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最終話
足りないピースはスマイルで
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【piece1】 大鴉
「漸く念願の魂を手に入れたと思ったら……鴉王よ、あなたの本心は権力による平定ではなかったのですね?」
はじめまして、と僕は頭を下げる。
いや、相手は高い帆柱に止まってるから正確には頭を反らしてるけど。
「大鴉さんの思惑が外れましたね。あなたが知る息子さんは生まれながらにしてカニバリズムでした。ですから、生きていく上で残忍にならざるを得なかった……僕の体の中で彼はそう訴えています」
「あいにく、私は哺乳類ではないのでね。乳をやる代わりに身近にあった脳髄をこの嘴で与えることしかできなかったのです」
「わかります。彼もあなたを責めてるわけじゃない。でも、幸は不幸かリデリアの逆鱗によって彼はいったんリセットされたんです。そして、彼は”俺拓海”ではなく”僕拓海”を選択しました。その僕は多島海を離れようとしています。母親であるあなたはそれを尊重しなければならない……違いますか?」
「わかっています」
大鴉は哀しげな声で言う。
「所詮は血の繋がらない者同士……況や種族すら違うのです。私の息子ではない鴉王よ、今後はあなたの好きに生きるがいい。私も二代目地母神として、この世界をより住みやすいよう創造し直します。ですが、私にはあなたを多島海から出す術がないのですよ?」
「わかってます」
僕は大鴉に一礼して(くどいようだけど、反らしながら)、硬い表情を解いた。
【piece2】 白衛門
「御帰りでござる。本物の種主様」
”岩清水拓海”と一番長く冒険してきた仲間――初代スペル魔の白衛門が温かく僕を出迎えてくれた。
いつもはその巨体が頼もしく思えたけれど、鴉王となった今や僕の方が頭一つ分大きい。
「ただいま……でいいのかな? こんな体になっちゃったけど、これからも僕と一緒にいてくれる?」
「愚問でござるよ。某と種主様は一蓮托生……この身が滅びるまでお供するでござる」
あれ、コレって前にも聞いたっけ?
それとも初めてかな。
どっちでもいいさ。僕だってずっとそう思ってたんだから、違和感がないのは当たり前だ。
「ありがとう。今後ともよろしくね」
僕は白衛門の肩に触れて破顔した。
【piece3】 小園
「小園さんも……”偽拓海”じゃない僕とこうして話すのは初めてだよね?」
ええ、と頷く小園さん。
長いことメイドとして岩清水邸で働いてくれてるけれど、そのメイド衣装が宇宙服同然だから面識はないに等しい。
「ですが、外見があまりにも……い、以前の拓海様と……」
か細い声で泣き咽ぶベリーショートの小園さん。
きっと主人の咲柚さんに申し訳が立たないと責任を痛感してるんだろう。
真面目だし素敵な人だとは思うけれど、かつての”偽拓海”ほど惹かれることはない。小園さんに対するアイツの想いは本物だったからね。
「お願いだから泣かないでよ。外見はすっかり変わっちゃったけど、中身はそのまんまなんだから。寧ろ、さっきまで甲板にいた僕の方が僕じゃなかったんだからさ」
「そう……でございますね」
「小園さん、笑ってください」
「え?」
「本当は僕だって泣きたいんだ。でもね、泣いたって慣れ親しんだあの体が戻るわけじゃない。だったら……ね?」
先に僕が笑ってみせる。
小園さんも涙を拭いつつ、つられて白い歯を見せてくれた。
【piece4】 黒リータ
ゴスロリファッションの黒リータ……僕が例のダンジョンで彼女と喋った時、その顔はまだ猫のマンチカン、若しくはそれを削ぎ落した剥き出しの状態だった。
よって、割れた眼鏡を掛けたまばたきしない花子さんの顔になって以降、これが初めての会話になる。
「やあ。……あのさ、僕の気のせいかもしんないけど、挿げ替えのメス、こっちに向けてない?」
「拓海様、約束は果たしてくださいね?」
もう拓海じゃないんだけど。
「約束?」
黒リータが僕の股間を凝視しつつコクリと頷く。
「先程仰ったじゃありませんか。『やるよ』って」
ああ! 偽拓海が無責任にもそんな軽口叩いてたな!
「そ、そんなの無効だよ! だってソレ含めて体ごと僕が拓海を食べちゃったんだもん!」
「自分だけズルイ。だったら、代わりにそのトウモロコシみたいな巨大陰茎を削がせてもらいます。じゅるり……」
「おっと、そこまででござる」
白衛門に首根っこをヒョイと掴まれ手足をバタつかせる黒リータに、僕は思わず苦笑した。
何だかんだ言って、彼女には何度も和まされたな。
【piece5】 フレール
《それがワタシの父の姿なのね……》
軍艦レベル7の本体――舵輪を離れ幽体のフレールが僕の前にぼんやり現れる。
このコ、何気に偽拓海に告白してたんだよな。
その偽拓海を食べたのが彼女の父親ってことになる。しかもその魂は本物の拓海……何だかとってもややこしい。
僕が鴉王となってこの軍艦に戻る前、真っ赤な海底で起きた一部始終を感知していた大鴉がみんなに実況していたおかげで、フレール含めみんなはスンナリとこの異常事態を受け入れている。
なので、僕がいちいち説明せずとも話が円滑に進むのは有難い。
「フレール……さん。うまく言えないけれど、今の僕はあなたの父でもなければ想い人でもないんだ。そしてすぐにでも多島海を出ようとしてる」
《どうやって出るのさ? 上のクソババアにも無理なんでしょ?》
「それについては後で……。で、フレールさん自身はどうするの?」
《ワタシには行く場所なんてどこにもないよ。父も母も恋人もいない……。あるのは母から譲り受けたこの名前だけ……。で、できればだけど、キミにはここに残って欲しい……とは思ってる》
素直になってる。最初の頃とは大違いな典型的ツンとデレ。
民族衣装っぽい幼さが残る金髪美女、可憐なフレールのお願いに僕は容赦なく首を横に振る。
「多島海じゃできないことなんだ。もしよければだけど、フレールさんも一緒に……」
《行かないってばッ! 消えるんならとっとと消えてよね! サヨナラッ!》
消えろと言った本人が僕の前からフッと消えてしまった。
こんな別れ方はとても残念だけど、それでも僕はさっきまでフレールがいた場所に感謝の意を込めて一笑する。彼女が迎えてくれたからこそ、僕達はこれまで多島海で生きてこれたんだから。
そうだ。せめて、彼女の側に白鮫人と白鯨を残していこう。
彼らにとっても、僕が行くべき場所より多島海が一番だろうから。
【piece6】 白虎丸
僕の周りにフワフワ浮遊する、偽拓海がその声も聞かずに勝手に召喚したスペル魔――妖刀の白虎丸。
拓海の脳天を突き差し、致命傷を負わせたのはコイツだ。
今はこの僕に仕えてるけど……さて、このまま信用していいのかな。刀だけにいつ刃向かうことやら。
僕は愛刀に向かってニヤリと笑んでみせた。
このくらいの緊張感はあってもいい。
【piece7】 アンドリュー
黒猫の生首に目を落とす。
「いつまで猫を被ってるんです?」
「フフフ、何を言ってるんだい? 僕は正真正銘の”猫”だよ。正確には元ケットシーだけどね」
「偽拓海は騙せても、この僕は騙せませんよ。ヨコヤ魔さん……いや、サルガタナス」
甲板上の生首は不敵な笑みを隠そうともしない。
「どうしてわかった?」
「あなたは悪魔だからその姿を自由に変えられる。それにサタンと咲柚さんに命を狙われている。そして研究対象であるティッシュマスターは異世界へと飛んだ……。雲隠れするには多島海が一番最適じゃないですか? それに……」
「『それに?』」
「僕は横山さんが本当に大好きだった。だから直感でわかったよ。ダンジョンで会ったアンドリューとは全然違う……別人だってさ」
「参ったな。そこまで横山を慕ってくれていたとはね」
”アンドリュー”を名乗っていたサルガタナスは生首から一転、タキシード姿の老人へと早変わり。
そしてあの時と同じように胸ポケットから一つの鍵を取り出し、それを投げ寄越した。
「貴様はグゼゲドフと環境変化のおかげで飛躍的にティッシュマスターとして成長を遂げたばかりか、その姿までも頼もしくなっている。だが、まだ依然としてティッシュの扱い方は未熟なままだ。使用済みティッシュの帰還術すら習得しておらんしな。それどころか、ストック全てを使い果たすという失態までも演じてしまった。まだまだ鍛錬が必要だな。無論、貴様もその積もりだろうが」
それだけ言ってしまうと、サルガタナスは背を向けて一足先に多島海を去ろうとする。
「待って」
「何だ?」
振り返った彼に僕は笑顔でおねだり。
「また僕のために、フォンダン・ショコラ……作ってくれる?」
「それまで、お互い生きていればな」
去り際に、彼も素敵な笑顔を返してくれた。
約束だよ、横山さん……。
「じゃ、僕達も行こうか。……じゃあね、大鴉さん」
それにフレールも。
もらったばかりの銀の鍵を架空の鍵穴に入れると、目の前は懐かしい岩清水邸の一室……あの会議室が開けていた。
僕に続いて小園さん、白虎丸、白衛門、そして彼に首根っこを掴まれたままの黒リータが空間の歪みを潜り抜けた途端、以前と同じように手元の鍵と背後の異世界が同時に視界から消えていった。
会議室には既に二人の女の子が待っていた。
人を愛せない処女のニオイがムワッと鼻にくる。
【piece8】 望海
「……の、望海ちゃん! どうしてここに?」
ヤンキーみたいなド金髪ロング。
同じ金髪でもフレールと違って、こっちは明らかに東洋人丸出し。どっちも美人だけどさ。
「ま、待て。その前にオメー誰だよ?」
「え? 一応は拓海……だけど」
「ウソつけェ! たった数ヵ月でどんだけ成長してんだ? 髭まで生えてんじゃねーかァ!」
怖がってるわりに般若ヅラは相変わらず。
離れ離れになってそんなに日にちが経ってないのに、懐かしさが込み上げて思わず顔が綻ぶ。
「変わってないなあ」
「オメーが変わり過ぎなんだよッ!」
【piece9】 猫助
その横にいる棒立ちの女の子――茶色のエアリーロングに猫耳カチューシャ、頬には左右三本ずつの線が描かれてる。
まるで時が止まったかのように、この二人は本当に何も変わってない。
「あ、あんた……ホ、ホントに拓海様にゃんか?」
疑いの眼差しを僕に向けつつ、後ろの白衛門や同僚の小園さん、それに花子さんの顔をくっつけた因縁の相手――黒リータをちらと盗み見る。
「正確に言うと、ご覧の通り拓海じゃなくなっちゃったんだけどね。でも、中身は二人が知ってる岩清水拓海だよ」
「コ、コスプレじゃにゃいにゃんか?」
「猫助じゃあるまいし。もしかして、まだ二人だけでリップアーマー作ってるの?」
二人が揃って頷く。
ということは……。
僕は自然と頬が緩んだ。
また二人と一緒にいられるかもしれないから。
「これはまた……我が息子の原型をまるでとどめておらんな」
一番聞きたかったその声に、僕の心臓は止まりそうだった。
【piece10】 咲柚
「真っ赤な甲冑はまだわかるとして、だ。兜に王冠を戴くとはどういう趣向だ?」
遅れて堂々と会議室に入って来た、このハタチそこそこのお色気ムンムン美女こそが僕の母親――咲柚さん。
期待はしてなかったけど、やはり感動の再会とはならなかった。
「そう言われても……。僕がコーディネートしたんじゃないからね」
「とりあえず、学校に行け。遅刻するぞ」
いやいやいやッ!
心配するのそこかよ!
「こんな格好で学校なんて行けないよ。身長三メートル超えてて髭生やした中学生なんていないだろ?」
「心配するな。オマエの姿くらいどうとでもなる。私のこの姿も魔法によるものだぞ。せめて義務教育は修了しとかんとな」
「ちょっと待ってよ! そんな超現実的な問題より、まず言うべきこと、訊くべきことがあるんじゃないの? 今までどこにいてどうしてこんな体になったとか……あと、偽拓海がどうなったとかさ?」
「興味ないな。オマエが無事ならそれでいい」
「ぶ、無事なの? 咲柚さんが産んでくれた体、失っちゃったんだけど……」
「だから、そんな容れ物など魔法で何とでもなると言っている。中身を失ってしまったら、それこそ取り返しがつかんが」
呑み込みが早過ぎるよ。それでこそ咲柚さんだけど。
せめて、ただいま、おかえり、そのやり取りくらいはしたかったな。
「咲柚さんに報告があるんだ。……ヘンリーさんが死んじゃったんだよ」
「私の元を離れた恩知らずがどうなろうと知ったことではない。それより、オマエはいよいよ学校をサボる気だな?」
ダメだ、こりゃ。
ならば無駄話は一切排して、今後の方針を咲柚さんに報告しておこう。
「学校には行かない。明日も明後日も永遠に」
「それも反抗期の一環……ではなさそうだな?」
「違うよ。僕は低級魔界を統治する。それから、ハーフ・インキュバスとハーフ・サキュバスを人間と全く同じ生き物にして人間界と完全に統一する。これこそが咲柚さんの願いそのものだった筈だよ?」
「ほう」
咲柚さんの眼光が鋭くなった。
「自分の中の悪魔を否定する気になったか? つまり、この私も」
僕は力強く頷き、そして返す。
「死んだけど、ヘンリーさんはハーフ・インキュバスから人間になれたんだ。僕は権力ではなく、僕なりのやり方でハーフ・インキュバス、ハーフ・サキュバスを人間にしてあげたい。そのためにも、僕は咲柚さんの元を離れる覚悟ができたんだ」
暫し押し黙る咲柚さん。
だけど、たった一言、
「成長したな」
そう言い残して、振り向きもせず会議室を出て行った。
これは後でわかったことだけど、望海ちゃんも猫助も咲柚さんに呼ばれて会議室に来たらしい。
そして、二人はこう告げられていた。
「拓海の下で働け」
だってさ。
確かに僕は低級魔界を治めるんだもん。
行ったり来たりするには、僕の保護下にあった方が便宜上、仕事がしやすいからね。
でも……。
だとしたら、咲柚さんは僕の決意を見抜いてたってことになる。ホントに千里眼だよな。
もしかしたら、多島海の行動も逐一見られてた?
いや、まさかね。
それにしても、咲柚さんは素っ気なさすぎる。
みんなの前でそうしたように、僕は咲柚さんにも笑いたかったのに。
まあ、いいか。
その機会は何度でもあるだろう……多分。
【piece11】 グゼゲドフ
ずっと僕の中にいたもう一人の自分。
コイツはコイツなりにずっと苦しんでいた。
かつてヤツの幼馴染であり恋人だった王妃の首に掛けられていたのは、本当に翡翠のペンダントだったのかもしれない。何しろ僕はそれを見たことがないから何とも言えないけれど。
でも、小園さんのペンダントは翡翠じゃない。青色だから多分、サファイア?
そんな高価じゃないなら別の石かもしれない。
それに大鴉はそもそもペンダントすら掛けていなかった。
罪悪感に苛まれていたヤツはずっとずっと幻覚を見ていたんだ。
大悪党には違いなかったけれど、グゼゲドフは最初に犯した殺人をずっと引きずって生きていた……。
そんなヤツに僕は微笑みかけてやる。
お疲れ様、偽拓海。
キミにも少しは良心があったんだよ。……ほんの少し、だけどね。
【piece12】 花子
かつての地母神リデリア……それから人間に転生し、そしてその人間にも絶望し自ら命を絶った花子さん。
統治の王冠として、いつも僕の側で見守ってくれる花子さん。
「皆さん、忘れないでください。生き物は例外なく、いつか死ぬということを……。それは哀しみではなく、一つの解放として存在するのです」
うん、その通りかもしれないね。
でも、だからこそあなたにも笑ってあげたい。解放されてよかったねって。
笑えることは生きてるってこと。
僕は当分、笑い続ける……と思います。
************************************
さてと。
だいぶ溜まってるよな。白いのが……。
低級魔界へ行く前に僕はイカなきゃならない。そうしないとマジで二つの精子工場が破裂してしまう。
とりあえず屋敷中のティッシュを掻き集めると、僕はみんなを追い払って自室に閉じ籠った。
言っとくけど、これは決して疾しい行為じゃない。
ティッシュマスターに欠かせない使用済みティッシュの補充なんだ。何しろ、浪費家の偽拓海が全部使っちゃったからね。
そのためにも、花子さんの言葉じゃないけれど、僕の中の小さな僕を”解放”させなきゃなんない。
いや、もはや小さくないか。
鴉王の体を手に入れた僕は、ムスコの方も言うまでもなくデカい。黒リータじゃないけれど、本当にトウモロコシ一本分ほどもある。
これだけデカくなったんだ。早漏の方もマシになってるよね?
そうだよ。何たって鴉王には777人もの愛人がいたんだから、ソッチ系のテクニックだって凄かった筈。そんな彼が早漏なワケないじゃんか!
で、僕は鬼のようにそそり勃った自分のムスコを握ってみる。
こ、こりゃガチで凄い!
と、その時だった。
《お父さんのオチン○ン、見ぃーちゃった!》
えッ、フ、フレール???
「ど、どどどどどど、どうしてここにッ? 向こうに残った筈じゃ……?」
《エヘヘ、やっぱりついてきちゃったの。舵輪を離れくっつき虫になって密かにお父さんの甲冑紐にピタッてね》
くっつき虫だと?
――ッ!?
甲板に生えてたあのイノコヅチ!!!
すっかりその存在を忘れてた。
ここに来てまさかの伏線回収かよ……てか、僕のことお父さんって呼ぶなッ!
不覚……。
興奮より驚きで射精しちゃったよ。
これで二度目、しかもまたフレールの顔に!
結局、早漏のまんま……鴉王、オマエもか!
で、大変なのはこれからだった。
出るわ出るわ白いのが。
蛇口ひねってジャージャーなんてもんじゃない。
消防訓練の放水レベル! 忽ち僕の部屋が真っ白い液体で浸水してしまう。
「ティッシュが足んない……なんてレベルじゃないッ! 自分の精子で溺れ死ぬ! し、白衛門ッ、助けてぇ―――ッ!!!」
そこへドアを打ち破って颯爽と現れた白衛門。
「種主様、いかがなされた?」
「は、早く精子を吸収してッ!!!」
「拓海のしこしこ見せろォ――!!!」
「ゲッ? 望海ちゃんまで何で待機してんのッ?」
「つられて猫助も参上にゃん!」
「つられて参上すんなッ!」
「お父さん、ワタシの顔にいっぱい出てるよ?」
「その発言やめろッ! 同じ近親相姦モノでも母と息子はいいけど、父と娘は絶対に受けつけないからッ!!!」
「拓海様の巨根を削ぎ落とし、そして食す!」
「うわッ、黒リータ、削ぐのはよせッ! てか、みんなして何なんだ――ッ!!!」
こんなんじゃ、ティッシュマスターへの童貞……じゃなく道程はまだまだ遠い。
――finish――
フィニッシュ【finish】
[名]終えること。終わること。終わり。終了。[俗]射精
「漸く念願の魂を手に入れたと思ったら……鴉王よ、あなたの本心は権力による平定ではなかったのですね?」
はじめまして、と僕は頭を下げる。
いや、相手は高い帆柱に止まってるから正確には頭を反らしてるけど。
「大鴉さんの思惑が外れましたね。あなたが知る息子さんは生まれながらにしてカニバリズムでした。ですから、生きていく上で残忍にならざるを得なかった……僕の体の中で彼はそう訴えています」
「あいにく、私は哺乳類ではないのでね。乳をやる代わりに身近にあった脳髄をこの嘴で与えることしかできなかったのです」
「わかります。彼もあなたを責めてるわけじゃない。でも、幸は不幸かリデリアの逆鱗によって彼はいったんリセットされたんです。そして、彼は”俺拓海”ではなく”僕拓海”を選択しました。その僕は多島海を離れようとしています。母親であるあなたはそれを尊重しなければならない……違いますか?」
「わかっています」
大鴉は哀しげな声で言う。
「所詮は血の繋がらない者同士……況や種族すら違うのです。私の息子ではない鴉王よ、今後はあなたの好きに生きるがいい。私も二代目地母神として、この世界をより住みやすいよう創造し直します。ですが、私にはあなたを多島海から出す術がないのですよ?」
「わかってます」
僕は大鴉に一礼して(くどいようだけど、反らしながら)、硬い表情を解いた。
【piece2】 白衛門
「御帰りでござる。本物の種主様」
”岩清水拓海”と一番長く冒険してきた仲間――初代スペル魔の白衛門が温かく僕を出迎えてくれた。
いつもはその巨体が頼もしく思えたけれど、鴉王となった今や僕の方が頭一つ分大きい。
「ただいま……でいいのかな? こんな体になっちゃったけど、これからも僕と一緒にいてくれる?」
「愚問でござるよ。某と種主様は一蓮托生……この身が滅びるまでお供するでござる」
あれ、コレって前にも聞いたっけ?
それとも初めてかな。
どっちでもいいさ。僕だってずっとそう思ってたんだから、違和感がないのは当たり前だ。
「ありがとう。今後ともよろしくね」
僕は白衛門の肩に触れて破顔した。
【piece3】 小園
「小園さんも……”偽拓海”じゃない僕とこうして話すのは初めてだよね?」
ええ、と頷く小園さん。
長いことメイドとして岩清水邸で働いてくれてるけれど、そのメイド衣装が宇宙服同然だから面識はないに等しい。
「ですが、外見があまりにも……い、以前の拓海様と……」
か細い声で泣き咽ぶベリーショートの小園さん。
きっと主人の咲柚さんに申し訳が立たないと責任を痛感してるんだろう。
真面目だし素敵な人だとは思うけれど、かつての”偽拓海”ほど惹かれることはない。小園さんに対するアイツの想いは本物だったからね。
「お願いだから泣かないでよ。外見はすっかり変わっちゃったけど、中身はそのまんまなんだから。寧ろ、さっきまで甲板にいた僕の方が僕じゃなかったんだからさ」
「そう……でございますね」
「小園さん、笑ってください」
「え?」
「本当は僕だって泣きたいんだ。でもね、泣いたって慣れ親しんだあの体が戻るわけじゃない。だったら……ね?」
先に僕が笑ってみせる。
小園さんも涙を拭いつつ、つられて白い歯を見せてくれた。
【piece4】 黒リータ
ゴスロリファッションの黒リータ……僕が例のダンジョンで彼女と喋った時、その顔はまだ猫のマンチカン、若しくはそれを削ぎ落した剥き出しの状態だった。
よって、割れた眼鏡を掛けたまばたきしない花子さんの顔になって以降、これが初めての会話になる。
「やあ。……あのさ、僕の気のせいかもしんないけど、挿げ替えのメス、こっちに向けてない?」
「拓海様、約束は果たしてくださいね?」
もう拓海じゃないんだけど。
「約束?」
黒リータが僕の股間を凝視しつつコクリと頷く。
「先程仰ったじゃありませんか。『やるよ』って」
ああ! 偽拓海が無責任にもそんな軽口叩いてたな!
「そ、そんなの無効だよ! だってソレ含めて体ごと僕が拓海を食べちゃったんだもん!」
「自分だけズルイ。だったら、代わりにそのトウモロコシみたいな巨大陰茎を削がせてもらいます。じゅるり……」
「おっと、そこまででござる」
白衛門に首根っこをヒョイと掴まれ手足をバタつかせる黒リータに、僕は思わず苦笑した。
何だかんだ言って、彼女には何度も和まされたな。
【piece5】 フレール
《それがワタシの父の姿なのね……》
軍艦レベル7の本体――舵輪を離れ幽体のフレールが僕の前にぼんやり現れる。
このコ、何気に偽拓海に告白してたんだよな。
その偽拓海を食べたのが彼女の父親ってことになる。しかもその魂は本物の拓海……何だかとってもややこしい。
僕が鴉王となってこの軍艦に戻る前、真っ赤な海底で起きた一部始終を感知していた大鴉がみんなに実況していたおかげで、フレール含めみんなはスンナリとこの異常事態を受け入れている。
なので、僕がいちいち説明せずとも話が円滑に進むのは有難い。
「フレール……さん。うまく言えないけれど、今の僕はあなたの父でもなければ想い人でもないんだ。そしてすぐにでも多島海を出ようとしてる」
《どうやって出るのさ? 上のクソババアにも無理なんでしょ?》
「それについては後で……。で、フレールさん自身はどうするの?」
《ワタシには行く場所なんてどこにもないよ。父も母も恋人もいない……。あるのは母から譲り受けたこの名前だけ……。で、できればだけど、キミにはここに残って欲しい……とは思ってる》
素直になってる。最初の頃とは大違いな典型的ツンとデレ。
民族衣装っぽい幼さが残る金髪美女、可憐なフレールのお願いに僕は容赦なく首を横に振る。
「多島海じゃできないことなんだ。もしよければだけど、フレールさんも一緒に……」
《行かないってばッ! 消えるんならとっとと消えてよね! サヨナラッ!》
消えろと言った本人が僕の前からフッと消えてしまった。
こんな別れ方はとても残念だけど、それでも僕はさっきまでフレールがいた場所に感謝の意を込めて一笑する。彼女が迎えてくれたからこそ、僕達はこれまで多島海で生きてこれたんだから。
そうだ。せめて、彼女の側に白鮫人と白鯨を残していこう。
彼らにとっても、僕が行くべき場所より多島海が一番だろうから。
【piece6】 白虎丸
僕の周りにフワフワ浮遊する、偽拓海がその声も聞かずに勝手に召喚したスペル魔――妖刀の白虎丸。
拓海の脳天を突き差し、致命傷を負わせたのはコイツだ。
今はこの僕に仕えてるけど……さて、このまま信用していいのかな。刀だけにいつ刃向かうことやら。
僕は愛刀に向かってニヤリと笑んでみせた。
このくらいの緊張感はあってもいい。
【piece7】 アンドリュー
黒猫の生首に目を落とす。
「いつまで猫を被ってるんです?」
「フフフ、何を言ってるんだい? 僕は正真正銘の”猫”だよ。正確には元ケットシーだけどね」
「偽拓海は騙せても、この僕は騙せませんよ。ヨコヤ魔さん……いや、サルガタナス」
甲板上の生首は不敵な笑みを隠そうともしない。
「どうしてわかった?」
「あなたは悪魔だからその姿を自由に変えられる。それにサタンと咲柚さんに命を狙われている。そして研究対象であるティッシュマスターは異世界へと飛んだ……。雲隠れするには多島海が一番最適じゃないですか? それに……」
「『それに?』」
「僕は横山さんが本当に大好きだった。だから直感でわかったよ。ダンジョンで会ったアンドリューとは全然違う……別人だってさ」
「参ったな。そこまで横山を慕ってくれていたとはね」
”アンドリュー”を名乗っていたサルガタナスは生首から一転、タキシード姿の老人へと早変わり。
そしてあの時と同じように胸ポケットから一つの鍵を取り出し、それを投げ寄越した。
「貴様はグゼゲドフと環境変化のおかげで飛躍的にティッシュマスターとして成長を遂げたばかりか、その姿までも頼もしくなっている。だが、まだ依然としてティッシュの扱い方は未熟なままだ。使用済みティッシュの帰還術すら習得しておらんしな。それどころか、ストック全てを使い果たすという失態までも演じてしまった。まだまだ鍛錬が必要だな。無論、貴様もその積もりだろうが」
それだけ言ってしまうと、サルガタナスは背を向けて一足先に多島海を去ろうとする。
「待って」
「何だ?」
振り返った彼に僕は笑顔でおねだり。
「また僕のために、フォンダン・ショコラ……作ってくれる?」
「それまで、お互い生きていればな」
去り際に、彼も素敵な笑顔を返してくれた。
約束だよ、横山さん……。
「じゃ、僕達も行こうか。……じゃあね、大鴉さん」
それにフレールも。
もらったばかりの銀の鍵を架空の鍵穴に入れると、目の前は懐かしい岩清水邸の一室……あの会議室が開けていた。
僕に続いて小園さん、白虎丸、白衛門、そして彼に首根っこを掴まれたままの黒リータが空間の歪みを潜り抜けた途端、以前と同じように手元の鍵と背後の異世界が同時に視界から消えていった。
会議室には既に二人の女の子が待っていた。
人を愛せない処女のニオイがムワッと鼻にくる。
【piece8】 望海
「……の、望海ちゃん! どうしてここに?」
ヤンキーみたいなド金髪ロング。
同じ金髪でもフレールと違って、こっちは明らかに東洋人丸出し。どっちも美人だけどさ。
「ま、待て。その前にオメー誰だよ?」
「え? 一応は拓海……だけど」
「ウソつけェ! たった数ヵ月でどんだけ成長してんだ? 髭まで生えてんじゃねーかァ!」
怖がってるわりに般若ヅラは相変わらず。
離れ離れになってそんなに日にちが経ってないのに、懐かしさが込み上げて思わず顔が綻ぶ。
「変わってないなあ」
「オメーが変わり過ぎなんだよッ!」
【piece9】 猫助
その横にいる棒立ちの女の子――茶色のエアリーロングに猫耳カチューシャ、頬には左右三本ずつの線が描かれてる。
まるで時が止まったかのように、この二人は本当に何も変わってない。
「あ、あんた……ホ、ホントに拓海様にゃんか?」
疑いの眼差しを僕に向けつつ、後ろの白衛門や同僚の小園さん、それに花子さんの顔をくっつけた因縁の相手――黒リータをちらと盗み見る。
「正確に言うと、ご覧の通り拓海じゃなくなっちゃったんだけどね。でも、中身は二人が知ってる岩清水拓海だよ」
「コ、コスプレじゃにゃいにゃんか?」
「猫助じゃあるまいし。もしかして、まだ二人だけでリップアーマー作ってるの?」
二人が揃って頷く。
ということは……。
僕は自然と頬が緩んだ。
また二人と一緒にいられるかもしれないから。
「これはまた……我が息子の原型をまるでとどめておらんな」
一番聞きたかったその声に、僕の心臓は止まりそうだった。
【piece10】 咲柚
「真っ赤な甲冑はまだわかるとして、だ。兜に王冠を戴くとはどういう趣向だ?」
遅れて堂々と会議室に入って来た、このハタチそこそこのお色気ムンムン美女こそが僕の母親――咲柚さん。
期待はしてなかったけど、やはり感動の再会とはならなかった。
「そう言われても……。僕がコーディネートしたんじゃないからね」
「とりあえず、学校に行け。遅刻するぞ」
いやいやいやッ!
心配するのそこかよ!
「こんな格好で学校なんて行けないよ。身長三メートル超えてて髭生やした中学生なんていないだろ?」
「心配するな。オマエの姿くらいどうとでもなる。私のこの姿も魔法によるものだぞ。せめて義務教育は修了しとかんとな」
「ちょっと待ってよ! そんな超現実的な問題より、まず言うべきこと、訊くべきことがあるんじゃないの? 今までどこにいてどうしてこんな体になったとか……あと、偽拓海がどうなったとかさ?」
「興味ないな。オマエが無事ならそれでいい」
「ぶ、無事なの? 咲柚さんが産んでくれた体、失っちゃったんだけど……」
「だから、そんな容れ物など魔法で何とでもなると言っている。中身を失ってしまったら、それこそ取り返しがつかんが」
呑み込みが早過ぎるよ。それでこそ咲柚さんだけど。
せめて、ただいま、おかえり、そのやり取りくらいはしたかったな。
「咲柚さんに報告があるんだ。……ヘンリーさんが死んじゃったんだよ」
「私の元を離れた恩知らずがどうなろうと知ったことではない。それより、オマエはいよいよ学校をサボる気だな?」
ダメだ、こりゃ。
ならば無駄話は一切排して、今後の方針を咲柚さんに報告しておこう。
「学校には行かない。明日も明後日も永遠に」
「それも反抗期の一環……ではなさそうだな?」
「違うよ。僕は低級魔界を統治する。それから、ハーフ・インキュバスとハーフ・サキュバスを人間と全く同じ生き物にして人間界と完全に統一する。これこそが咲柚さんの願いそのものだった筈だよ?」
「ほう」
咲柚さんの眼光が鋭くなった。
「自分の中の悪魔を否定する気になったか? つまり、この私も」
僕は力強く頷き、そして返す。
「死んだけど、ヘンリーさんはハーフ・インキュバスから人間になれたんだ。僕は権力ではなく、僕なりのやり方でハーフ・インキュバス、ハーフ・サキュバスを人間にしてあげたい。そのためにも、僕は咲柚さんの元を離れる覚悟ができたんだ」
暫し押し黙る咲柚さん。
だけど、たった一言、
「成長したな」
そう言い残して、振り向きもせず会議室を出て行った。
これは後でわかったことだけど、望海ちゃんも猫助も咲柚さんに呼ばれて会議室に来たらしい。
そして、二人はこう告げられていた。
「拓海の下で働け」
だってさ。
確かに僕は低級魔界を治めるんだもん。
行ったり来たりするには、僕の保護下にあった方が便宜上、仕事がしやすいからね。
でも……。
だとしたら、咲柚さんは僕の決意を見抜いてたってことになる。ホントに千里眼だよな。
もしかしたら、多島海の行動も逐一見られてた?
いや、まさかね。
それにしても、咲柚さんは素っ気なさすぎる。
みんなの前でそうしたように、僕は咲柚さんにも笑いたかったのに。
まあ、いいか。
その機会は何度でもあるだろう……多分。
【piece11】 グゼゲドフ
ずっと僕の中にいたもう一人の自分。
コイツはコイツなりにずっと苦しんでいた。
かつてヤツの幼馴染であり恋人だった王妃の首に掛けられていたのは、本当に翡翠のペンダントだったのかもしれない。何しろ僕はそれを見たことがないから何とも言えないけれど。
でも、小園さんのペンダントは翡翠じゃない。青色だから多分、サファイア?
そんな高価じゃないなら別の石かもしれない。
それに大鴉はそもそもペンダントすら掛けていなかった。
罪悪感に苛まれていたヤツはずっとずっと幻覚を見ていたんだ。
大悪党には違いなかったけれど、グゼゲドフは最初に犯した殺人をずっと引きずって生きていた……。
そんなヤツに僕は微笑みかけてやる。
お疲れ様、偽拓海。
キミにも少しは良心があったんだよ。……ほんの少し、だけどね。
【piece12】 花子
かつての地母神リデリア……それから人間に転生し、そしてその人間にも絶望し自ら命を絶った花子さん。
統治の王冠として、いつも僕の側で見守ってくれる花子さん。
「皆さん、忘れないでください。生き物は例外なく、いつか死ぬということを……。それは哀しみではなく、一つの解放として存在するのです」
うん、その通りかもしれないね。
でも、だからこそあなたにも笑ってあげたい。解放されてよかったねって。
笑えることは生きてるってこと。
僕は当分、笑い続ける……と思います。
************************************
さてと。
だいぶ溜まってるよな。白いのが……。
低級魔界へ行く前に僕はイカなきゃならない。そうしないとマジで二つの精子工場が破裂してしまう。
とりあえず屋敷中のティッシュを掻き集めると、僕はみんなを追い払って自室に閉じ籠った。
言っとくけど、これは決して疾しい行為じゃない。
ティッシュマスターに欠かせない使用済みティッシュの補充なんだ。何しろ、浪費家の偽拓海が全部使っちゃったからね。
そのためにも、花子さんの言葉じゃないけれど、僕の中の小さな僕を”解放”させなきゃなんない。
いや、もはや小さくないか。
鴉王の体を手に入れた僕は、ムスコの方も言うまでもなくデカい。黒リータじゃないけれど、本当にトウモロコシ一本分ほどもある。
これだけデカくなったんだ。早漏の方もマシになってるよね?
そうだよ。何たって鴉王には777人もの愛人がいたんだから、ソッチ系のテクニックだって凄かった筈。そんな彼が早漏なワケないじゃんか!
で、僕は鬼のようにそそり勃った自分のムスコを握ってみる。
こ、こりゃガチで凄い!
と、その時だった。
《お父さんのオチン○ン、見ぃーちゃった!》
えッ、フ、フレール???
「ど、どどどどどど、どうしてここにッ? 向こうに残った筈じゃ……?」
《エヘヘ、やっぱりついてきちゃったの。舵輪を離れくっつき虫になって密かにお父さんの甲冑紐にピタッてね》
くっつき虫だと?
――ッ!?
甲板に生えてたあのイノコヅチ!!!
すっかりその存在を忘れてた。
ここに来てまさかの伏線回収かよ……てか、僕のことお父さんって呼ぶなッ!
不覚……。
興奮より驚きで射精しちゃったよ。
これで二度目、しかもまたフレールの顔に!
結局、早漏のまんま……鴉王、オマエもか!
で、大変なのはこれからだった。
出るわ出るわ白いのが。
蛇口ひねってジャージャーなんてもんじゃない。
消防訓練の放水レベル! 忽ち僕の部屋が真っ白い液体で浸水してしまう。
「ティッシュが足んない……なんてレベルじゃないッ! 自分の精子で溺れ死ぬ! し、白衛門ッ、助けてぇ―――ッ!!!」
そこへドアを打ち破って颯爽と現れた白衛門。
「種主様、いかがなされた?」
「は、早く精子を吸収してッ!!!」
「拓海のしこしこ見せろォ――!!!」
「ゲッ? 望海ちゃんまで何で待機してんのッ?」
「つられて猫助も参上にゃん!」
「つられて参上すんなッ!」
「お父さん、ワタシの顔にいっぱい出てるよ?」
「その発言やめろッ! 同じ近親相姦モノでも母と息子はいいけど、父と娘は絶対に受けつけないからッ!!!」
「拓海様の巨根を削ぎ落とし、そして食す!」
「うわッ、黒リータ、削ぐのはよせッ! てか、みんなして何なんだ――ッ!!!」
こんなんじゃ、ティッシュマスターへの童貞……じゃなく道程はまだまだ遠い。
――finish――
フィニッシュ【finish】
[名]終えること。終わること。終わり。終了。[俗]射精
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