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September
約束 Side 翠葉 05話
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話がひと段落したところで改めてお茶を淹れなおし、今度は雅さんへ質問を向ける。
「雅さんは……?」
「え? 私……?」
雅さんはきょとんとした顔で私を見た。
「はい。どなたか好きな方はいらっしゃらないんですか?」
雅さんは少し頬を染めて苦笑を漏らす。
「実はね……私、翠葉さんの恋愛相談を受けるには相応しくない人間なのよ」
細い肩を竦めた雅さんはこう続けた。
「私、高等部までは藤宮に在籍していたのだけど、人間不信だったこともあって、交友関係という交友関係を築いてきていないの。さらには、藤宮の人間として見られていたこともあって、人との間には常に壁があった感じ。そんな状況下で誰かを好きになることはなかったわね。大学は別の学校へ行ったけれど、学業に没頭していて恋愛をする余裕もなかったし……。それに、他大学へ行っても藤宮の人間と見られることに変わりはなかったの。そのあとは翠葉さんも知ってのとおり。秋斗さんにこだわっていた時期があるけれど、それだって純粋な好意ではなかったわ。……恥ずかしいけれど、こんな年になってもまだ、初恋という初恋はしていないの」
その話に、少し親近感を覚えた。
人間不信だったのは私も同じだ。それがゆえに友達を得るまでには時間を要したし、この年になるまで初恋すら経験していなかった。
私と雅さんは育った環境も境遇も年も違うけれど、学校という場所で孤立していたことにおいては似た部分があるのかもしれない。
その一端を話すと、雅さんと顔を見合わせ、
「私たち、そんなところは少し似ているのね」
ふたり肩を竦めて笑った。
「翠葉さん、恋って、どんな気持ちになるのかしら……」
こんなことを人に訊かれるのは初めてのことで、私は改めて考える。
恋とはどんな気持ちになるだろう……。
一言で表すのは難しい気がするけれど、あえて一言で伝えるなら――
「心と心臓が忙しくなります」
「え……?」
無理やり一言にしたところで理解は得られなかった。
私はさらに言葉を捻り出す。
「えぇと……好きな人のことを考えるだけでドキドキしたり不安になったり……。好きな人の行動や言動に一挙一動したり……。心は慌しくいろんなことを感じるし、無駄に心臓がドキドキして苦しくなります。でも――知らなかった感情は、心にたくさんの色をもたらしてくれます。人生のキャンバスに新しい色が加わる、そんな気がします」
ほかにはどんなたとえ方があるだろうかと考えていると、
「私もいつかは恋ができるかしら……」
雅さんは宙をぼんやりと見つめる。
私は何か言葉を添えたくて、
「『いつか』はきっと来ると思います」
雅さんは恥ずかしそうに笑った。
「知らない感情を知るのは、少し楽しみで、少し怖いわね……」
その言葉に共感する。
未知のものと対峙するとき、必ずしも好奇心だけとは限らない。時に恐怖心や不安感を抱く。
「『いつか』が来たら、お話聞いてくれる?」
「私でいいんですか……?」
「もちろん。こんなお話ができるのは、ホームステイ先の先生と翠葉さんくらいだわ」
「……その日が来ることを楽しみにしています」
そんな話をしていたら、あっという間に時間は過ぎて九時半を回っていた。
「そろそろお暇するわね」
「とても楽しかったです。時間が過ぎるのあっという間で……」
「本当に。帰国した際にはまた会っていただけるかしら?」
「もちろんです」
にこりと笑った雅さんはバッグから携帯を取り出し秋斗さんに電話をかけた。
どうやら、ホテルへ戻る際にも秋斗さんが送ることになっているらしい。
その間、私はツカサに連絡を入れた。
いつもとは少し違う緊張をまとい、コール音を聞いていると、
『はい』
大好きな、低く静かな声が耳に届く。
「ツカサ?」
『何』
「あのね、ひとつ約束をなかったことにしてもいいかな」
『……どの約束?』
「秋斗さんとふたりきりにならないっていう約束」
『…………』
「同じマンションにいると、やっぱり難しいの。傍から見ておかしいと思われるような行動になっちゃうの」
『…………』
「でもね、安心して? 不必要にふたりきりになることはないし、ふたりきりになっても何もないから。抱きしめられたりしない。キスなんてされない。だから、秋斗さんとの間に壁を作るの、なしにしてもいいかな?」
ツカサはいいとも悪いとも言わずに無言を保つ。それは、「聞き入れられない」という意思の表れだろうか。
「……ツカサ?」
『……絶対に抱きしめられたりキスされないって言い切れるなら』
少し前の私なら、こんなことであっても「ない」と断言することはできなかっただろう。でも、今なら断言できる。
「ツカサ、ありがとう」
私はそう言って通話を切った。
秋斗さんとの連絡を早々に切っていた雅さんが、
「司さん、嫌がらなかった?」
「嫌とは言われませんでした。でも、無言の状態がそれを意味していたような気はします」
「それにしては、翠葉さんはすっきりとした顔をしているのね?」
「はい。雅さんのおかげです。私が受け入れられないのは秋斗さんの恋愛感情だけで、そのほかは今までと何も変わらないとわかったので……」
そこがはっきりした途端に心の揺れがおさまったのだ。
エントランスへ見送りに行くと、秋斗さんと蔵元さんのふたりが雅さんを待っていた。
「そこで蔵元と会ったんだ。今帰りだって言うから、雅を送ってもらうことにした」
蔵元さんは「私でよろしければ」とにこりと笑う。雅さんは慌てた様子で、
「でもっ、社長に送っていただくなんて――」
「それ、やめましょう? 社長なんてただの役職であり役割にすぎません。うちの社においては誰が欠けても困るくらいの働きを皆がしているのですから。それに、藤倉市街は私の帰り道です」
蔵元さんのその言葉を聞いて、雅さんは少し顔を赤らめた。
「では、お言葉に甘えます」
「そうしてください。海外支部についてもいくつかお話したいことがありますから」
蔵元さんはそう言って車を取りにエントランスを出て行った。
私は雅さんの影から秋斗さんの前へ進み出る。
秋斗さんは、「なんだろう?」といった感じで私を見ていた。
「あの、ものすごく色々と申し訳なかったのですが、先日話したこと、気にしないでください」
「え……? 先日話したことって――」
「マンションの通路でばったり会っても大丈夫です。意味もなくふたりきりになるつもりはありませんけど、ふたりきりになっても不必要に困ったりしません」
秋斗さんは首を傾げた。
「でも、それって司に言われてのことだったでしょう?」
「はい」
「司はいいって言ってるの?」
「さっき承諾してもらいました。そのかわり、抱きしめたりキスをするのはなしですよ? 絶対に絶対になしですよ? 私、叫びますからね?」
できる限りの牽制をして見せると、
「あれ? 俺どこかで何か失敗したのかな……」
「いいえ、秋斗さんは何も失敗していないと思います。ただ、私の気持ちが安定しただけ」
秋斗さんはさらに首を傾げた。
「どういうこと?」
「前にも話しましたけど、私が好きなのはツカサです。だから、秋斗さんの気持ちにには応えられません。大切なのはそれだけだと気づいたので……」
そこまで言っても秋斗さんが黙ることはない。それどころか余裕の面持ちで、
「でも、未来はわからないでしょう? もしかしたら、司がほかの女の子を好きになるかもしれないし、翠葉ちゃんがほかの人を――たとえば俺を好きになるかもしれない。過去には前例もあるし」
雅さんと話さなければ、完全にこの言葉に呑まれてしまっていただろう。でも今は――
「前例はあります。だからこそ、不安に思う部分があったのだけど……決めたんです。今は自分の気持ちを信じよう、って。だから、ツカサ以外の人を好きになる予定はありません」
秋斗さんは雅さんに向き直り、
「雅、翠葉ちゃんに何か吹き込んだ?」
「吹き込んだなんて人聞きの悪い……。私はただ、翠葉さんとお話をしただけです」
「でもさ、雅との会話って、時としてカウンセリングになってたりするじゃん?」
「それはどうでしょう?」
雅さんは明確な言葉は口にせず、にこりと微笑む。
そんな雅さんと視線が合い、私も自然と笑顔になった。
「雅さん、今日はとても楽しかったです。お土産もたくさんありがとうございました。お誕生日、楽しみにしていてくださいね」
「こちらこそ、とても楽しい時間でした。誕生日、楽しみにしているわね」
そんなやり取りをしていると、ロータリーに車が停車する。
私たちはエントランスを出て車を見送った。
なんとなしに空を仰ぐ。と、たくさんの星が瞬いていた。
「星がきれいですね」
「そうだね。明日もいい天気になりそうだ」
隣に秋斗さんが立っていても気まずさはない。
久しぶりに自分の心が穏やかですっきりとしているのを感じた。でも、いきなりあんな電話をかけてしまってツカサはどう思っているだろう。
承諾はしてくれたけれど、快諾にはほど遠い空気が漂っていた。
「……会って話そう」
「ん?」
「あ、こっちの話です」
「司のこと?」
「はい。承諾を取ったのはついさっきなんですけど、何分電話で一方的に話した感が否めなくて……」
苦笑を浮かべると、秋斗さんがクスリと笑った。
「そういうの、ちょっと妬けるな」
「え……?」
「対等にやり取りするふたりに嫉妬する」
きっと喜ぶところではないだろう。でも、やっぱり嬉しかった。
嬉しいことも悲しいことも、楽しいことも楽しくないことも、色んなことをツカサと共有していきたい。
そうだ――私が何を感じどうして立ち止まってしまったのか、どうして気持ちを切り替えることができたのか、ツカサに全部聞いてもらおう。もう、ツカサが不安にならなくていいように――
「雅さんは……?」
「え? 私……?」
雅さんはきょとんとした顔で私を見た。
「はい。どなたか好きな方はいらっしゃらないんですか?」
雅さんは少し頬を染めて苦笑を漏らす。
「実はね……私、翠葉さんの恋愛相談を受けるには相応しくない人間なのよ」
細い肩を竦めた雅さんはこう続けた。
「私、高等部までは藤宮に在籍していたのだけど、人間不信だったこともあって、交友関係という交友関係を築いてきていないの。さらには、藤宮の人間として見られていたこともあって、人との間には常に壁があった感じ。そんな状況下で誰かを好きになることはなかったわね。大学は別の学校へ行ったけれど、学業に没頭していて恋愛をする余裕もなかったし……。それに、他大学へ行っても藤宮の人間と見られることに変わりはなかったの。そのあとは翠葉さんも知ってのとおり。秋斗さんにこだわっていた時期があるけれど、それだって純粋な好意ではなかったわ。……恥ずかしいけれど、こんな年になってもまだ、初恋という初恋はしていないの」
その話に、少し親近感を覚えた。
人間不信だったのは私も同じだ。それがゆえに友達を得るまでには時間を要したし、この年になるまで初恋すら経験していなかった。
私と雅さんは育った環境も境遇も年も違うけれど、学校という場所で孤立していたことにおいては似た部分があるのかもしれない。
その一端を話すと、雅さんと顔を見合わせ、
「私たち、そんなところは少し似ているのね」
ふたり肩を竦めて笑った。
「翠葉さん、恋って、どんな気持ちになるのかしら……」
こんなことを人に訊かれるのは初めてのことで、私は改めて考える。
恋とはどんな気持ちになるだろう……。
一言で表すのは難しい気がするけれど、あえて一言で伝えるなら――
「心と心臓が忙しくなります」
「え……?」
無理やり一言にしたところで理解は得られなかった。
私はさらに言葉を捻り出す。
「えぇと……好きな人のことを考えるだけでドキドキしたり不安になったり……。好きな人の行動や言動に一挙一動したり……。心は慌しくいろんなことを感じるし、無駄に心臓がドキドキして苦しくなります。でも――知らなかった感情は、心にたくさんの色をもたらしてくれます。人生のキャンバスに新しい色が加わる、そんな気がします」
ほかにはどんなたとえ方があるだろうかと考えていると、
「私もいつかは恋ができるかしら……」
雅さんは宙をぼんやりと見つめる。
私は何か言葉を添えたくて、
「『いつか』はきっと来ると思います」
雅さんは恥ずかしそうに笑った。
「知らない感情を知るのは、少し楽しみで、少し怖いわね……」
その言葉に共感する。
未知のものと対峙するとき、必ずしも好奇心だけとは限らない。時に恐怖心や不安感を抱く。
「『いつか』が来たら、お話聞いてくれる?」
「私でいいんですか……?」
「もちろん。こんなお話ができるのは、ホームステイ先の先生と翠葉さんくらいだわ」
「……その日が来ることを楽しみにしています」
そんな話をしていたら、あっという間に時間は過ぎて九時半を回っていた。
「そろそろお暇するわね」
「とても楽しかったです。時間が過ぎるのあっという間で……」
「本当に。帰国した際にはまた会っていただけるかしら?」
「もちろんです」
にこりと笑った雅さんはバッグから携帯を取り出し秋斗さんに電話をかけた。
どうやら、ホテルへ戻る際にも秋斗さんが送ることになっているらしい。
その間、私はツカサに連絡を入れた。
いつもとは少し違う緊張をまとい、コール音を聞いていると、
『はい』
大好きな、低く静かな声が耳に届く。
「ツカサ?」
『何』
「あのね、ひとつ約束をなかったことにしてもいいかな」
『……どの約束?』
「秋斗さんとふたりきりにならないっていう約束」
『…………』
「同じマンションにいると、やっぱり難しいの。傍から見ておかしいと思われるような行動になっちゃうの」
『…………』
「でもね、安心して? 不必要にふたりきりになることはないし、ふたりきりになっても何もないから。抱きしめられたりしない。キスなんてされない。だから、秋斗さんとの間に壁を作るの、なしにしてもいいかな?」
ツカサはいいとも悪いとも言わずに無言を保つ。それは、「聞き入れられない」という意思の表れだろうか。
「……ツカサ?」
『……絶対に抱きしめられたりキスされないって言い切れるなら』
少し前の私なら、こんなことであっても「ない」と断言することはできなかっただろう。でも、今なら断言できる。
「ツカサ、ありがとう」
私はそう言って通話を切った。
秋斗さんとの連絡を早々に切っていた雅さんが、
「司さん、嫌がらなかった?」
「嫌とは言われませんでした。でも、無言の状態がそれを意味していたような気はします」
「それにしては、翠葉さんはすっきりとした顔をしているのね?」
「はい。雅さんのおかげです。私が受け入れられないのは秋斗さんの恋愛感情だけで、そのほかは今までと何も変わらないとわかったので……」
そこがはっきりした途端に心の揺れがおさまったのだ。
エントランスへ見送りに行くと、秋斗さんと蔵元さんのふたりが雅さんを待っていた。
「そこで蔵元と会ったんだ。今帰りだって言うから、雅を送ってもらうことにした」
蔵元さんは「私でよろしければ」とにこりと笑う。雅さんは慌てた様子で、
「でもっ、社長に送っていただくなんて――」
「それ、やめましょう? 社長なんてただの役職であり役割にすぎません。うちの社においては誰が欠けても困るくらいの働きを皆がしているのですから。それに、藤倉市街は私の帰り道です」
蔵元さんのその言葉を聞いて、雅さんは少し顔を赤らめた。
「では、お言葉に甘えます」
「そうしてください。海外支部についてもいくつかお話したいことがありますから」
蔵元さんはそう言って車を取りにエントランスを出て行った。
私は雅さんの影から秋斗さんの前へ進み出る。
秋斗さんは、「なんだろう?」といった感じで私を見ていた。
「あの、ものすごく色々と申し訳なかったのですが、先日話したこと、気にしないでください」
「え……? 先日話したことって――」
「マンションの通路でばったり会っても大丈夫です。意味もなくふたりきりになるつもりはありませんけど、ふたりきりになっても不必要に困ったりしません」
秋斗さんは首を傾げた。
「でも、それって司に言われてのことだったでしょう?」
「はい」
「司はいいって言ってるの?」
「さっき承諾してもらいました。そのかわり、抱きしめたりキスをするのはなしですよ? 絶対に絶対になしですよ? 私、叫びますからね?」
できる限りの牽制をして見せると、
「あれ? 俺どこかで何か失敗したのかな……」
「いいえ、秋斗さんは何も失敗していないと思います。ただ、私の気持ちが安定しただけ」
秋斗さんはさらに首を傾げた。
「どういうこと?」
「前にも話しましたけど、私が好きなのはツカサです。だから、秋斗さんの気持ちにには応えられません。大切なのはそれだけだと気づいたので……」
そこまで言っても秋斗さんが黙ることはない。それどころか余裕の面持ちで、
「でも、未来はわからないでしょう? もしかしたら、司がほかの女の子を好きになるかもしれないし、翠葉ちゃんがほかの人を――たとえば俺を好きになるかもしれない。過去には前例もあるし」
雅さんと話さなければ、完全にこの言葉に呑まれてしまっていただろう。でも今は――
「前例はあります。だからこそ、不安に思う部分があったのだけど……決めたんです。今は自分の気持ちを信じよう、って。だから、ツカサ以外の人を好きになる予定はありません」
秋斗さんは雅さんに向き直り、
「雅、翠葉ちゃんに何か吹き込んだ?」
「吹き込んだなんて人聞きの悪い……。私はただ、翠葉さんとお話をしただけです」
「でもさ、雅との会話って、時としてカウンセリングになってたりするじゃん?」
「それはどうでしょう?」
雅さんは明確な言葉は口にせず、にこりと微笑む。
そんな雅さんと視線が合い、私も自然と笑顔になった。
「雅さん、今日はとても楽しかったです。お土産もたくさんありがとうございました。お誕生日、楽しみにしていてくださいね」
「こちらこそ、とても楽しい時間でした。誕生日、楽しみにしているわね」
そんなやり取りをしていると、ロータリーに車が停車する。
私たちはエントランスを出て車を見送った。
なんとなしに空を仰ぐ。と、たくさんの星が瞬いていた。
「星がきれいですね」
「そうだね。明日もいい天気になりそうだ」
隣に秋斗さんが立っていても気まずさはない。
久しぶりに自分の心が穏やかですっきりとしているのを感じた。でも、いきなりあんな電話をかけてしまってツカサはどう思っているだろう。
承諾はしてくれたけれど、快諾にはほど遠い空気が漂っていた。
「……会って話そう」
「ん?」
「あ、こっちの話です」
「司のこと?」
「はい。承諾を取ったのはついさっきなんですけど、何分電話で一方的に話した感が否めなくて……」
苦笑を浮かべると、秋斗さんがクスリと笑った。
「そういうの、ちょっと妬けるな」
「え……?」
「対等にやり取りするふたりに嫉妬する」
きっと喜ぶところではないだろう。でも、やっぱり嬉しかった。
嬉しいことも悲しいことも、楽しいことも楽しくないことも、色んなことをツカサと共有していきたい。
そうだ――私が何を感じどうして立ち止まってしまったのか、どうして気持ちを切り替えることができたのか、ツカサに全部聞いてもらおう。もう、ツカサが不安にならなくていいように――
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