もう一度、愛してくれないか

佐倉 蘭

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Chapter 4

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 風呂から出ると、ダイニングテーブルの上には彩り豊かな料理が並んでいた。

 妻は結婚するまで、まったくと言っていいほど料理をしたことがなかったので、新婚当初はブロッコリーが茹でられずに生のまま、食卓に上ったこともあった。
 目の前の手際よくつくられた料理を見ていると、隔世の感がある。

「ビール、呑む?」
 妻が上目遣いで訊く。

 こんなときなのに……
 ——なんで無駄にかわいいんだよっ。

「今日は呑まないよ。明日ゴルフで朝早いしな。……おまえ、素面シラフのおれに、話したいことがあるんだろ?」
 妻はこくっ、と肯いた。

「じゃあ、メシ食ったら……おまえの話を聞くから」


 メシを食ったあと、妻が後片付けしている間は、ソファにゆったり座ってアームレストに肘を置き、オットマンに脚を投げ出して、五〇インチのテレビを観ていた。

 だが、なにを観ても頭の中に入ってこないので、仕方なくサ◯テレビの阪神戦を観る。神戸を中心とした地方ローカル局の特性を活かして、たとえどんなに延長しようとも、それがどんなに阪神の負け試合になろうとも、必ず最後のイニングまで放映し続けるという。

 今日の相手は広島カープだ。最近、広島の有力選手が阪神のトレードでの補強要員になっている。広島は、高校球児の練習かっ⁉︎ってくらいキツそうだが若手を育てるのが上手いし、またスカウトの目の付け所が斜め上を突っ走っていて、とんでもない外国人助っ人をリーズナブルに見つけてくる。

 そんなことをつらつら考えて、現実逃避していたそのとき、ソファの前のローテーブルの上に置かれた妻のスマホのバイブが、一瞬ヴヴヴッと鳴いた。
 ディスプレイに、送付されたL◯NEのメッセージがポップアップされる。

  ——あいつ、いつの間にL◯NEまで……


 凌牙【サーヤ、もうダンナに話した?】 

 続けて現れる。

 凌牙【L◯NE待ってる】

 そして……

 凌牙【早く明日が来ないかな】

 最後は……

 凌牙【サーヤに会って、早く話がしたい】


 ——おれの顔から、血の気がひいた。

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