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第一章 英雄の序曲
第11話「配下たちの暴走4」
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外の光景は今まで見たことが無いほどに自然で溢れていた。草花が咲き誇り、太陽の光を一杯に浴びて、爽やかな風が吹き抜けていく。割りと田舎で暮らしていたつもりだが、ここまで美しい光景は見たことが無い。
「どうかされましたか?」
ウロボロスが首を傾げている。そうだよな、一歩出ただけで立ち止まっているようじゃいけない。
「いや、敵の有無を確認していた」
「申し訳ありません。それは私の役割だというのに」
「いや、気にすることはない」
嘘なんだから。俺はただこの景色を眺めていただけだ。
それにしても、元のゲームとは恐らく別世界なんだろう。こんな長閑な平原は存在しなかったはずだ。
「行くか。最寄りの村まで……ん?」
一歩踏み出すや否や、近くで魔法の反応があった。系統、効果が不明。用意周到に張られた罠かもしれない。
「如何なさいましたか?」
「……この辺りを探ってみるか。召喚、ファントム・シーカー」
黒い人型の影を10体生み出して野に放つ。こいつらが認知した情報は俺の元に集う。さっきの魔法の使い手が見つかれば良し、仮にやられてもその位置を特定できる。残りをそこに向かわせれば視認できるだろう。
「な、何だと……全滅?」
周囲の捜索を開始して数秒、ファントム・シーカーたちが全滅した。姿はおろか、攻撃方法すらわからない。魔法の反応は無かった。単純な身体能力によるものか。
「我が君、お下がり下さい!」
ウロボロスが武器を抜いて前に立ってくれるが、この殲滅力の速さから、死角から一撃貰う可能性は極めて高い。
「早急に対処する! ウロボロスは全周囲警戒を!」
もしかすると最初の魔法で既に手遅れかもしれないが、防御魔法を重ねがけして対応するしかない。最悪の場合はあいつの力を借りなければ。
「エクストラ・アンチアビリティ・フィールド、アイテム・バインド・フィールド、エクストラ・アンチスキル・フィールド、エクストラ・アンチマジック・フィールド、サイレント・フィールド、ムービング・ディテクト・フィールド」
問題なく発動できたようだな。これでこの一帯の者は全てのアビリティ無効、アイテム使用不可、魔法の発動無効、既に発動しているものも含めて魔法の無効化、そして生死によらず動体の位置を把握できるようになった。
「これは……ファントム・シーカーか」
そうして発見したのは、俺が放ったものと同じ情報収集用のトークンであった。ここまでやってようやく補足したのだから何らかのアビリティが付与されていたのだろう。しかもそれが5体。並みの魔法使いではないな。だが、ファントム・シーカーの使役者はそう遠くにいられない制限が付く。
「本人は見付からないが、カルマ程の魔法使いでなければそう遠くにはいられない。必ず尻尾を掴むぞ」
考えられる状況としては相手のアビリティ、アイテム、スキル、魔法のいずれかが魔法を防いでいるんだろう。だが、妨害系魔法としては最上位のエクストラ・アンチシリーズが反応していない。
「私が直接捜索に向かいましょうか?」
「いや、その必要はない。むしろこれほど強大な相手に何の情報も無いまま立ち向かうのは無謀だ」
一旦落ち着くとしよう。ここまでの推測はあくまでも俺の常識に照らし合わせたもの。ここは異世界だ。俺の魔法が通じなくても不思議ではない。
「……様子見として、追加で魔法をかけるか。デス・グラビティ」
指定した範囲内のGを増やす魔法だ。これを連発してエクストラ・アンチシリーズで囲った全域にかける。
「さぁ、10Gの世界で動いてみろ」
10キロの物が100キロになる領域だ。木々がへし折れ、小動物は自身の重さに押し潰される。当然、敵のファントム・シーカーも例外ではない。もう身動きが取れないだろう。
「ルーツ・ディテクト」
これは魔法の使役者を読み取る魔法だ。対象はファントム・シーカー。いかに相手が強くても一切の付与能力が無効化されているはず。確実に使役者が判別するだろう。
「……こいつは」
判別した名前を見て一気に力が抜け、そして変な笑いが出た。そうだよな。こんな高度な争いが、外に出て一歩踏み出しただけで起こってなるものか。
「如何されましたか、我が君?」
「えーと……ひとまず帰るか」
明らかに不審がっているウロボロスに使役者の名前を見せると失笑されたのだった。
「どうかされましたか?」
ウロボロスが首を傾げている。そうだよな、一歩出ただけで立ち止まっているようじゃいけない。
「いや、敵の有無を確認していた」
「申し訳ありません。それは私の役割だというのに」
「いや、気にすることはない」
嘘なんだから。俺はただこの景色を眺めていただけだ。
それにしても、元のゲームとは恐らく別世界なんだろう。こんな長閑な平原は存在しなかったはずだ。
「行くか。最寄りの村まで……ん?」
一歩踏み出すや否や、近くで魔法の反応があった。系統、効果が不明。用意周到に張られた罠かもしれない。
「如何なさいましたか?」
「……この辺りを探ってみるか。召喚、ファントム・シーカー」
黒い人型の影を10体生み出して野に放つ。こいつらが認知した情報は俺の元に集う。さっきの魔法の使い手が見つかれば良し、仮にやられてもその位置を特定できる。残りをそこに向かわせれば視認できるだろう。
「な、何だと……全滅?」
周囲の捜索を開始して数秒、ファントム・シーカーたちが全滅した。姿はおろか、攻撃方法すらわからない。魔法の反応は無かった。単純な身体能力によるものか。
「我が君、お下がり下さい!」
ウロボロスが武器を抜いて前に立ってくれるが、この殲滅力の速さから、死角から一撃貰う可能性は極めて高い。
「早急に対処する! ウロボロスは全周囲警戒を!」
もしかすると最初の魔法で既に手遅れかもしれないが、防御魔法を重ねがけして対応するしかない。最悪の場合はあいつの力を借りなければ。
「エクストラ・アンチアビリティ・フィールド、アイテム・バインド・フィールド、エクストラ・アンチスキル・フィールド、エクストラ・アンチマジック・フィールド、サイレント・フィールド、ムービング・ディテクト・フィールド」
問題なく発動できたようだな。これでこの一帯の者は全てのアビリティ無効、アイテム使用不可、魔法の発動無効、既に発動しているものも含めて魔法の無効化、そして生死によらず動体の位置を把握できるようになった。
「これは……ファントム・シーカーか」
そうして発見したのは、俺が放ったものと同じ情報収集用のトークンであった。ここまでやってようやく補足したのだから何らかのアビリティが付与されていたのだろう。しかもそれが5体。並みの魔法使いではないな。だが、ファントム・シーカーの使役者はそう遠くにいられない制限が付く。
「本人は見付からないが、カルマ程の魔法使いでなければそう遠くにはいられない。必ず尻尾を掴むぞ」
考えられる状況としては相手のアビリティ、アイテム、スキル、魔法のいずれかが魔法を防いでいるんだろう。だが、妨害系魔法としては最上位のエクストラ・アンチシリーズが反応していない。
「私が直接捜索に向かいましょうか?」
「いや、その必要はない。むしろこれほど強大な相手に何の情報も無いまま立ち向かうのは無謀だ」
一旦落ち着くとしよう。ここまでの推測はあくまでも俺の常識に照らし合わせたもの。ここは異世界だ。俺の魔法が通じなくても不思議ではない。
「……様子見として、追加で魔法をかけるか。デス・グラビティ」
指定した範囲内のGを増やす魔法だ。これを連発してエクストラ・アンチシリーズで囲った全域にかける。
「さぁ、10Gの世界で動いてみろ」
10キロの物が100キロになる領域だ。木々がへし折れ、小動物は自身の重さに押し潰される。当然、敵のファントム・シーカーも例外ではない。もう身動きが取れないだろう。
「ルーツ・ディテクト」
これは魔法の使役者を読み取る魔法だ。対象はファントム・シーカー。いかに相手が強くても一切の付与能力が無効化されているはず。確実に使役者が判別するだろう。
「……こいつは」
判別した名前を見て一気に力が抜け、そして変な笑いが出た。そうだよな。こんな高度な争いが、外に出て一歩踏み出しただけで起こってなるものか。
「如何されましたか、我が君?」
「えーと……ひとまず帰るか」
明らかに不審がっているウロボロスに使役者の名前を見せると失笑されたのだった。
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