砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎ 〜Romance in Abū Dhabī〜 【Alphapolis Edition】

الفصل ٦「CEOの第三夫人爆誕！」

⑤

   サマラさんの案内で、あたしの私室からcorridor廊下に出て、マーリク氏のリビングルームとは反対側へと歩いていく。dinner夕食が用意されたダイニングルームへと向かうためだ。

「マミコさん、待ってください」
   足早に、ムフィードさんが駆け寄ってきた。

——あら、まだいたんだ。

「ماذا حدث يا عاطف؟」
    サマラさんが訝しげな目をして言った。
「أمي ، لا أعرف لماذا ، لكن صاحب السمو الملكي جميرة موجود هنا」
    ムフィードさんがそう言って肩をすくめた。

    すると、サマラさんは踵を返しながらあたしに言った。
「Ma'am, could you please come into that  room?」
〈奥様、あちらの部屋に入ってくださいますか？〉

「Uh, yeah....」
〈え、えぇ……〉
    なにがなんだかわからないけど、とりあえず肯いた。

    そして、サマラさんが促す部屋に向かおうとした、そのとき……

「Hey, you! 」
〈ちょっと、あなた！〉

    いきなり、大声で行く手を制された。

「Where are you going? I'm telling you to wait up! 」
〈どこへ行くつもり？待ちなさいって言ってるのよ！〉

    思わず振り返ると、髪こそヒジャブで覆っているが、この国の女性にしてはめずらしく上下スーツ姿の人が腕を組んで立っていた。
    だけど、サマラさんのようにニカーブを付けておらず、顔は隠れていない。

——うっわーっ、すっごい美人！
    中東美女、というのは彼女のような女性ひとのことを言うのだろう。

    意志の強そうな濃い眉に、瞬きするたびにバサバサと音を立てそうなくらい豊かな睫毛まつげに縁取られた、くっきりと大きな二重ふたえの黒曜石の瞳。すっ、と伸びた鼻頭がとても高くて、真紅のルージュが引かれた厚めのくちびるはぷっくりとしていて妖艶だ。

    しかも、長身のムフィードさんと同じくらいの背丈にもかかわらず顔がものすごく小さい。
    スーツのジャケットは胸の部分が盛り上がっているのに、ウェストの部分はキュッと細い。膝丈のスカートに納められたお尻はふっくらと大きそうなのに、その下へ伸びた脚は絶妙に筋肉のついた細さで膝下からが恐ろしく長い。

——なんか、ハリウッドの女優さんみたい。それとも、あたしが知らないだけで、もうすでにスーパーモデルなのかなぁ？

「…Is it true that you're his "third wife"?」
〈あなたが、彼の「第三夫人」って本当なの？〉