発達障害者の私が就労施設に通ってみて思ったこと。

１、仕事に悩む発達障害者はきっと多い。

障害を持っていると常にあらゆる悩みがつきまとう。その中で一番厄介で最も多いのはきっと「仕事」に関する悩みではないだろうか。「職場でうまく立ち回れない」「仕事ができない」「人間関係でつまづく」など悩みは人それぞれだろうと思う。

家族や配偶者が経済的に余裕があって養ってくれるから自分は仕事をしなくても暮らしていける、という人は問題ないが、この世の中そんな恵まれた人は恐らくほんの一握り。辛くても働かないと生きていけないという人が圧倒的に多いはずだ。そんな人達が選択できる方法や対策をまずは書き出してみる。

１、生活保護を受給
２、障害年金を受給
３、障害者手帳を取得して、障害者雇用で働く
４、就労支援施設に通所する
５、クラウドソーシングを使用し、在宅で働く
６、クローズ（障害者である事を隠すこと）で一般企業で働く

１～４までは国の支援、５と６はそれ以外の方法である。この中で一番手っ取り早いのは１の生活保護受給だが、世帯収入があるとまず受給はできないし、受給できても制約がかなり厳しい（らしい）。私の場合は旦那がバリバリ働いているので問題外だ。実は私自身、２は手続き中、３～６を経験している。

２、障害年金を受給
受給が決定すればそれなりの金額がもらえる。しかし「自力で申請するとほぼ審査で落ちる」というかなり厳しい制度である。ではどうすればいいのかというとその道のプロ「社労士」に申請を依頼するのである。もちろん無料ではないし、かなりの手数料や報酬を払わなければならない。だが、プロの手でなければ受からないのであれば依頼せざるを得ないのが現状なのだ。私も現在、社労士に依頼をしており、先日ようやく手続きが完了したと報告を受けたところである。受給までには早くても３ヶ月、遅いと１年以上も待たなければならない。しかも担当の社労士曰く「現在、発達障害者の受給が非常に困難」とのことで、いかに大人の発達障害者が増えているのかが伺える。

３、障害者手帳を取得して、障害者雇用で働く
精神疾患や発達障害を持っている人は正確には「精神障害者保健福祉手帳」という名称の手帳になる。精神疾患の初診日から半年以上経っていることや、医師の診断書があれば申請できるので、理解のある医師と出会うことができれば申請までは比較的順調に進められる。手帳を取得できれば、企業が募集している求人の「障害者枠」に応募が可能となる。これを利用すれば、自分の障害を企業に理解してもらいながら働く事ができる。私は手帳が出来てから素早く動いた為、無事に仕事を決めることができた。

４、就労支援施設に通所する
各自治体には「障害者支援サービス」という制度があり、手帳を持っていなくても医師の診断書があれば利用できる。生活や就労支援を始め、様々な支援を受けられるが、今回はこの中の「就労支援」についてクローズアップして綴っていこうと思う。就労支援で受けられるサービスは「３種類の就労施設への通所」である。

・就労移行支援施設→就職に向けた準備、必要なスキルを学ぶ
・就労継続支援施設 Ａ型→施設と雇用契約を結び、一般企業と同じように就労する（週５勤務必須）
・就労継続支援施設 Ｂ型→施設と雇用契約を結ばず、成果物や出勤日数に応じて工賃を得る（週１日でも可）

私はこの中の「就労継続支援Ｂ型」という施設に通った。この施設は通称「作業所」と呼ばれているので、以下からは「作業所」と記載する。

５、クラウドソーシングを使用し、在宅で働く
今流行りの副業サイトを利用して働くことだ。私も少し前まではあるクラウドソーシングサイトでシナリオライターの仕事を受注していたことがあり、良い案件を狙えばそれなりの報酬がもらえる。その上、会社に通う必要もないので通勤や煩わしい人間関係もなくかなり気が楽な働き方である。ただし、生計を立てるようなレベルに到達するのはかなり厳しい。

６、クローズ（障害者である事を隠すこと）で一般企業で働く
はっきり言っていばらの道である。しかし、この世の中には自分の障害を明かさずに、また自分に障害があるとは気づかずに、辛い日々を耐えながら仕事をしている人が沢山いるのである。そして、私もその一人だったのだ。どちらにせよ一般企業に勤めることは「自分と他者の違いを嫌でも感じる」ということであり、常に劣等感に苛まれながら仕事をすることになる。できれば一番選択したくない方法だ。しかし、色々経験した身としてはっきり言わせてもらえば、多くの障害者は恐らくこの方法を選択せざるを得ない状況だと思う。