19 / 36
development
discord
しおりを挟む
乗合馬車の幌内。
オレ達を含め七人の乗客が揺られ揺られてゆっくりと南下中。終着地の王都へ向かう者も、御者とその護衛が夜の移動を避けるため、途中リョンで一泊を余儀なくされる。
これから訪れようとしているリョンは、オレ達が生まれ育ったカムチャカと同じゼルギア領の一部である。
領主ゼルギアや他領主とカスピアナ王の関係は、中世ヨーロッパのような封建制度の主従とは程遠い。その理由はこの世界にカスピアナ以外の国が存在せず、大規模な戦争勃発のおそれもないため、契約による主従関係を結ぶ必要がないからだ。
国王含め五人の領主が仕える共通の覇者はあくまで絶対神であり、カスピアナ王はその代表者であるに過ぎない。彼らはかつて”ニンゲン”(現亜人間)を討った同志の祖先であり、その絆は海より深い。
海、か。
何故こんなにも海が気になるんだろう?
オレとエリスの生まれ育ったバーミンガムはイギリスの中心に位置する。そこに海はない。
だとすれば、やっぱりオレ達が死んだあの場所――太平洋で何かがあったと考えるのが自然だ。
それはさておき……。
ジロジロと注目を浴びる二人の女。
一人は抜群なプロポーションとは裏腹に、鼻がひん曲がるほどそこから発せられる馬糞臭、もう一人は人参ツインテール・ヘッドバンド・メガネという首から上が赤一色なのが原因だ。
しかもエリスが掛けているそのメガネはこの世界に存在しないアイテムだから、奇異の目に晒されるのは当たり前だ。
生まれ変わった彼女は裸眼で物が見えるにもかかわらず、”かつての自分らしさ”を取り戻すためだけに2500ラントという大金を費やしたのだと思うと何ともやりきれない。”道化師”としては人目を引いていいかもしれないが。
「ハークお兄ちゃん、まだ怒ってるのっ?」
カムチャカを発って以降ずっとオレがダンマリを決め込んでいたら、ついに痺れを切らしたエリスがそう訊いてきた。
「呆れてるんだ。特注とはいえ高すぎるよ。しかもソレ、レンズも入ってないだろ?」
「そうだよっ。だってレンズなんてこの世界にないからねっ」
「コノ世界……?」
マズイッ!
当然ながら、セリスナはオレとエリスが異世界転生してここにいるという事実を知らない。
彼女は黒のフェイスベールで鼻と口を覆っているのに、その青いパッチリ瞳だけで感情を表現できるという特技を持っている。
「”赤イ貧乳”、『コノ世界』ッテドウイウコトアルノナ?」
「ちょっと巨乳っ! その呼び方やめてって言ってるんだよっ! ボクのコト、おっぱいだけで判断しないでくれるっ?」
オマエもな!
「アターシャ、争イゴト好マナイアルノヨ。ココハ一ツ穏便ニ事ヲ済マスアルゾナ」
「ボクだって好きで怒ってんじゃないっ! 哀しいけどコレ、おっぱい戦争なのよね」
「オパーイ戦争?」
「そうだよっ! アンタはその”二つの乳首が生えたブヨブヨ肉爆弾”でボクの大切なお兄ちゃんの心を盗んだんだからっ!」
盗んだって……。
オレの心はオレのもんだ。少なくとも、エリスの貧乳に属していたことなど一度もありゃしない。
とはいえ、このおっぱい論争(戦争?)のおかげでセリスナの疑問がどこかに吹っ飛んだことは助かった。
「静かにしろよ、二人とも。他の乗客に迷惑だろ。セリスナはただでさえその臭いで迷惑かけてんだし、エリスに至っては存在そのものが色彩の暴力だ」
これで喧嘩両成敗……とはならず。
「ヒドイアルナ。アターシャノ臭イ、人助ケノタメアルノニ」
「ハークっ! それってどういう意味だよっ? もしかしてずっと前からそう思ってたのっ?」
失言だった。
それから四頭の馬が歩みを止めるまで二人の女に挟み撃ち……余計な仲裁を試みてとんだ流れ弾を受けたオレは、幌の中でこんこんと発言の真意を問われる羽目になった。
リョン到着。
宿も探さず、真っ先にセリスナの愛馬――フレベルのいる厩舎を訊ねてみたが、目当ての馬飼いは近くのパブに出掛けて不在だった。小間使いが申し訳なさそうに、眉を寄せてそう告げた。
「ふれべる、マダイルアルノナ?」
オレ達とそう年齢も変わらないその少女は以前ここを訊ねて来たセリスナのことを覚えていたので、”フレベル”がどの馬をさすかわかっていた。
「はい、芦毛のあの子はまだ誰にも買われておりません。ここへやって来た時同様、とても元気でございますよ。馬槽は絶えず空っぽでございます」
それを聞いて吐息を漏らしたセリスナは「マタ来ル」の言葉を残し、厩舎を後にした。
茜色の空。トボトボ先頭を歩くセリスナに、どう声を掛けようか悩む。
逡巡するそのオレをエリスが追い越し言葉を放つ。
「改めて断っとくけど、お金は貸さないよっ。お金は友情をブチ壊す力があるからねっ。そして、ボクとアンタの間にはその友情すらないっ! それどころか、もっともっと嫌いになってやるっ!」
「ナラ貸スアルノナ」
「――なっ!?」
振り返った真顔のセリスナ、その発言に一瞬怯むエリス……同じくオレも。
「ど、どうしてそうなるのさっ?」
「貸シタラ、マスマスアターシャノコト嫌イナルアルノネ。……憎メ。蔑メ。アターシャ、ソンナノ慣レテル。ダッテ、亜人間アルカラナ」
「ち、違うっ! ボ、ボクはそんなコトで……」
わかってるさ。エリスはそんな器の小さいヤツじゃない。
小さいのは……おっぱいだ。
馬鹿馬鹿しいけれど、エリスをここまで意固地にさせてる原因もそれに尽きる。
先を行くセリスナの背を、唇を噛みしめながら見つめるエリス。
幼馴染であり妹でもある彼女に対し、オレはいつの日かそうされたように意気消沈する右肩に左手を添えてみた。
「とりあえず、宿を探そうよ。……なあ、エリス」
「な、何さっ?」
「Tomorrow is another day.」
久し振りに耳にした祖国の言語……フッと力が抜けたようで、エリスの困惑顔から自然と笑みが漏れていた。
メガネ、やっぱり似合ってるぞ。
口にしたら何だか負けを認めたようなので、それだけは黙っておいた。
オレ達を含め七人の乗客が揺られ揺られてゆっくりと南下中。終着地の王都へ向かう者も、御者とその護衛が夜の移動を避けるため、途中リョンで一泊を余儀なくされる。
これから訪れようとしているリョンは、オレ達が生まれ育ったカムチャカと同じゼルギア領の一部である。
領主ゼルギアや他領主とカスピアナ王の関係は、中世ヨーロッパのような封建制度の主従とは程遠い。その理由はこの世界にカスピアナ以外の国が存在せず、大規模な戦争勃発のおそれもないため、契約による主従関係を結ぶ必要がないからだ。
国王含め五人の領主が仕える共通の覇者はあくまで絶対神であり、カスピアナ王はその代表者であるに過ぎない。彼らはかつて”ニンゲン”(現亜人間)を討った同志の祖先であり、その絆は海より深い。
海、か。
何故こんなにも海が気になるんだろう?
オレとエリスの生まれ育ったバーミンガムはイギリスの中心に位置する。そこに海はない。
だとすれば、やっぱりオレ達が死んだあの場所――太平洋で何かがあったと考えるのが自然だ。
それはさておき……。
ジロジロと注目を浴びる二人の女。
一人は抜群なプロポーションとは裏腹に、鼻がひん曲がるほどそこから発せられる馬糞臭、もう一人は人参ツインテール・ヘッドバンド・メガネという首から上が赤一色なのが原因だ。
しかもエリスが掛けているそのメガネはこの世界に存在しないアイテムだから、奇異の目に晒されるのは当たり前だ。
生まれ変わった彼女は裸眼で物が見えるにもかかわらず、”かつての自分らしさ”を取り戻すためだけに2500ラントという大金を費やしたのだと思うと何ともやりきれない。”道化師”としては人目を引いていいかもしれないが。
「ハークお兄ちゃん、まだ怒ってるのっ?」
カムチャカを発って以降ずっとオレがダンマリを決め込んでいたら、ついに痺れを切らしたエリスがそう訊いてきた。
「呆れてるんだ。特注とはいえ高すぎるよ。しかもソレ、レンズも入ってないだろ?」
「そうだよっ。だってレンズなんてこの世界にないからねっ」
「コノ世界……?」
マズイッ!
当然ながら、セリスナはオレとエリスが異世界転生してここにいるという事実を知らない。
彼女は黒のフェイスベールで鼻と口を覆っているのに、その青いパッチリ瞳だけで感情を表現できるという特技を持っている。
「”赤イ貧乳”、『コノ世界』ッテドウイウコトアルノナ?」
「ちょっと巨乳っ! その呼び方やめてって言ってるんだよっ! ボクのコト、おっぱいだけで判断しないでくれるっ?」
オマエもな!
「アターシャ、争イゴト好マナイアルノヨ。ココハ一ツ穏便ニ事ヲ済マスアルゾナ」
「ボクだって好きで怒ってんじゃないっ! 哀しいけどコレ、おっぱい戦争なのよね」
「オパーイ戦争?」
「そうだよっ! アンタはその”二つの乳首が生えたブヨブヨ肉爆弾”でボクの大切なお兄ちゃんの心を盗んだんだからっ!」
盗んだって……。
オレの心はオレのもんだ。少なくとも、エリスの貧乳に属していたことなど一度もありゃしない。
とはいえ、このおっぱい論争(戦争?)のおかげでセリスナの疑問がどこかに吹っ飛んだことは助かった。
「静かにしろよ、二人とも。他の乗客に迷惑だろ。セリスナはただでさえその臭いで迷惑かけてんだし、エリスに至っては存在そのものが色彩の暴力だ」
これで喧嘩両成敗……とはならず。
「ヒドイアルナ。アターシャノ臭イ、人助ケノタメアルノニ」
「ハークっ! それってどういう意味だよっ? もしかしてずっと前からそう思ってたのっ?」
失言だった。
それから四頭の馬が歩みを止めるまで二人の女に挟み撃ち……余計な仲裁を試みてとんだ流れ弾を受けたオレは、幌の中でこんこんと発言の真意を問われる羽目になった。
リョン到着。
宿も探さず、真っ先にセリスナの愛馬――フレベルのいる厩舎を訊ねてみたが、目当ての馬飼いは近くのパブに出掛けて不在だった。小間使いが申し訳なさそうに、眉を寄せてそう告げた。
「ふれべる、マダイルアルノナ?」
オレ達とそう年齢も変わらないその少女は以前ここを訊ねて来たセリスナのことを覚えていたので、”フレベル”がどの馬をさすかわかっていた。
「はい、芦毛のあの子はまだ誰にも買われておりません。ここへやって来た時同様、とても元気でございますよ。馬槽は絶えず空っぽでございます」
それを聞いて吐息を漏らしたセリスナは「マタ来ル」の言葉を残し、厩舎を後にした。
茜色の空。トボトボ先頭を歩くセリスナに、どう声を掛けようか悩む。
逡巡するそのオレをエリスが追い越し言葉を放つ。
「改めて断っとくけど、お金は貸さないよっ。お金は友情をブチ壊す力があるからねっ。そして、ボクとアンタの間にはその友情すらないっ! それどころか、もっともっと嫌いになってやるっ!」
「ナラ貸スアルノナ」
「――なっ!?」
振り返った真顔のセリスナ、その発言に一瞬怯むエリス……同じくオレも。
「ど、どうしてそうなるのさっ?」
「貸シタラ、マスマスアターシャノコト嫌イナルアルノネ。……憎メ。蔑メ。アターシャ、ソンナノ慣レテル。ダッテ、亜人間アルカラナ」
「ち、違うっ! ボ、ボクはそんなコトで……」
わかってるさ。エリスはそんな器の小さいヤツじゃない。
小さいのは……おっぱいだ。
馬鹿馬鹿しいけれど、エリスをここまで意固地にさせてる原因もそれに尽きる。
先を行くセリスナの背を、唇を噛みしめながら見つめるエリス。
幼馴染であり妹でもある彼女に対し、オレはいつの日かそうされたように意気消沈する右肩に左手を添えてみた。
「とりあえず、宿を探そうよ。……なあ、エリス」
「な、何さっ?」
「Tomorrow is another day.」
久し振りに耳にした祖国の言語……フッと力が抜けたようで、エリスの困惑顔から自然と笑みが漏れていた。
メガネ、やっぱり似合ってるぞ。
口にしたら何だか負けを認めたようなので、それだけは黙っておいた。
0
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
縫剣のセネカ
藤花スイ
ファンタジー
「ぬいけんのせねか」と読みます。
--
コルドバ村のセネカは英雄に憧れるお転婆娘だ。
幼馴染のルキウスと共に穏やかな日々を過ごしていた。
ある日、セネカとルキウスの両親は村を守るために戦いに向かった。
訳も分からず見送ったその後、二人は孤児となった。
その経験から、大切なものを守るためには強さが必要だとセネカは思い知った。
二人は力をつけて英雄になるのだと誓った。
しかし、セネカが十歳の時に授かったのは【縫う】という非戦闘系のスキルだった。
一方、ルキウスは破格のスキル【神聖魔法】を得て、王都の教会へと旅立ってゆく。
二人の道は分かれてしまった。
残されたセネカは、ルキウスとの約束を胸に問い続ける。
どうやって戦っていくのか。希望はどこにあるのか⋯⋯。
セネカは剣士で、膨大な魔力を持っている。
でも【縫う】と剣をどう合わせたら良いのか分からなかった。
答えは簡単に出ないけれど、セネカは諦めなかった。
創意を続ければいつしか全ての力が繋がる時が来ると信じていた。
セネカは誰よりも早く冒険者の道を駆け上がる。
天才剣士のルキウスに置いていかれないようにとひた向きに力を磨いていく。
遠い地でルキウスもまた自分の道を歩み始めた。
セネカとの大切な約束を守るために。
そして二人は巻き込まれていく。
あの日、月が瞬いた理由を知ることもなく⋯⋯。
これは、一人の少女が針と糸を使って世界と繋がる物語
(旧題:スキル【縫う】で無双します! 〜ハズレスキルと言われたけれど、努力で当たりにしてみます〜)
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる