悪役令嬢は最強を志す! 〜前世の記憶を思い出したので、とりあえず最強目指して冒険者になろうと思います!〜

フウ

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第21章 魔の国編

377話 三つ巴

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「うふふっ!  びっくりしましたかぁ~?
 ピアちゃんのサプライズを、喜んでもらえたようで何よりです~!!」

「っ!」

 教団の最高幹部である十使徒の第七使徒であり、5年前のイストワール王国王都動乱事件を引き起こした張本人。
 そして……かつて私が勝てなかった人物、慈愛のピア。

 この人をバカにしたような、人の神経を逆撫でする話し方といい。
 今の私と同じくらいの15歳前後に見える見た目も、5年前からまったく変わらないわね。

「きゃー!  ソフィーちゃんに熱く見つめられちゃってますぅ~!!
 でもでも!  早く助けてあげないと、魔王レオンが死んじゃいますよ~??」

「……ふぅ~」

 落ち着け私!  ここで変にイラついても、いい事なんて何もない。
 それに……そんな事はわざわざ言われなくても!

「フィル!」

「わかってる!
 癒しの光を……天の慈光」

 暖かな白い光が……フィルが使える最上位の回復魔法が、レオン陛下を包み込む。
 この天の慈光って魔法なら手足の欠損はもちろん、瀕死の重体でも瞬く間に無傷に戻る。

 光属性、神聖属性については、フィルが私よりも優れた魔法使いだって私も認めてるし。
 サポートとか回復においては、ガルスさんとルミエ様という例外2人を除いてSランク冒険者でも右に出る者がいないほど。

 とりあえず、これでレオン陛下は問題ない。
 しかし……毎回思うけど本当になんで、フィルに天使って二つ名がつかないんだろう?
 不思議でならな……

「クッ……」

「なっ!?」

 うそっ!  レオン陛下がガクッと膝をついた!?
 フィルが回復魔法を使ってるのにどうしてっ!!

「これは……傷が回復しない?」

「えっ……」

 そんな……確かにレオン陛下は重症だけど、フィルの回復魔法でも回復しないなんて。

「ぷっ!  うふふふ~!!」

「ピア……」

「実は回復魔法で回復しちゃわないように、回復を妨害する霊薬を使っちゃいましたぁ!
 し、か、もぉ~、完璧に心臓を破壊しましたからねぇ。
 まだ生きてるのは流石ですけどぉ……残念でしたぁ~!  もう何をしても無駄なんですよぉ~!!」

「っ~!  黙れっ!!」

「いやぁ~ん!  怖いですぅ~!!」

 くそっ!  どうにか、どうにかできないのっ!?

「ふふっ、相変わらず良い趣味をしているわね」

「まったく、遊ぶのも程々にしてくださいよ?」

「キャッ!  ルイーナちゃんに褒められちゃった!
 それに比べてシュティルくん、女の子を褒めてあげれないなんてモテませんよぉ~?」

「はぁ……」

「いや、別に褒めてはいないのだけれど」

 早く!  早くどうにか……

「く、そ……っ」


 ドチャッ……


 レオン陛下が前のめりに倒れ込み、地面に真っ赤な血が飛び散る。

「うそ……」

 そんな……だってレオン陛下は魔王の一柱ヒトリで。
 ルーナ様と同格の存在で。
 あんなに、あんなに凄い魔王覇気を放ってたのに、こんなにあっさりと不意打ちで……

「まさか……」

 わかるよ、フィルの気持ち。

「ぷぷっ!  やぁ~っと、死んだみたいですねぇ~!!」

「お前っ!!」

「ソフィー、落ち着いて」

「でも!」

「落ち着きなさい」

「っ……!」

「レオン、貴方……」

 そ、そうだよね。
 ルミエ様にとって、レオン陛下はお友達だったわけだもん。
 私なんかより、よっぽど激情に駆られてるはずなのに……そのルミエ様が冷静に努めているんだから、私が取り乱すわけにはいかない。

「はぁ……仕方ないわね。
 ソフィー、フィル、あの3人は私達で片付けるわよ」

「はい!」

「了解です」

 レオン陛下……

「片付ける?  ピアちゃん達を??
 またまたぁ~、たった今目の前で、魔王レオンが殺されたのを忘れちゃったんですかぁ?」

「レオンが死んだ時点で、勝負はついたようなものじゃないかしら?」

「まったくですね。
 我々も甘く見られたものですよ」

 待っていてくださいね。

「そうね……あの男は私が始末するわ。
 ソフィーは……」

「ピアの相手をします」

「じゃあ僕がルイーナだね」

「ふふっ、大丈夫だとは思うけれど、気をつけるなよ?
 貴方達の力を見せてやりなさい」

「はいっ!」

「あはは……善処します」

 レオン陛下の仇を打って、必ずカリンさんを助け出して見せるっ!!
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