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Chapter 4
③
しおりを挟む風呂から出ると、ダイニングテーブルの上には彩り豊かな料理が並んでいた。
妻は結婚するまで、まったくと言っていいほど料理をしたことがなかったので、新婚当初はブロッコリーが茹でられずに生のまま、食卓に上ったこともあった。
目の前の手際よくつくられた料理を見ていると、隔世の感がある。
「ビール、呑む?」
妻が上目遣いで訊く。
こんなときなのに……
——なんで無駄にかわいいんだよっ。
「今日は呑まないよ。明日ゴルフで朝早いしな。……おまえ、素面のおれに、話したいことがあるんだろ?」
妻はこくっ、と肯いた。
「じゃあ、メシ食ったら……おまえの話を聞くから」
メシを食ったあと、妻が後片付けしている間は、ソファにゆったり座ってアームレストに肘を置き、オットマンに脚を投げ出して、五〇インチのテレビを観ていた。
だが、なにを観ても頭の中に入ってこないので、仕方なくサ◯テレビの阪神戦を観る。神戸を中心とした地方局の特性を活かして、たとえどんなに延長しようとも、それがどんなに阪神の負け試合になろうとも、必ず最後のイニングまで放映し続けるという。
今日の相手は広島カープだ。最近、広島の有力選手が阪神のトレードでの補強要員になっている。広島は、高校球児の練習かっ⁉︎ってくらいキツそうだが若手を育てるのが上手いし、またスカウトの目の付け所が斜め上を突っ走っていて、とんでもない外国人助っ人をリーズナブルに見つけてくる。
そんなことをつらつら考えて、現実逃避していたそのとき、ソファの前のローテーブルの上に置かれた妻のスマホのバイブが、一瞬ヴヴヴッと鳴いた。
ディスプレイに、送付されたL◯NEのメッセージがポップアップされる。
——あいつ、いつの間にL◯NEまで……
凌牙【サーヤ、もうダンナに話した?】
続けて現れる。
凌牙【L◯NE待ってる】
そして……
凌牙【早く明日が来ないかな】
最後は……
凌牙【サーヤに会って、早く話がしたい】
——おれの顔から、血の気がひいた。
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