしか思ってないよって、私が忠告しても聞きやしないのよ。
いやそれは違うってなもんよ。
自信あるんならそれで好いじゃないって当然私は言うわよね。 なんで金払ってここに来たの?って
言ってやったのよ。 そしたら念のためって言うの。 あんた、自分でも気付いているでしょっ?
てこっちから聞いてやるの。 そしたら泣いたのよ。面白いでしょ」
ふたりも笑った。
「京子ちゃん相変わらずだね」
「蛯子にいわれたくないわよ……」
ナベも笑った。
蛯子が「どう? ナベさん、彼女俺がいったとおりでしょ」
「そうだね」
「なに、詐欺師蛯子、勝手に私をネタに笑ってるとあんたのこと全部話すよ」
「いや、俺、京子ちゃんの悪口言ってないから。 だからこうしてナベさんを連れてきたんだから。
ねっナベさん?」
「ナベさんこいつ詐欺師だから気をつけてね」
狸小路に笑いが響いた。
小一時間話した。
「あんたと話してたら客が全部警戒して逃げてったよ。 今日は店じまいする。蛯子のおごりで
居酒屋リンちゃんにいって飲むか? ナベさんも時間ある?」
三人は居酒屋リンちゃんの暖簾をくぐった。
「あら、詐欺師蛯子さん久しぶりです」
京子が「ねっ、ナベさんこいつの詐欺師有名でしょ?」
「ホントなんですね」
「ナベさん本当でないですから」蛯子が言った。
みんな笑った。
「ママ、こちらナベさん。 俺と同じ職場の人で、京子ちゃんの話しをしたら是非会いたいっていうから
狸に連れて行ったの」
「こちらは俺たち余市の幼なじみが利用する店で、居酒屋リンちゃんのマチコママ」
「渡辺と申します。 初めまして」
「ママ、ナベさんに詐欺師の話しをしてたら、この蛯子がしてませんってぬかすのよね。
ママからも言ってやってよ」
「そう、蛯子さんは詐欺なんかしてませんよね」
「ほらナベさん」
ママが「未遂で終わったのよね」
全員が笑った。
京子が「私、なんで初対面のナベさんにチャネリングのコツを話したか解ります?」
「僕も、初対面でここまで教えてもらっていいのかなって思いました。 今でも不思議です」
「挨拶されたときナベさんのガイドがレクチャーして下さいって私に語りかけてきたのよ。
それで初対面だけどコツを話したの。 ネッ! ママ」
「なるほどね。もっと言うと濃い関係ね」
ナベが「ママさんも京子さんと同じタイプなんですか?」
京子は「ナベさんあんたもね、私、知ってたよ。 あんたも不思議体験が多く話しの解る人間を
長年捜してたでしょ」即答した。
蛯子が「俺は?」自分を指さした。
「蛯子あんたは詐欺師がピッタリだよ、その中途半端さ天性の素質がありそう」
「がっ!」
京子が「さっ乾杯! 蛯子さんゴチになりま~す」
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