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夏
鉛筆
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窓の淵の隙間から見える芝生は、私の鉛筆を滑らかに滑らせた。芝生や空や諸々の青い景色を見ていると、心が紙の上に落ち着きたがる。芯の柔らかい鉛筆はすり減りながら歩いていく。私は自分の影をそれに見た。鉛筆の削れていく生きざまが私そのものだ。
涼音、と呼びたくなって後ろを向くと彼女は布団の中で眠り込んでいた。なんだ、寝ているのかと私は彼女に言いたくなるのを我慢して近づいた。
頬を触る、起きやしないかなんて考えてもいられない。寝ている彼女のことが私は一番好きだ。愛おしい。彼女の目が冴えていくことがわかると私は彼女に抱き着いた。彼女のその時の機嫌はいつも良くて、私の頭を撫でる。私はくすぐったさを隠しながら彼女の胸に顔をうずめた。
「もう、子供みたいなんだから。可愛いなぁ」
「涼音の方が可愛いよ」
「なんてこと言うの、お調子者なんだから」
私は彼女を横抱きにして、縁側へ連れて行く。彼女は笑いながらじたばたとする。下すと、生暖かい風が流れた。
彼女は一気に大人びた風で、景色に目を細める。
「都会にしては、田舎だよね」
「そんなこと言うなって」
「いいじゃん、素敵な並木道にあの公園」
「今度行くか」
鉛筆は削られては歩き、削られては歩く。だがそこに不幸なんかないと、私は確信した。私は彼女を生きている間養い続けていればよいのだ。彼女の幸せが私の幸せなのだから。
涼音、と呼びたくなって後ろを向くと彼女は布団の中で眠り込んでいた。なんだ、寝ているのかと私は彼女に言いたくなるのを我慢して近づいた。
頬を触る、起きやしないかなんて考えてもいられない。寝ている彼女のことが私は一番好きだ。愛おしい。彼女の目が冴えていくことがわかると私は彼女に抱き着いた。彼女のその時の機嫌はいつも良くて、私の頭を撫でる。私はくすぐったさを隠しながら彼女の胸に顔をうずめた。
「もう、子供みたいなんだから。可愛いなぁ」
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