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【第一部 きみいろ ~君と僕がみている世界の色は~】

第二話 異類異形

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 目の前には……。

 電車の天井までの高さがある黒い妖モノが立っている。
 目や口がないのに笑っているように感じる。
 手は地面につく長さで足というものが見当たらない。

 どうやって歩く? 動くのだろう。
 
 そんなことより、どうすればいい?
 目を閉じ見えないふりをすればいい?
 それとも別の車両へ逃げればいい?

 どの選択が正しい?

 いつもなら逃げる選択肢があるけれど、動いている電車の中では逃げられない。
 じゃあどうしたらいい。

 そもそも光を感じたのは何だったんだろう。

 
 黒い妖モノは曇った手鏡をこちらに向け、クルクルと回し始める。

 黒い妖モノには鏡は天敵ではないの?

 ま、眩しい。

 彩は眩しくて目を逸らしてしまう。
 それに気が付いた黒い妖モノは人の影のような姿となり、大きな口を開け、ドタドタドタと大きな音を立て四つん這いで走ってくる。

 え? どうしたらいいの?

「そいつから目を逸らさないで」
 どこからか声がするが姿は見えない。

 目を逸らすなって言われてもこのままじゃ……。

 電車はトンネルから抜け、バンっと窓が開いた音がしたかと思うと、目が開けられないほどの眩しい光に包まれる。

命消滅めいしょうめつ!」
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