カラダから、はじまる。

佐倉 蘭

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【Extra Secret】あなたは知らない

Epilogue ⑤〈完〉

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——あぁっ、もう! すんげぇ、ムカつく。

「僕の両親は、諸手もろてを挙げてあなたを歓迎すると、いつも言ってるでしょう?」

   彼らは、だれよりも自分の息子のことをわかっていた。そして、だれよりも危惧していた。
   なので、「よくぞ、こんな得体の知れない腹黒策士の息子のもとへ嫁いでくれる気に…」と七瀬に対しては感謝感激しているくらいだ。

——マジで、僕があなたを「どんなふうにして」手に入れたのか、洗いざらい言ってやろうか?

「だって……」

「やっぱりあなたは、賢いくせにとんでもなくバカだ」

   高木は心に湧き上がってくる激情を抑えきれず、七瀬に噛みつくようなキスを仕掛ける。

   なぜなのかは……自分でもわからない。
   このひとの、どこにこんなに魅きつけられるかなんて、僕にはさっぱりわからない。

「えっ……ちょっと……真澄くん……⁉︎」

   気がついたそのときには、もう——完全に囚われていた。
   もう、見知らぬ男を「お持ち帰り」して憂さを晴らすような、バカなことをさせたくなかった。

   あんなに哀れで……寂しそうな顔を、もうさせたくはなかった。

   ぐらりとバランスを崩した七瀬を、絶対にのがしはしないとしっかりと抱きとめつつ、高木はラグの上に彼女を押し倒して組み敷く。

——こんなに、愛してるのに……あなたは、なにもわかっていない。

   だが、自分をこんなふうに、なりふり構わず見境なくさせてしまうのは——後にも先にもこのひとしかいない、ということだけはわかる。

   これから先、なにがあっても——もう、手離せない、ってことだけはわかる。

   だから、これから先も……

——あなたはなにも、知らなくていい。













「あなたは知らない」〈 完 〉
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