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裸の心 あいみょん

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現代の女性シンガーソングライターで女心を歌わせたら彼女の右に出る者はいないだろう(と私は思っている)彼女の作品は名曲が多いが、私は個人的にこの曲を推したい。何故なら自分自身の過去の恋愛と重なる部分があるからだ。

この曲は、それまで恋愛から遠ざかっていた女性が久しぶりに芽生えた自分の中の感情に気づき「この恋が実りますように」と静かに願っている歌だ。優しいアコースティックギターとあいみょんのしっとりとした歌声が特徴的な切ないバラードである。

この曲が発売された2020年夏。私は当時、一人暮らしをしており元夫と交際していた。14歳上の元夫はその時の私にとって約10年ぶりに出来たパートナー。私は久しぶりに味わう恋愛の楽しさや切なさに毎日心を躍らせていた。この曲が主題歌だったTBSの夏ドラマ「私の家政夫ナギサさん」も毎週欠かさず見ており、主人公の女の子と家政夫のおじさんの年の差恋愛に自分と元夫の姿を重ねては一人で盛り上がっていた。

ある日、好きなドラマの主題歌だからと軽い気持ちでこの曲を聞いてみたところ、自分の境遇と重なる歌詞にとても驚いた。

「あいみょんが私の気持ちを代弁してくれてる!」

なんて自分に都合の良い勝手な解釈までして、思わず目頭が熱くなったほど。

「恋の行方がどうなるかは分からない。でもとにかくこの想いを伝えたい。今伝えに行くから私の裸の心をどうか受け止めてほしい」

この部分は片想いをしている人や、付き合っていても相手に自分の想いが伝わっているのか不安な人などに響く歌詞だと思うのだが、私も例外ではない。

交際間もない頃の気持ちが溢れそうになる感覚と一致しており、とても胸が熱くなったし、会えない時にこの部分を耳にする度に元夫のことを思い出したものだった。

今聞いてもあの時の初々しい想いが蘇って来て懐かしい気持ちになるし、元夫のことを思い出す。さすがにまた会いたいとはもう思わないが、私にとっては元夫との懐かしい思い出の一曲である。
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