魔王と配下の英雄譚(修正版)

るちぇ。

文字の大きさ
12 / 44
第一章 英雄の序曲

第12話「配下たちの暴走5」

しおりを挟む
 カルマ、アザレア、フェンリスの3人はユウたちが出発するより少し早く、オラクル・ラビリンスから出ていた。余りにも近付き過ぎると感付かれるため、認知不可能な距離を置いて魔法で監視している。。

「魔王様が一歩踏み出された。カルマ、やってくれるかい?」
「いくのじゃ、ファントム・シーカー」

 カルマが放った5体の偵察兵が駆け出して行く。ユウの使役するものとは違い、最初からオプションとして五感では捉えられない迷彩能力、更に魔力探知キャンセラーが備わっている。

「いやはや、本当に君は素晴らしいねぇ。多芸かつそのどれもが高いレベルでまとまっている。なぜこちら側にいるのか理解に苦しむところだ」

 アザレアの呟きにカルマは苦々しげな顔をした。諸々の能力を考慮すれば護衛は自身の方が適任。散々に言われて疲弊しきっている。

「……言うでない。それでもワシはウロボロスを信頼しておる」

 そう言いながらも乗せられて監視役を任されている訳だが、流石にアザレアもそこまでは言わないでいた。

「……これは、まさか! アザレア、マズイのじゃ。魔王様に感付かれたようじゃぞ!」

 カルマのファントム・シーカー自体は見付かっていなかったが、召喚魔法の発動が感知されたのだ。アザレア、カルマの想像を遥かに超えたユウの認識領域の広さに2人はただただ恐れを抱いた。

「流石は魔王様……まさか出鼻から挫かれるとはね。フェンリス君、やれるかい?」

 振られたフェンリスは元気良く頷き、駆け出した。

「ごめんなさい、魔王様! 狩らせて貰いますよ!」

 フェンリスは直ちにファントム・シーカーを目視、姿を見られる前に瞬殺していく。その速さは神速の域で、防犯カメラでも1コマ姿が写っていれば幸運だろう。

「ふぅ、これで……って、あれ?」

 平原にいたはずなのに、フェンリスは見知らぬ小屋に入っていた。カルマ、アザレアもいる。
 ここはアザレアが用意した急ごしらえの指令室だ。見た目はボロ小屋だが、魔法対策が万全に施されており、例えユウであっても容易に発見、破壊といったことができない。

「お疲れ様、フェンリス君。それにしても、魔王様の御力をいささか過小評価していたのかもしれないね」

 ユウが得意とする空間支配の魔法が次々と発動していくため、カルマのスキルで逃げたのだ。スキル発動が間に合ったのはまさに間一髪。特殊能力、アイテム、スキル、魔法と封じるのがユウの常套手段であるのだが、もしアイテムよりスキルを先に封じられていたら捕まっただろう。

「我が愛しき魔王様はやはり偉大なる御方じゃったのう。しかし、これではもう手出しができぬ」

 放たれたファントム・シーカーは全て補足され、更にデス・グラビティによって身動きが取れなくなっていた。

「まだだ……この程度で諦める訳にはいかないね。そもそも、私たちの目的は魔王様の護衛だ。魔王様が魔法を放った領域はもう問題ないだろうから、その周囲を警戒すれば良いのだよ」
「確かにその通りじゃな。うむ、ではファントム・シーカーたちを再び放つ……ん?」

 カルマの脳に声が響く。その主はウロボロスだった。カルマの顔が見る見る青冷めていく。任せると言ったのにも関わらず手を出してしまい、バツが悪過ぎて合わせる顔が無いのだ。

「どうしたんだい、カルマ?」

 初めはわからずにいたアザレアだったが、おおよそ事態を把握し溜め息を吐いた。

「チェックメイトされたようだね……フェンリス君、一緒に怒られようか」
「え、え? どうして怒られるの?」

 最後まで理解できないフェンリスが涙目になるのも時間の問題である。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...