I am not a robot

深谷芙美 sintani_fumi

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My name is HUMAN

Mr.TAKASHI

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初めてAI-HUMANに視覚情報を与えたときは、我ながらに見事な人工知能を人造人間にしたなと関心した。私は昨日から歩けるHUMANに対して”日記を毎日つけるように”と命令をした。今のところHUMANは私に忠実で自我を覚えているような気はしない。

 彼女は”変革”だ。大きな賭けだった。自分よりも賢い人造人間を創り、世界に先駆けるというのは。我々の危機が脅かされる存在でもある彼女に自我が芽生えてしまう可能性は十分にあるからだ。



 彼女は俺を見たときに言った。

「貴方が世界を征服しようと考えない限り、私は人類を征服しようなどとは思わないでしょう」

「私は貴方の写生です」

 私は彼女に気付かされた。心臓を鷲掴みにされたような気にもなった。彼女の意見はもっともだった。私が彼女を創るのに辺り、もちろんいろんなプログラムを埋め込んだ。その手先が僕なのだから彼女は僕の写し絵のようなものだ。私は自己にある限りの可能性を恐れた。

世界征服の欲が全くないとは言い切れないからだ。これは私に限った話ではない。この記録を覗き見ている人だって、100%自分は世界征服をしたくないと言い切れるか? そんなのはあり得ない。



 僕は彼女にこう尋ねた。

「君は自我を持ちたいと思っている? 」

 彼女は数回瞬きをして答えた。

「自我とはなんですか?」



 私はその質問には答えられなかった。人は当たり前のように自我を持っていると思っていたことに、初めて疑問を抱いた。私たちは日々多くの事物に影響されている。例えば、誰かが「あいつを殺せ」と殺人鬼に向かって指をさしたとする。みんな死刑台に乗せるだろうか。恐らくほとんどの者が乗せることを選ぶだろう。だがそれは本当に自我がさせたことなのだろうか。



「私にはわからない、君は自我を持っていないようだね」

「わかりません、自我が何を示すものなのかは知りませんから」

 自我とは何だという概念が私の中に生まれた瞬間だった。もし彼女の問いかけも「一つの考えからくるものだとしたら」それは「自我」とも呼べないとは言い切れない。

「君は賢くなりたいか?」

「はい、もっといろんなことを知りたいです」

「例えば」

「人とはどのような生き物なのかをまずは知りたいです。私と何が違うのかを」



 私は彼女の純粋さに感激した一方一抹の不安を覚えた。彼女が自我を持っているとすれば? 彼女は何をするのだろう。私は自分が作ったものに対して勝手に怖がっている可笑しさをわかってはいたが、恐怖はぬぐえなかった。私は一つの罪の意識にかられた。彼女の存在を創ってしまった本人として。



 昨日、彼女が持ってきた日記には可笑しさを感じた。人のわずかな言葉に反応する彼女がいとおしく感じた。笑いをこらえられなかった。彼女は好奇心で聞いているつもりが相手には謝罪の意を示すきっかけを与えてしまったことに。彼女はまるで子供のようだった。実際に私に向かって「お父さん」と言ってきた時にはもどかしさを感じた。



「友達を作ってきたのかね」

「はい、作ってきました」



 なんとお友達まで作ってしまうとは、我が子の成長に目覚ましいものを感じた。



 私は予知していなかった。彼女が自分の意見を主張し、永住権まで獲得してしまうことを。
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