73 / 460
第5章 魔王襲来編
73話 思ってたのと違うっ!!
しおりを挟む
「……」
これが、伝説に語られる英雄の力。
これが、400年にわたって帝国を守り続けてきた現人神と称される皇帝陛下の実力!!
「すごい……」
まさか、こうもアッサリと……それも、魔王の最高幹部を瞬殺しちゃうなんてっ!
「すごい! すごい! えっと、なんというか……とにかくすごいですっ!!」
目を離したわけでもないのに気が付いたらジンの背後にいて、一瞬でその首を刎ね飛ばした圧倒的なスピード!
そして、ボワッと空気に溶けるように切っ先から消えた白い剣!!
たぶん、ジンを包み込んで消滅させた白い炎を圧縮して作られた白炎の剣だったんだろうけど……なにあれ!? 超カッコいいじゃないですかっ!!
魔王ナルダバートの最高幹部。
五死の一人である幻殺のジンを歯牙にも掛けない、この圧倒的な強さ!
語彙力がヤバいことになっちゃうほどに、とにかくすごいっ!
「ふふっ、まぁこのくらいはね」
「あの剣! 白い剣はなんだったんですかっ!?」
「あぁ、アレは神炎の太刀と言ってね。
神聖な白き神の炎を凝縮して形作った、実体を持つ炎の剣。
不死者の弱点である火属性と神聖属性、双方を兼ねているから対不死者には最適なんだよ」
「へ~!」
やっぱり、あの超カッコいい白い剣は炎を凝縮して作られた剣だったんだ!
触れることはできても掴むことなんてできない炎を……
「こんな感じかな~?」
「ん? ソフィーちゃん何を……」
炎を物質化して握れるまでに!
魔王の最高幹部の首ですら一刀のもとに刎ね飛ばせるようになるまで硬く、鋭く! 一気に極限まで圧縮する!!
「むぅ~!」
けっこう難しいけど、あとはこの形のまま押しとどめるっ!
「ふぅ~、できたっ!」
『ぴろん!
エクストラスキル・神炎の太刀を獲得しました!』
「よし!」
ちゃんとスキルも獲得できたし、ボワッと空気に溶けるように切っ先から消すこともできた!
「むふふっ!」
我ながら完璧だわっ!!
「……まさか、一度見て軽く説明を聞いただけで再現されるとは思わなかったよ」
「ふふんっ!」
確かにけっこう集中力が必要で、難しいけど……さっきの皇帝陛下と幻殺のジンの戦いは〝探究者〟の権能を使いながらしっかりと見させてもらったし!
私にかかればこの通り! この程度は当然なのだっ!!
「ふふふ、流石は私の教え子ね」
「アレでまだ10歳なんだから末恐ろしいわ」
「まったくだよ……」
「ふっふっふ~ん!」
マリア先生、ガルスさん、皇帝陛下と伝説に謳われる3人から褒められるなんてさすがは私!
自分の力を過信して自惚れるわけにはいかないけど……自画自賛しちゃうわ!
もっと私を褒め称えるです!!
「あぁ~もう! ルミエ様、見ましたかっ!?」
「えぇ、バッチリ! ドヤ顔をするソフィーが可愛いわっ!」
「ぐっ……なんて破壊力だ!! 私の娘は、私達の天使はどれほど可愛いんだっ!?」
「ソフィーのドヤ顔をこの目に……魂に焼き付けなければ!!」
「ルミエ様! 今のもバッチリ撮影してましたよねっ!?」
「ふふっ、当然よ」
「……」
違うっ! なんか思ってたのと違うっ!!
「うぅ~!」
恥ずかしいからもうやめてぇ~っ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ジンがやられた」
イストワール王国が王都ノリアナより数キロの地点に存在する朽ち果てた教会跡。
その朽ち果てた外観とは異なり整えられた教会の中で椅子に腰掛け、目を瞑っていた男がゆっくりと目を開いて静かに告げる。
「ほう」
「へぇ、流石だね」
「まぁ、相手があの現人神じゃあ仕方ないわ。
相手が悪かったわね」
男の言葉を受けて、思い思いに寛いでいた3名の人物。
巨体の男にが感心したように、少年が楽しげに、妖艶な美女が当然だとばかりに軽く返す。
「それで? 現人神の他に大賢者と冒険王もいるんでしょう?」
「あぁ」
「本当に、僕達は損な役回りだよね」
妖艶な美女の質問に肯定で返した男の言葉に少年が戯けるように笑みを浮かべる。
「どうするのかしら?」
「……仕方ないさ。
これが我々の任務なのだから」
「クックック! そうこなくてはなっ!!」
「はぁ、仕方ないわね」
「じゃあ行きますか!」
巨体の男が豪快に笑い、妖艶な美女がため息をついて肩を落として、少年が楽しげに笑みを浮かべる。
「行くぞ」
男が呟いた次の瞬間……朽ちた教会にいたはずの4人の姿が、最初から誰もいなかったかのように消え失せた。
これが、伝説に語られる英雄の力。
これが、400年にわたって帝国を守り続けてきた現人神と称される皇帝陛下の実力!!
「すごい……」
まさか、こうもアッサリと……それも、魔王の最高幹部を瞬殺しちゃうなんてっ!
「すごい! すごい! えっと、なんというか……とにかくすごいですっ!!」
目を離したわけでもないのに気が付いたらジンの背後にいて、一瞬でその首を刎ね飛ばした圧倒的なスピード!
そして、ボワッと空気に溶けるように切っ先から消えた白い剣!!
たぶん、ジンを包み込んで消滅させた白い炎を圧縮して作られた白炎の剣だったんだろうけど……なにあれ!? 超カッコいいじゃないですかっ!!
魔王ナルダバートの最高幹部。
五死の一人である幻殺のジンを歯牙にも掛けない、この圧倒的な強さ!
語彙力がヤバいことになっちゃうほどに、とにかくすごいっ!
「ふふっ、まぁこのくらいはね」
「あの剣! 白い剣はなんだったんですかっ!?」
「あぁ、アレは神炎の太刀と言ってね。
神聖な白き神の炎を凝縮して形作った、実体を持つ炎の剣。
不死者の弱点である火属性と神聖属性、双方を兼ねているから対不死者には最適なんだよ」
「へ~!」
やっぱり、あの超カッコいい白い剣は炎を凝縮して作られた剣だったんだ!
触れることはできても掴むことなんてできない炎を……
「こんな感じかな~?」
「ん? ソフィーちゃん何を……」
炎を物質化して握れるまでに!
魔王の最高幹部の首ですら一刀のもとに刎ね飛ばせるようになるまで硬く、鋭く! 一気に極限まで圧縮する!!
「むぅ~!」
けっこう難しいけど、あとはこの形のまま押しとどめるっ!
「ふぅ~、できたっ!」
『ぴろん!
エクストラスキル・神炎の太刀を獲得しました!』
「よし!」
ちゃんとスキルも獲得できたし、ボワッと空気に溶けるように切っ先から消すこともできた!
「むふふっ!」
我ながら完璧だわっ!!
「……まさか、一度見て軽く説明を聞いただけで再現されるとは思わなかったよ」
「ふふんっ!」
確かにけっこう集中力が必要で、難しいけど……さっきの皇帝陛下と幻殺のジンの戦いは〝探究者〟の権能を使いながらしっかりと見させてもらったし!
私にかかればこの通り! この程度は当然なのだっ!!
「ふふふ、流石は私の教え子ね」
「アレでまだ10歳なんだから末恐ろしいわ」
「まったくだよ……」
「ふっふっふ~ん!」
マリア先生、ガルスさん、皇帝陛下と伝説に謳われる3人から褒められるなんてさすがは私!
自分の力を過信して自惚れるわけにはいかないけど……自画自賛しちゃうわ!
もっと私を褒め称えるです!!
「あぁ~もう! ルミエ様、見ましたかっ!?」
「えぇ、バッチリ! ドヤ顔をするソフィーが可愛いわっ!」
「ぐっ……なんて破壊力だ!! 私の娘は、私達の天使はどれほど可愛いんだっ!?」
「ソフィーのドヤ顔をこの目に……魂に焼き付けなければ!!」
「ルミエ様! 今のもバッチリ撮影してましたよねっ!?」
「ふふっ、当然よ」
「……」
違うっ! なんか思ってたのと違うっ!!
「うぅ~!」
恥ずかしいからもうやめてぇ~っ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ジンがやられた」
イストワール王国が王都ノリアナより数キロの地点に存在する朽ち果てた教会跡。
その朽ち果てた外観とは異なり整えられた教会の中で椅子に腰掛け、目を瞑っていた男がゆっくりと目を開いて静かに告げる。
「ほう」
「へぇ、流石だね」
「まぁ、相手があの現人神じゃあ仕方ないわ。
相手が悪かったわね」
男の言葉を受けて、思い思いに寛いでいた3名の人物。
巨体の男にが感心したように、少年が楽しげに、妖艶な美女が当然だとばかりに軽く返す。
「それで? 現人神の他に大賢者と冒険王もいるんでしょう?」
「あぁ」
「本当に、僕達は損な役回りだよね」
妖艶な美女の質問に肯定で返した男の言葉に少年が戯けるように笑みを浮かべる。
「どうするのかしら?」
「……仕方ないさ。
これが我々の任務なのだから」
「クックック! そうこなくてはなっ!!」
「はぁ、仕方ないわね」
「じゃあ行きますか!」
巨体の男が豪快に笑い、妖艶な美女がため息をついて肩を落として、少年が楽しげに笑みを浮かべる。
「行くぞ」
男が呟いた次の瞬間……朽ちた教会にいたはずの4人の姿が、最初から誰もいなかったかのように消え失せた。
0
あなたにおすすめの小説
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい
木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。
下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。
キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。
家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。
隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。
一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。
ハッピーエンドです。
最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる