内気なスタバイター

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背の高いビルでの座学もそこそこに、実店舗での研修が始まった。飲食店のアルバイト採用だとありがちの、既存の別店舗での研修だった。

「初めまして。1ヶ月間お世話になります夏村柊です。よろしくお願いします」
「夏村君。よろしくお願いします」
快く受け入れてくれたのは研修店舗の店長長谷川卓だった。
「夏村君を1ヶ月間指導させてもらいます。本庄真緒です。よろしくお願いします」
「本庄さんは夏村君と歳も近いから困ったことあったら何でも相談するんやで」
優しそうな関西のおっちゃんだ。
「はい。分かりました」

商品の作り方、ミルクのスチームの仕方、接客の言葉遣いについて、1から100まで事細かく指導してもらう中で、難しいなと感じていた。小学生みたいな感想であった。


研修期間も終わりに近づいた秋頃。

「夏村君は他の従業員と違って覚えるの遅いし、笑顔も少ないし、難しそうかな」
悪口とも取れる言葉を発したのは、長谷川卓だった。
「そうですね、他の従業員と違って学生なので出勤できる時間も限られてますしね」
便乗したのは、本庄真緒だった。
確かに僕が配属となった研修店舗には学生がおらず、フリーターの女性従業員3人と一緒に引け目を感じながら働いていた。
「まぁ、もうすぐ研修も終わるし大丈夫でしょう」
「そうやな。本庄さん今日も夏村君の指導お願いね」
「はい。分かりました」

「長谷川さん、本庄さんおはようございます」
前から居たことを感じさせない様、いつも通りの声で挨拶をした。
「夏村君おはよう。今日も本庄さんが教えてくれるから頑張りや、最近調子良くなってるから、期待してるよ」
「はい。ありがとうございます」
スターバックスコーヒーは人を褒めて伸ばす企業である。
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