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第一章 英雄の序曲
第13話「配下たちの暴走6」
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俺が愚かだったのかもしれない。設定しておきながら、配下たちの忠誠心は常軌を逸していることに気が付かなかったのだから。
「……何て言ったらいいのか」
ひとまず玉座の間に集めたのだが、カルマとアザレアの申し開きを聞いて頭痛がした。俺の身が一番と言って聞かないのである。もっとも、カルマは口車に乗せられただけで主犯はアザレアのようだが。
「ご、ごめんなさい……魔王様」
泣きじゃくるフェンリスは完全にいいように操られていたようだ。俺を守ると言われては拒否や疑うといった選択肢が無かったのだろう。
「あー……フェンリスは下がってくれ。もう怒っていないから。神無月、適当に人選して慰めてやってくれ」
「畏まりました。如月に任せます」
フェンリスを見送ってから、未だに青い顔をしているカルマを見る。俺やウロボロスと目を合わせようとしない。相当後ろめたいのだろう。
「我が君……その、お願いしたいことが御座います」
促すと、ウロボロスは悲しげな目をカルマに向けつつ言葉を続ける。
「我が君の護衛役は彼女でした。それを奪ったことが今回の発端なのです。処罰すべきは私に他なりません」
「そんな……! 待って頂きたいのじゃ、魔王様。此度はワシが全て悪い。ウロボロスは忠実に任務を遂行しておる。罰すべきはワシじゃ!」
「口を慎みなさい、カルマ!」
「それは主の方じゃ、ウロボロス!」
どうして喧嘩になるんだよ。2人がこんなに仲が良いのは嬉しいんだが、困ったことになったな。
「うーん……そもそもの主犯が一番悪いんだが」
申し訳ないが本当はアザレアに悪役を任せたい。実際、主犯だった訳だし。その後、俺が全てを許せば問題が解決しないか、なんて考えた訳だが。
「返す言葉もありません」
当人は完全に反省モードだから、これ以上追い打ちをかけるのも気が引ける。しかし落とし所が無いと解決しなさそうな空気だ。それに何も問題を起こさなかったムラクモ、神無月たちも面白くないだろうし。
困り果てていると、ムラクモが挙手した。
「魔王様、よろしいでしょうか。差出がましいようで恐縮ですが、3人とも御身を思い暴走しております。何卒、その気持ちと汲んで頂きたく思います。神無月も同意見だろう?」
神無月も頷く。2人がそう思うなら全くの不問としてしまっても良いか。色々と考えているうちに突然、名案を思い付いた。
こんなに互いを思い合える配下たちだ。その信頼関係を再確認して貰いつつ罰を与える方法は、
「俺はウロボロスと近くの村に接触する。アザレアが取り決めた人員配置で構わない。万が一の時は全力でサポートしてくれ」
きちんと許可を出した上で、もう一度やり直す。これしかないだろう。
「ただし、誰一人として任務の失敗は許さない。俺のサポートは当然のこと、このダンジョンの防衛も確実に遂行して貰う。お前たちにできるか?」
「我が君……至らぬ私共をそこまで信頼して下さるのですか。ご命令に背く不敬者共を……何と寛大な御方なのでしょう」
俺的には埃以下の微細な不安が残る程度だが、配下たちにとって、これは大きな意味があるだろう。
「名誉挽回の機会を与えて頂き感謝の言葉も御座いません。我らオラクル・ナイツ、ご命令を確実に遂行し、汚名を払拭させて頂く所存です」
フェンリスはいないが、配下たちは皆同じ気持ちになってくれたらしい。後は何も起こらないことを祈るだけだ。
「よし……それじゃあ、明日にでも再出発と行こうか。全員、頼むぞ」
俺もあの空間に他の魔法の痕跡が無かったか確認しておかないとな。精査となると、今日は徹夜になるかもな。
「……何て言ったらいいのか」
ひとまず玉座の間に集めたのだが、カルマとアザレアの申し開きを聞いて頭痛がした。俺の身が一番と言って聞かないのである。もっとも、カルマは口車に乗せられただけで主犯はアザレアのようだが。
「ご、ごめんなさい……魔王様」
泣きじゃくるフェンリスは完全にいいように操られていたようだ。俺を守ると言われては拒否や疑うといった選択肢が無かったのだろう。
「あー……フェンリスは下がってくれ。もう怒っていないから。神無月、適当に人選して慰めてやってくれ」
「畏まりました。如月に任せます」
フェンリスを見送ってから、未だに青い顔をしているカルマを見る。俺やウロボロスと目を合わせようとしない。相当後ろめたいのだろう。
「我が君……その、お願いしたいことが御座います」
促すと、ウロボロスは悲しげな目をカルマに向けつつ言葉を続ける。
「我が君の護衛役は彼女でした。それを奪ったことが今回の発端なのです。処罰すべきは私に他なりません」
「そんな……! 待って頂きたいのじゃ、魔王様。此度はワシが全て悪い。ウロボロスは忠実に任務を遂行しておる。罰すべきはワシじゃ!」
「口を慎みなさい、カルマ!」
「それは主の方じゃ、ウロボロス!」
どうして喧嘩になるんだよ。2人がこんなに仲が良いのは嬉しいんだが、困ったことになったな。
「うーん……そもそもの主犯が一番悪いんだが」
申し訳ないが本当はアザレアに悪役を任せたい。実際、主犯だった訳だし。その後、俺が全てを許せば問題が解決しないか、なんて考えた訳だが。
「返す言葉もありません」
当人は完全に反省モードだから、これ以上追い打ちをかけるのも気が引ける。しかし落とし所が無いと解決しなさそうな空気だ。それに何も問題を起こさなかったムラクモ、神無月たちも面白くないだろうし。
困り果てていると、ムラクモが挙手した。
「魔王様、よろしいでしょうか。差出がましいようで恐縮ですが、3人とも御身を思い暴走しております。何卒、その気持ちと汲んで頂きたく思います。神無月も同意見だろう?」
神無月も頷く。2人がそう思うなら全くの不問としてしまっても良いか。色々と考えているうちに突然、名案を思い付いた。
こんなに互いを思い合える配下たちだ。その信頼関係を再確認して貰いつつ罰を与える方法は、
「俺はウロボロスと近くの村に接触する。アザレアが取り決めた人員配置で構わない。万が一の時は全力でサポートしてくれ」
きちんと許可を出した上で、もう一度やり直す。これしかないだろう。
「ただし、誰一人として任務の失敗は許さない。俺のサポートは当然のこと、このダンジョンの防衛も確実に遂行して貰う。お前たちにできるか?」
「我が君……至らぬ私共をそこまで信頼して下さるのですか。ご命令に背く不敬者共を……何と寛大な御方なのでしょう」
俺的には埃以下の微細な不安が残る程度だが、配下たちにとって、これは大きな意味があるだろう。
「名誉挽回の機会を与えて頂き感謝の言葉も御座いません。我らオラクル・ナイツ、ご命令を確実に遂行し、汚名を払拭させて頂く所存です」
フェンリスはいないが、配下たちは皆同じ気持ちになってくれたらしい。後は何も起こらないことを祈るだけだ。
「よし……それじゃあ、明日にでも再出発と行こうか。全員、頼むぞ」
俺もあの空間に他の魔法の痕跡が無かったか確認しておかないとな。精査となると、今日は徹夜になるかもな。
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