210 / 436
第12章 悪魔姫の復讐・教皇編
210話 いつ気付くのかな?
しおりを挟む
アナスタシア教国。
五大国が一角にして、大陸全土で広く信仰される女神アナスタシアを主神とするアナスタシア教の総本山。
アナスタシア教国の首都である聖都デサントの背後に聳え立つは、かつて主神たる女神アナスタシアが降臨したとされる霊峰ルミエル。
その頂上に存在する神殿。
周囲が猛吹雪に包まれていようとも、一年を通して決して穏やかで温かな太陽の光が途絶える事がない神の領域……
『ちょっと悪魔ちゃん! いきなりナレーションっぽい口調でどうしたの!?』
「えっ? 」
いや、別にこれは……
『可哀想に、疲れてるんだね。
皆んなに言って、ちょっと休んだ方が良いよ?』
いや、だから! これはちょっとふざけただけなの!!
だからその……何か憐れむような、かわいそうな子を見るような生暖かい感じをやめて欲しいんですけど!?
『あはは、流石は悪魔ちゃん! 中々にいい反応だね。
全く、恥ずかしがるなら最初からやらなければ良いのに』
っ、このヤロウ……バーカ、バーカ! このアホ邪神!!
『まぁまぁ、ちょっと揶揄っただけじゃん。
そんなに怒らないでよ』
ふん! もう知らん、邪神なんて無視だ、無視!
「ご主人様、ココアのおかわりは如何ですか?」
「ありがと……ふぅ」
さてと、マリアナにざまぁを敢行してから早1週間。
もはや勇者共がしょっちゅう行ってる会合の場所としてお決まりの神殿にて円卓を囲むのは当然、クズ勇者を筆頭とする6人!
「それで、獣王国に送った使者はどうだった?」
円卓に膝をついて両手を顔を前で組む金の髪に緑の瞳の男。
青年みたいな見た目のくせに、クズ勇者共の中で最年長。
外見詐欺の狂信者。
悠久の時を生きるハイエルフにして、アナスタシア教国の頂点に君臨する教皇クリス。
まぁ、悠久の時を生きるって言ってもまだ200歳ちょっとだけど……
とにかく! そんなクリスの問いに応えるのは当然コイツ、顔だけのクズ!
大して強くも無いくせにイキってる雑魚勇者ノアール。
「無事に帰って来たよ。
獣王……獣魔王レオンの話だと、ギルドを通して出された魔王達に関する情報は全て事実との事だ」
ふん! 何かシリアスな空気で話し合ってるけど、そんなの当然じゃん。
だって全部、嘘偽りのない事実だし。
「悪魔王国の女王って事以外に魔神について何かわかったの?」
「いいや。
残念だけどフェリシア、魔神についての追加情報は何も無いよ。
獣魔王レオンには交渉を持ちかけたんだけどね、相手にされなかったらしい」
「う~ん、わかってるのは悪魔族って事と女の人って事だけかぁ。
私達が総力を上げてこれだけ調査して外見はもちろん、名前すらわからないってちょっと不気味かも」
「確かに……でも、平和に暮らす人達の笑顔のためにも私達が頑張らないと!」
うわっ! あざとっ!!
流石はアバズレ聖女。
6年前で私の3つ上、クズ勇者と同い年の18歳だったからもう24歳なのに顔の前で両手を握りしめて拳を作るとか……流石に引くわー。
「リナ……うん、そうだね、リナの言う通りだ。
悪魔を放置すればどれだけの被害が出るかわからないからね」
キモっ!
あのあざといアバズレを見つめて微笑むクズ勇者のせいで鳥肌が……!!
「まだ正式に発表はして無いけど。
ギルドの通達を受けてマリアナが行った調査の結果、既に悪魔王国へと宣戦布告したグローリー王国、フラン帝国、アウストロ皇国は実際に滅亡していた」
「えぇ、その通りよ。
ただし、始末されたのはおバカな支配者層のみで殆どの国民は普通に暮らしていたけれど」
「そんな……!
ならすぐに苦しんでる人達を助けてあげないと!!」
うんうん! これぞアバズレ聖女。
マリアナは普通に生活してるって言ってるのに、果たしてアイツの頭の中ではどんなふうに変換されたのか。
マリアナとガスターもちょっと白けた顔をしてるし。
「おいリナ、マリアナは国民達は普通に生活してるって言ってただろ?
それに俺は反対だぜ。
20万の軍勢が一方的に敗走することになったんだぞ? それこそ魔国とやり合ったらどれだけの被害が出るのかわかったもんじゃねぇ」
「私もガスターに同感ね。
今のところ、こちらから手出しさえしなければ被害は出ていないし。
今は様子見するのが一番なんじゃ無いかしら?」
まぁ、私の目的は人類との交易ってのもあるわけだし。
欲に塗れた愚かで醜い人間共から降りかかった火の粉を払っただけで、確かに復讐対象以外でこっちから仕掛けた事はない。
それに、私の事を知ってる2人からすれば私とこれ以上敵対したくないってのもあるだろうし。
言ってる事は正しいんだけど……
「そんな……!」
「ガスター……マリアナまでどうしたんだ?
いつものキミららしく無いぞ?」
アバズレ聖女が悲壮感たっぷりで悲しそうに口元を抑え、狂信者クリスが怪訝そうに眉を顰める。
はい、残念ながら!
見当違いの正義感に酔いしれるコイツらに正論は通用しないんだよねー。
「確かに2人の言い分もわからなくは無いけど。
それでも魔王を名乗った悪魔を放置するわけにはいかない。
この世界の平和は僕達の手にかかってるからね」
本当にバカで愚か!
この世界の平和が僕達の手にかかってる? お前は何様だよ!!
人類最強って言っても、所詮は人間の中ではって話しなのに。
その程度のくせに、どれだけ自惚れてんの?
マジでここまで自惚れてると滑稽で笑えるわ!
「ふふふ、いつ自惚れに気付くのかな?」
今回の事で気付くのか。
それとも最後の最後まで気付かないのか……まぁ、クズ勇者とアバズレ聖女は最後まで自惚れに。
甚だしい勘違いに気付かないだろうし、仮に気付いても認めないだろうけど。
「ふふ! 楽しみだなー」
五大国が一角にして、大陸全土で広く信仰される女神アナスタシアを主神とするアナスタシア教の総本山。
アナスタシア教国の首都である聖都デサントの背後に聳え立つは、かつて主神たる女神アナスタシアが降臨したとされる霊峰ルミエル。
その頂上に存在する神殿。
周囲が猛吹雪に包まれていようとも、一年を通して決して穏やかで温かな太陽の光が途絶える事がない神の領域……
『ちょっと悪魔ちゃん! いきなりナレーションっぽい口調でどうしたの!?』
「えっ? 」
いや、別にこれは……
『可哀想に、疲れてるんだね。
皆んなに言って、ちょっと休んだ方が良いよ?』
いや、だから! これはちょっとふざけただけなの!!
だからその……何か憐れむような、かわいそうな子を見るような生暖かい感じをやめて欲しいんですけど!?
『あはは、流石は悪魔ちゃん! 中々にいい反応だね。
全く、恥ずかしがるなら最初からやらなければ良いのに』
っ、このヤロウ……バーカ、バーカ! このアホ邪神!!
『まぁまぁ、ちょっと揶揄っただけじゃん。
そんなに怒らないでよ』
ふん! もう知らん、邪神なんて無視だ、無視!
「ご主人様、ココアのおかわりは如何ですか?」
「ありがと……ふぅ」
さてと、マリアナにざまぁを敢行してから早1週間。
もはや勇者共がしょっちゅう行ってる会合の場所としてお決まりの神殿にて円卓を囲むのは当然、クズ勇者を筆頭とする6人!
「それで、獣王国に送った使者はどうだった?」
円卓に膝をついて両手を顔を前で組む金の髪に緑の瞳の男。
青年みたいな見た目のくせに、クズ勇者共の中で最年長。
外見詐欺の狂信者。
悠久の時を生きるハイエルフにして、アナスタシア教国の頂点に君臨する教皇クリス。
まぁ、悠久の時を生きるって言ってもまだ200歳ちょっとだけど……
とにかく! そんなクリスの問いに応えるのは当然コイツ、顔だけのクズ!
大して強くも無いくせにイキってる雑魚勇者ノアール。
「無事に帰って来たよ。
獣王……獣魔王レオンの話だと、ギルドを通して出された魔王達に関する情報は全て事実との事だ」
ふん! 何かシリアスな空気で話し合ってるけど、そんなの当然じゃん。
だって全部、嘘偽りのない事実だし。
「悪魔王国の女王って事以外に魔神について何かわかったの?」
「いいや。
残念だけどフェリシア、魔神についての追加情報は何も無いよ。
獣魔王レオンには交渉を持ちかけたんだけどね、相手にされなかったらしい」
「う~ん、わかってるのは悪魔族って事と女の人って事だけかぁ。
私達が総力を上げてこれだけ調査して外見はもちろん、名前すらわからないってちょっと不気味かも」
「確かに……でも、平和に暮らす人達の笑顔のためにも私達が頑張らないと!」
うわっ! あざとっ!!
流石はアバズレ聖女。
6年前で私の3つ上、クズ勇者と同い年の18歳だったからもう24歳なのに顔の前で両手を握りしめて拳を作るとか……流石に引くわー。
「リナ……うん、そうだね、リナの言う通りだ。
悪魔を放置すればどれだけの被害が出るかわからないからね」
キモっ!
あのあざといアバズレを見つめて微笑むクズ勇者のせいで鳥肌が……!!
「まだ正式に発表はして無いけど。
ギルドの通達を受けてマリアナが行った調査の結果、既に悪魔王国へと宣戦布告したグローリー王国、フラン帝国、アウストロ皇国は実際に滅亡していた」
「えぇ、その通りよ。
ただし、始末されたのはおバカな支配者層のみで殆どの国民は普通に暮らしていたけれど」
「そんな……!
ならすぐに苦しんでる人達を助けてあげないと!!」
うんうん! これぞアバズレ聖女。
マリアナは普通に生活してるって言ってるのに、果たしてアイツの頭の中ではどんなふうに変換されたのか。
マリアナとガスターもちょっと白けた顔をしてるし。
「おいリナ、マリアナは国民達は普通に生活してるって言ってただろ?
それに俺は反対だぜ。
20万の軍勢が一方的に敗走することになったんだぞ? それこそ魔国とやり合ったらどれだけの被害が出るのかわかったもんじゃねぇ」
「私もガスターに同感ね。
今のところ、こちらから手出しさえしなければ被害は出ていないし。
今は様子見するのが一番なんじゃ無いかしら?」
まぁ、私の目的は人類との交易ってのもあるわけだし。
欲に塗れた愚かで醜い人間共から降りかかった火の粉を払っただけで、確かに復讐対象以外でこっちから仕掛けた事はない。
それに、私の事を知ってる2人からすれば私とこれ以上敵対したくないってのもあるだろうし。
言ってる事は正しいんだけど……
「そんな……!」
「ガスター……マリアナまでどうしたんだ?
いつものキミららしく無いぞ?」
アバズレ聖女が悲壮感たっぷりで悲しそうに口元を抑え、狂信者クリスが怪訝そうに眉を顰める。
はい、残念ながら!
見当違いの正義感に酔いしれるコイツらに正論は通用しないんだよねー。
「確かに2人の言い分もわからなくは無いけど。
それでも魔王を名乗った悪魔を放置するわけにはいかない。
この世界の平和は僕達の手にかかってるからね」
本当にバカで愚か!
この世界の平和が僕達の手にかかってる? お前は何様だよ!!
人類最強って言っても、所詮は人間の中ではって話しなのに。
その程度のくせに、どれだけ自惚れてんの?
マジでここまで自惚れてると滑稽で笑えるわ!
「ふふふ、いつ自惚れに気付くのかな?」
今回の事で気付くのか。
それとも最後の最後まで気付かないのか……まぁ、クズ勇者とアバズレ聖女は最後まで自惚れに。
甚だしい勘違いに気付かないだろうし、仮に気付いても認めないだろうけど。
「ふふ! 楽しみだなー」
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
738
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる