小説請負人Hisae 全8話

當宮秀樹

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4妖精ミミ

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4妖精ミミ

「最近、暇よね・・・ここのとこ仕事の依頼が無いのよね?この美貌だしホステスでもしようかな……」

そう、最近は仕事の依頼が入っていない。

ぼ~と宙を眺めていた時だった。クローゼットの下に何やら影が動いた。
ネズミ?まさかね…あっ?ゲゲッ……
手のひら大の子人さんと思われる姿があった。

ゲゲッ、ゲゲッ!妖精?Hisaeは言葉を失った。その人影はHisaeに軽くお辞儀をして話かけてきた。 

「こんにちは…」

Hisaeも恐る恐る「こんにちは…あんた誰?」

「ミミ」

「ミミちゃん?私はHisaeだけど…」

「ワタシHisaeさん知ってます」

「あっそう、なんで?そしてなしてここにいるの?」

「私にも小説書いてもらえますか?」

「小説?書けるけどあんた小さいのに本を手で持って読めるの?」単純な質問であった。

「Hisaeさんが読んで下さいナ」

「良いけど、ミミちゃんはお金持ってるの?」

「これじゃあ駄目ナ?」

ミミは小さな手を差し出した。手の中にあったのは透明な石。

「何にこれ?」

「この石は不思議な石なのナ」

「どう不思議なの?」

「これを持ってると動物と話が出来るナ」

「嘘でしょ…マジ?」

「じゃあこれを持ってベランダに出てみるナ。意識を鳥に集中させるナ。やってみてナ」

Hisaeは云われたとおり、ベランダに出て試すことにした。電線に止まっている数羽のスズメに
意識を向けた。

「今日は暑いね」

「今日、もっと暑くなる」

「夕方はハヤブサに気をつけなさいよ」

「解った母さん」

解る、スズメが会話してる。

ミミのほうを振り返り「こんな大事なものもらえないわよ」

「いいです。私は無くても話が出来るナ」

「そう…で、どんな小説書いて欲しいの?……その前にあんた餅食べる?」

「はい、Hisaeさんドングリ食べるナ?」

「ドングリいらねぇ」

「さっき採ってきた新鮮なドングリですナ」

「だからいらねぇし」

「綺麗になりますよ」

「?……本当に、どれ、ひとつちょうだい」

「どうぞ」ミミは差し出した。

「しぶッ」

「で、ミミさんはどんな小説書いてほしいの?」

「で、へ、へ、へ、へ」

「なに!気持ちわる」

「私は北キツネのヤーが好きなんです。でも、立場が違うからってミルキー婆さんが反対するんだ。 
私はしきたりに反対できないから、せめて小説だけでもいいから夫婦になりたナ……」

「そっか…でも 、夫婦になって子供が出来てそれでどうするのよ?」

「とにかく一緒に居たいの・・・」

「一緒にいればいいじゃない・別に結婚しなくてもいいジャン」

「うっ…うううっ……」ミミは泣きそうになった。

「泣くな!」

「ハイ」

すぐ泣きやんだ「はやっ……」

Hisaeが呆れたように「まあ小説考えるけどこの石は普通にそこら辺に落ちてるのかい?」

「これはミミの先祖から伝わるお宝!らしいナ」

「そんな大事なもの持ち出して、私にくれて良いのかい?」

「だってみんな動物と話が出来るから必要ないもん」

「必要ないってさあ……家宝でしょが?」

「ミミはヤーのほうが宝」

Hisaeは内心「めんどうくせ~」と思った。

「解った。じゃあ私の話し聞いてくれる? まず、その石は受け取れません。大事に持って帰って
元の所に置いてください。 無料で小説書きますから」

「それと、ミミちゃんがキツネになるの?キツネが妖精になるの?どっちがいい?」

「何それ?……ナ」

Hisaeは怒りを抑えた「キツネと妖精は違うでしょ?キツネはこの位の大きさでミミちゃんは
この位でしょ?」

「違うのら、意識だけだから身体関係ないのら」

「あのねぇ、結婚というのは一心同体といって、お互いの心と体がひとつになるという事なの。
それが人間世界でいう結婚なのね」

ミミが下を向いて「ミミは身体無いから」

「じゃあ聞いていい?ミミちゃんの結婚ってどういう事なの?」

「……?」

「もう一度考えてからきなね。いつでも書いてあげるから」

「わたし何でここに来たんだろうナ?」ミミは突然消えた。

「今のなに?……寝る」


      END

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