Blue history ~蒼の歴史~

春夏冬 秋

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王立図書館にて

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お昼を食べたフランとクロイは蒼党の書庫に来ていた。

紅党と蒼党にはそれぞれ党に建物が設けられている。党でのパーティーや会議が行われることもあり、多種多様に使われている。
党にはそれぞれの歴史を記した書物なども置かれており知識を欲するフランには天国のような場所だった。
しかし、双方の党に関わる本は片方に置くことを両者とも許さなかったので王立図書館に置かれている。王立図書館は持ち出しはできないが特別区域以外であれば誰でも読めるようになっている。

「ねぇ、クロイ。確かここに歴代三賢者の本置いてあったはずよね。」

「はい、蒼党の方のものであれば置いてあるはずだと思いますが。」 

「そうよね~。どこいったんだろ~。」

本棚に目を向けながら話をする2人。 
辛抱強く目的の1冊を探すが一向に見つからないために時間だけが刻一刻と過ぎていく。
結局あきらめるきっかけとなったのはフランの父、三賢者のディックが来てからであった。

「お父様!」

「フラン、今日も来ていたんだね。今日は何の本を探しているのかな?」

「そうだわ!お父様に聞けば1番手っ取り早いわ!」

フランは一向に見つからない本の名前をディックに伝えた。

「ああ、あの本は今王立図書館だよ。この頃使い方が荒い人が増えてきてね。歴史を残すためにも本を修繕してもらっているんだ。」

「そうなの、じゃあ読めないわね。」

「そんなことも無いぞ。本を頼んだのは1週間ほど前だ。そろそろできることだろうから取りに行ってくれるかな?」

「いいの?直した本1番先に読んで」

「いいよ。フランは本を大切に扱うからね。クロイ、フランを頼んでもいいかい?」

「もちろんです。それとこれはお昼のお弁当です。またお忘れになっていましたよ。しっかり食べてください。」

「ああ、ごめんね。美味しいお弁当いつもありがとう」

「いえ、それでは」

「うん、お願いね」

2人の間には目だけで伝えられるかのように、何を言わなくても伝わっているようなことが何度かある。
それだけ家族の信頼というものが生まれたからだとフランは思っていた。

王立図書館

「やっぱりここは大きいわね~」

さすが王立だけあって蒼党の書庫の3倍はあるだろう建物だった。

「さ~て、さっさと受け取って帰りましょう?」

「そうですね。」

フランはこの大きな王立図書館が好きだ。だが、この図書館と蒼党の書庫では大きな違いがあった。

足を進めるフラン達はあるところで足を止めた。

「うわぁ~、またいるわ。お坊ちゃんズ」

「お嬢様、聞こえますよ。」

「聞こえるように言ってるのよ」

目の前は3大貴族のナイトレイ次期当主候補のジン、グングニル次男のレイド、そしてお昼の時に絡んできたジヘル・オークの兄ディストがいた。

「誰が来たかと思えば貧乏貴族の1人娘が来たぞ。」

やはり腹ちがいとはいえ兄弟なのかジヘルと同様人を蔑むことが大好きのようだ。

「滅多なことをいうなディスト。すまないなフラン。今日はこっちに来るなんて珍しいな」

この中でも1番大人なジン。次期当主ともなり責任重大な立場にある。

「いえ、貧富の差を気にするのであればご自慢のお父様とやらに言ってはいかがですか?庶民と貴族の差を無くしたいとね。」

言われっぱなしというわけにもいかないので皮肉めいたことをディストに返す。

「これで手打ちにしよう。ディスト、大人気ないぞ」

ジンが2人の仲裁に入る。

「クロイも元気そうだな。」

「お気遣いありがとうございます。」

クロイもジンと挨拶を交わしているとジンの後ろからレイドが出てきた。

「お前、剣を携えているが剣士か。」

まだ10歳のレイドがクロイの双剣をまじまじと見て言う。

クロイはこんな小さい子供に戦闘奴隷だったことを言っていいのか迷っていると横にいたフランが

「いいえ、クロイは私の護衛みたいなものよ。」

「じゃあ、強いんだな!今度相手してくれよ!」

じゃあ、の使い方間違ってないかなっとフランは思いながらクロイの方を見る

「私でよければ喜んで」

社交辞令というものかどうかわからないレイドは大喜びした。

「よっしゃ~、兄ちゃんよりも強くなるぞ~」

レイドの兄は自由奔放に家を出て修行の旅に出たとか。次期当主としてあまり自覚がないようだった。

ディストが拗ねている間ジン、レイドはクロイと話していた。
ジンとクロイは歳も近いせいかとても仲が良かった。
その間にフランは修繕を頼んでいた本を係に伝えていた。そして、持ってきてもらった本を早速開けて歴代三賢者のなかでも1番知りたいと思った名前を探した。
探すのに夢中になっていたせいか後ろに影ができたことに気づくことができなかった。

「おや、蒼党の小娘が歴代三賢者の本を読んでいるとは滑稽だな。」

子供が子供なら親も親だなと思いながら後ろを向く。
ディストがお父様と近くに行く。

「お父様、調べ物は終わったのですか」

「ああ、帰るぞ」

「はい」

「して、蒼党の小娘に問う」

目の前のディストの父、現オーク当主フィストが聞いてきた。

「三賢者の本を読んでどうする。よく見れば歴代三賢者のなかでも初の女賢者リヴィエラを読んでいるようだが、まさかあの女のように賢者になるつもりか。これ以上偉大なる賢者を汚すな。」

「お言葉ですがオーク当主様。2つ申し上げます。初女賢者のリヴィエラ様は蒼党にとっても国にとっても偉大なる方です。たとえ3大貴族の方であろうと愚弄するのは許せません。」

「ほぉ、それは失礼した」

謝る気があるのかないのかはっきりしないオークにフランは続けて話す。

「三賢者とは王国のために王に知識を持って支えることだと私は思っております。ならば貴族だけ庶民だと階級で判断するのではなく個人の能力を見て判断するのが妥当だと思います。もちろん、王国を思うならばですが」

「その口ぶり、自分にはその能力があるといっているのか。」

「ええ、あなたの後ろに隠れているディスト様以上にあると自負しております。」

「所詮戯言だ、耳を貸すなディスト
まぁ、そんなことを言えるのも……」

フィストは後ろで今にも殴りかかりそうになっている息子を諌めた

最後の方は聞こえなかったが捨て台詞を吐いてオーク当主達は立ち去った。

「お嬢様」

「何よ、怒られても謝らないからね」

「いえ、亡き奥様が聞いたらさぞおよろこびになるでしょう。」

「そうね」

2人は歴代三賢者の本を読み終わったあとジン達に別れを告げ蒼党の書庫に持ち帰って帰宅した。

そして、夜。
誰もが1日の疲れを取るため寝静まったなか事件は起きた。
ウィスタリア邸に火が放たれたのであった。
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