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4「私はマリ、進路で悩んでますけどなにか?」
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4「私はマリ、進路で悩んでますけどなにか?」
マリが店にやってきた「店長、アヤミさんおはようございま~す」
「マリちゃんおはようさん。僕、これから打合せで札幌に行ってくるからアヤミちゃんと店番お願いね」
「はい、わかりました」
アヤミが「マリ、そろそろ進路考えないとね…」
「そうなんですよ、私、やりたいこと無いんです。アヤミさんはどうでした?」
「私の場合はとりあえず旅に出て色んな人と友達になったね。そのうちにアクセサリーとか作って路上で売ったり。東南アジアの安い工芸品を買ってきて販売して今があるのよ。手職は強い味方。マリは何が出来る?」
「中国拳法と書道しかないです」
「書道か、そうだ!この色紙になんか文字書いてみてくんない」
「いいですけど…なんて書きます?」
「そうね…空がいい。空ひと文字」
マリは一気に空を書いた。
「おっ、いいね。バランスがいいよ、いけるよこれ。まだ八枚あるから全部書いてよ」
そう言って結局、道・雲・龍・光・魂・心・宙・喝と一気に書いた。
「よし次は名前だね、何が好い?」
「ピリカが好きです」
「書だから漢字だろうが!」
「これはどうですか?」
比莉花と書いた。
「うん好いかもしれない!決定」そう言いながらガラスケースの中に9枚を飾った。
「一枚3千円ぐらいでどう?」
「良いですけど店長に許可は?」
「な~~に、帰ってくる前に全部売っちゃおうよ」
アヤミはポップに【チャネラー比莉花 直筆】(当店限定)と書いた。
客が訪ねた「すいませんけど、この書はなんですか?」
「これはチャネラーの比莉花先生が、この店限定で書いてくれたんです。独特と味のなにかがあるでしょ。比莉花先生本人は否定してるけど、買った人は特別なバイブレーションが伝わると評判なんですよ。この書には何らかのパワーがあるみたいなんです。私も一枚持ってるの。これはさっき入荷したばっかりなので、たぶん次は来月まで入荷しません。旅の土産にどうですか?」
店長が戻る前に9枚すべて完売した。
「7千円は所場代として店長に、残りは山分けしようか」
マリはアヤミのさばき方に敬服した。
「アヤミさん凄いですね」
「路上で小物販売してたから売るコツを知ってるだけよ。この店に来る女の子は路上の客と比べると案外簡単なんだ」
「アヤミさんそのコツ教えてもらえないですか?」
「教わってどうするのよ。まさかマリも路上販売やろうなんて思ってないでしょうね」
「なんでですか?色んな人と知り合いになれて楽しいと思いますけど」
「そりゃ楽しいけどさ、生活は安定しないよ。雨の日もあるし、変な酔っぱらいだとか極道者の嫌がらせなんて頻繁にあるんだよ」
「私そういうのかまいませんけど」
「とりあえず卒業まで時間あるからじっくり考えな。そうだ今度の土曜日に私と狸小路に行ってみようか?路上販売の連中紹介するよ。面白いのいるんだよ。そうだ、その人もピリカって云うんだ味のある姉さんだよ…」
土曜の夜九時、ここは札幌の狸小路というアーケード商店街。二人の姿があった。
「おや?珍しいね。アヤミじゃないかい。しばらくだね元気してたのかい?」
「ピリカ姉さんご無沙汰です」
マリが「ピリカさんですね。初めまして私マリといいます」
アヤミが「そう、この姉さんはこの辺を仕切ってる占い師のピリカ姉さん。この辺のことはなんでも聞いて」
「マリさんか…あんた好い人相してるね、私の目を視てごらん」
マリはピリカを凝視した。マリは初めて味わう感覚を覚えた。全てを見透かされているような。でも、今までで経験したことのない暖かさも感じられた。心の中でこの人はなに者?疑問と不安が同時に湧いた。
「マリ、マリ、おいマリ…」
「あっ、アヤミさん…なにか?」
「どうした?目が宙に浮いてるよ」
ピリカが「アヤミ、この娘はなにしてるんだい?」
「さすがピリカ姉さん。やっぱり分かるんだ。私もそう思ったから連れてきたの。マリはまだ高校3年生なの」
「そうなんだ、で、卒業したら上の学校に行くのかい?」
「いえ、まだ決まってません」
「そっかい、じっくり決めなよ。折角の自分だけの人生なんだから納得のいく道を歩んでね」
「はい」
それから二人は狸小路を一時間ほどぶらつき小樽に帰った。
「どうだった」
「うん、あのシリパさんが印象的で後のことはハッキリいってあまり憶えてません」
「分かるよ。私もピリカ姉さんと初めて会った時は衝撃的だった。シリパ姉さん独特のバイブレーションだからね」
「やっぱり大人の世界って面白いですね」
「黙っててもすぐなるよ」
「マリ先輩おはようございます」書道部二年生の長尾だった。
「はい、おはよう」
「先輩、最近部活に来ないですね、どうかしました?」
「うん、子供の頃から書道やってると飽きる時もあるかもね」
「たまには顔出して下さい。マリ先輩がいないと作業に集中できるんだけど。面白さが半減しますから」
「あたしゃ、あんたらの何なのさ?」
「書道部のムードメーカーですけど…」
「お前も何でも思ったこと正直に云うね…分かった。今日顔出すから。しっかり私の分の墨をすっておきなね!中途半端にすらないでよ」
「お疲れ~久々の書道部。やっぱ墨の香りは落ち着くね」
「マリ先輩お久しぶりです」
「おつ、花江元気してたかい?」
「はい」
「さ~て?墨は?」
「出来てま~す」
「ありがとう」
マリは一気に10枚を書き上げた。
「先輩相変らず大胆ですね・・・どうしたらこんなの
書けるのかな?」
相変らず紙からはみ出しても気にせず、書き殴った字だけれど、訂正する箇所が無いスキのない字だった。顧問の花岡はマリのそこを入部した当初から認めていた。そこに花岡が入ってきた。
「おっ、マリ部活に来てたのか、ご無沙汰だな」
マリの書いた作品を見て「うん、前にも増して大胆になった。でも、字に迷いが感じられるけど…なんかあったか?」
マリが「ジッタ凄いよ、結構眼力あるじゃん。そう、迷いがあるんだよね。進路のことで」
「ほ~う、マリでも人並みに迷いがあるんだ…」
「おい、ジッタ人並みってどういう事さ?人並みって…」
「いや、先生の失言…謝る」
「もう遅い、私、しっかり聞いたけど!」
そのやり取りを見ていた他の部員は「これだよな、書道部名物、先生とマリ先輩のボケとツッコミ…」
マリが「おい、多田なんか言ったか?」
「いえ、何にも言ってません」
「そっかい・・・ならいいけど」
こうしてマリの久しぶりの部活は半分以上が二人のボケとツッコミ、そして笑いで終った。
「今日はこれで帰るから、また来るよ。じゃあ、お疲れさん」
久々に部活を楽しんだ。やっぱ墨の匂いって心落ち着くと改めて実感していた。
帰宅途中「マリさ~ん」後ろから声がした。
振り向くと後輩の新見直子だった。
「おっ、直子久しぶりだね」
「はい、お久しぶりです。わたし見ましたよ」
「なんだい唐突に、で、なに見た?」
「スピリチュアルショップでバイトしてるマリ先輩を」
「えっ、通ったなら声を掛けてくれたらよかったのに」
「うん、かけようと思ったら、急にマリ先輩大きな声で呼び込みを始めたから声かけにくくて…」
「そっか、直子に見られてたか」
「あれってどんなお店なんですか?」
「若い女子を騙して商品を売りつけるインチキな店」
「えっ?インチキなんですか?受けるんですけど…」
「ば~~か、うっそ。いろんなスピリチュアルな商品あるんだ。水晶だとかタロットカードなんかも売ってるし、詳しくは解らないけどね、今度きなよ」
「はい、今度顔出します。じゃぁ私こっちの道行きます」
「おう、遊びにおいで。直子に合った水晶探しておくからね、好い男性と出会える効力ある水晶を、どう?」
「マリ先輩きたいしてま~す」
放課後の職員室花岡が「マリは進路どうするんだ?」
「先生… 私……やりたいです」
「…なに?…もう一度聞いていいかな?」
「だから…私……やりたいです」
「なにを?」
「おい、ジッタしっかり聞けよ!」
「うん、ごめん」
「私は卒業したらファッションモデルになりたい」
「…だから…なんで?」
「なんで?って…なんで?そんなこと聞くの?」
「だって、どういう発想からモデルなのよ。先生をからかってるわけ?」
「うん、からかってる、ハハ、ばっかじゃないの…なんで私がモデルなの、もういい加減解れよな…私と何年付き合ってるんだ…たく」
「お前冗談きつい…先生マリについていけないよ」
「ごめん、まだ進路どうしようかなって考えてま~す。
やっぱ、ジッタの嫁さんになろうかな…私もらってくれる?どう?」
「先生、お前さえ良ければあれ?マリ?何処行った?」
既にマリは走りだし遠くから「ジッタのバ~カ」
END
マリが店にやってきた「店長、アヤミさんおはようございま~す」
「マリちゃんおはようさん。僕、これから打合せで札幌に行ってくるからアヤミちゃんと店番お願いね」
「はい、わかりました」
アヤミが「マリ、そろそろ進路考えないとね…」
「そうなんですよ、私、やりたいこと無いんです。アヤミさんはどうでした?」
「私の場合はとりあえず旅に出て色んな人と友達になったね。そのうちにアクセサリーとか作って路上で売ったり。東南アジアの安い工芸品を買ってきて販売して今があるのよ。手職は強い味方。マリは何が出来る?」
「中国拳法と書道しかないです」
「書道か、そうだ!この色紙になんか文字書いてみてくんない」
「いいですけど…なんて書きます?」
「そうね…空がいい。空ひと文字」
マリは一気に空を書いた。
「おっ、いいね。バランスがいいよ、いけるよこれ。まだ八枚あるから全部書いてよ」
そう言って結局、道・雲・龍・光・魂・心・宙・喝と一気に書いた。
「よし次は名前だね、何が好い?」
「ピリカが好きです」
「書だから漢字だろうが!」
「これはどうですか?」
比莉花と書いた。
「うん好いかもしれない!決定」そう言いながらガラスケースの中に9枚を飾った。
「一枚3千円ぐらいでどう?」
「良いですけど店長に許可は?」
「な~~に、帰ってくる前に全部売っちゃおうよ」
アヤミはポップに【チャネラー比莉花 直筆】(当店限定)と書いた。
客が訪ねた「すいませんけど、この書はなんですか?」
「これはチャネラーの比莉花先生が、この店限定で書いてくれたんです。独特と味のなにかがあるでしょ。比莉花先生本人は否定してるけど、買った人は特別なバイブレーションが伝わると評判なんですよ。この書には何らかのパワーがあるみたいなんです。私も一枚持ってるの。これはさっき入荷したばっかりなので、たぶん次は来月まで入荷しません。旅の土産にどうですか?」
店長が戻る前に9枚すべて完売した。
「7千円は所場代として店長に、残りは山分けしようか」
マリはアヤミのさばき方に敬服した。
「アヤミさん凄いですね」
「路上で小物販売してたから売るコツを知ってるだけよ。この店に来る女の子は路上の客と比べると案外簡単なんだ」
「アヤミさんそのコツ教えてもらえないですか?」
「教わってどうするのよ。まさかマリも路上販売やろうなんて思ってないでしょうね」
「なんでですか?色んな人と知り合いになれて楽しいと思いますけど」
「そりゃ楽しいけどさ、生活は安定しないよ。雨の日もあるし、変な酔っぱらいだとか極道者の嫌がらせなんて頻繁にあるんだよ」
「私そういうのかまいませんけど」
「とりあえず卒業まで時間あるからじっくり考えな。そうだ今度の土曜日に私と狸小路に行ってみようか?路上販売の連中紹介するよ。面白いのいるんだよ。そうだ、その人もピリカって云うんだ味のある姉さんだよ…」
土曜の夜九時、ここは札幌の狸小路というアーケード商店街。二人の姿があった。
「おや?珍しいね。アヤミじゃないかい。しばらくだね元気してたのかい?」
「ピリカ姉さんご無沙汰です」
マリが「ピリカさんですね。初めまして私マリといいます」
アヤミが「そう、この姉さんはこの辺を仕切ってる占い師のピリカ姉さん。この辺のことはなんでも聞いて」
「マリさんか…あんた好い人相してるね、私の目を視てごらん」
マリはピリカを凝視した。マリは初めて味わう感覚を覚えた。全てを見透かされているような。でも、今までで経験したことのない暖かさも感じられた。心の中でこの人はなに者?疑問と不安が同時に湧いた。
「マリ、マリ、おいマリ…」
「あっ、アヤミさん…なにか?」
「どうした?目が宙に浮いてるよ」
ピリカが「アヤミ、この娘はなにしてるんだい?」
「さすがピリカ姉さん。やっぱり分かるんだ。私もそう思ったから連れてきたの。マリはまだ高校3年生なの」
「そうなんだ、で、卒業したら上の学校に行くのかい?」
「いえ、まだ決まってません」
「そっかい、じっくり決めなよ。折角の自分だけの人生なんだから納得のいく道を歩んでね」
「はい」
それから二人は狸小路を一時間ほどぶらつき小樽に帰った。
「どうだった」
「うん、あのシリパさんが印象的で後のことはハッキリいってあまり憶えてません」
「分かるよ。私もピリカ姉さんと初めて会った時は衝撃的だった。シリパ姉さん独特のバイブレーションだからね」
「やっぱり大人の世界って面白いですね」
「黙っててもすぐなるよ」
「マリ先輩おはようございます」書道部二年生の長尾だった。
「はい、おはよう」
「先輩、最近部活に来ないですね、どうかしました?」
「うん、子供の頃から書道やってると飽きる時もあるかもね」
「たまには顔出して下さい。マリ先輩がいないと作業に集中できるんだけど。面白さが半減しますから」
「あたしゃ、あんたらの何なのさ?」
「書道部のムードメーカーですけど…」
「お前も何でも思ったこと正直に云うね…分かった。今日顔出すから。しっかり私の分の墨をすっておきなね!中途半端にすらないでよ」
「お疲れ~久々の書道部。やっぱ墨の香りは落ち着くね」
「マリ先輩お久しぶりです」
「おつ、花江元気してたかい?」
「はい」
「さ~て?墨は?」
「出来てま~す」
「ありがとう」
マリは一気に10枚を書き上げた。
「先輩相変らず大胆ですね・・・どうしたらこんなの
書けるのかな?」
相変らず紙からはみ出しても気にせず、書き殴った字だけれど、訂正する箇所が無いスキのない字だった。顧問の花岡はマリのそこを入部した当初から認めていた。そこに花岡が入ってきた。
「おっ、マリ部活に来てたのか、ご無沙汰だな」
マリの書いた作品を見て「うん、前にも増して大胆になった。でも、字に迷いが感じられるけど…なんかあったか?」
マリが「ジッタ凄いよ、結構眼力あるじゃん。そう、迷いがあるんだよね。進路のことで」
「ほ~う、マリでも人並みに迷いがあるんだ…」
「おい、ジッタ人並みってどういう事さ?人並みって…」
「いや、先生の失言…謝る」
「もう遅い、私、しっかり聞いたけど!」
そのやり取りを見ていた他の部員は「これだよな、書道部名物、先生とマリ先輩のボケとツッコミ…」
マリが「おい、多田なんか言ったか?」
「いえ、何にも言ってません」
「そっかい・・・ならいいけど」
こうしてマリの久しぶりの部活は半分以上が二人のボケとツッコミ、そして笑いで終った。
「今日はこれで帰るから、また来るよ。じゃあ、お疲れさん」
久々に部活を楽しんだ。やっぱ墨の匂いって心落ち着くと改めて実感していた。
帰宅途中「マリさ~ん」後ろから声がした。
振り向くと後輩の新見直子だった。
「おっ、直子久しぶりだね」
「はい、お久しぶりです。わたし見ましたよ」
「なんだい唐突に、で、なに見た?」
「スピリチュアルショップでバイトしてるマリ先輩を」
「えっ、通ったなら声を掛けてくれたらよかったのに」
「うん、かけようと思ったら、急にマリ先輩大きな声で呼び込みを始めたから声かけにくくて…」
「そっか、直子に見られてたか」
「あれってどんなお店なんですか?」
「若い女子を騙して商品を売りつけるインチキな店」
「えっ?インチキなんですか?受けるんですけど…」
「ば~~か、うっそ。いろんなスピリチュアルな商品あるんだ。水晶だとかタロットカードなんかも売ってるし、詳しくは解らないけどね、今度きなよ」
「はい、今度顔出します。じゃぁ私こっちの道行きます」
「おう、遊びにおいで。直子に合った水晶探しておくからね、好い男性と出会える効力ある水晶を、どう?」
「マリ先輩きたいしてま~す」
放課後の職員室花岡が「マリは進路どうするんだ?」
「先生… 私……やりたいです」
「…なに?…もう一度聞いていいかな?」
「だから…私……やりたいです」
「なにを?」
「おい、ジッタしっかり聞けよ!」
「うん、ごめん」
「私は卒業したらファッションモデルになりたい」
「…だから…なんで?」
「なんで?って…なんで?そんなこと聞くの?」
「だって、どういう発想からモデルなのよ。先生をからかってるわけ?」
「うん、からかってる、ハハ、ばっかじゃないの…なんで私がモデルなの、もういい加減解れよな…私と何年付き合ってるんだ…たく」
「お前冗談きつい…先生マリについていけないよ」
「ごめん、まだ進路どうしようかなって考えてま~す。
やっぱ、ジッタの嫁さんになろうかな…私もらってくれる?どう?」
「先生、お前さえ良ければあれ?マリ?何処行った?」
既にマリは走りだし遠くから「ジッタのバ~カ」
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