魔王と配下の英雄譚(修正版)

るちぇ。

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第一章 英雄の序曲

第20話「魔王の代償7」

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 村人たちは明らかにこちらを警戒しつつも、少女の所へ走り寄って行く。

「みんな……良かった! 生きているんだ。生きているんだね! 良かった……本当に良かった!」

 俺たちが助けたというのに、少女を庇うようにして壁を作られる。こうなったら、その子との関係性を知って貰うしかないか。

「あー……その、何だ。俺はそこの少女に依頼されたんだよ。ウロボロスも武器を納めろ。無用な警戒心を持たせるな」
「しかし、それでは御身に何かあった時に対応できません。蚊に刺される程度なのでしょうが、先ほどの矢の一件もあります」

 それを言われると痛いけど、あの時の俺はどうかしていた。あれは一時の気の迷い。色々と思うことはあるものの、配下たちを残して逝く訳にはいかない。それだけは間違いないから。

「さっきは助けられたよ。でもな、あの兵士たちははっきり言って雑魚だ。どこにどう刺さろうと大した影響は無かった」
「……畏まりました」

 少しだけ寂しそうに、ウロボロスはグングニルをアイテムストレージに移してくれた。

「……まぁ、でも。お前には大切なことを教えられた。ありがとう。これからも俺の力になって欲しい」
「我が君……! はい、勿論です! このウロボロス、御身の為ならば如何なる苦難も必ずや乗り越えましょう!」

 傍からすれば異様な光景なんだろうな。でも、今の俺にとってはとても嬉しいことだ。

「……さて、話を戻そうか。ちゃんと俺たちのことを説明してくれよ?」

 少女を見ると、少しばかり不安げではあるものの、確かに頷いてくれた。こちらの意図を汲み取って貰えるらしい。

「う、うん。えっと、皆。この人たちは私たちを本当に助けてくれたんだよ。ちょっとだけおかしいところはあるけど、とても頼りになる人たちなんだから」

 変と言われても否定できないだけに、咳払いして抵抗してみる。

「あ、ごめん。紹介がまだだったね。えっと……何ていう名前なの?」

 随分と曲解されたけど、ようやく少しだけ前に進めたか。

「初めまして、俺はユウ。海を渡って来た者だ」

 もうそういう設定にしてしまおう。その方が今後、情報を聞き出す時に色々と都合が良い。

「私はウロボロス。我が君に絶対の忠誠を誓ったオラクル・ナイツの団長です」

 随分と詳細かつ恐らく理解されない説明をありがとう。ウロボロスは頭が良い設定にしたはずなんだけどな。俺のこととなると、少し盲目的になり過ぎだ。

「私はアデル。この村の村長代理をしているの。今回は本当にありがとう。2人がいなかったら、私たちはきっと……」

 そう思うならもっと感謝してくれてもいいだろうに。少し意地悪してやるか。

「そうだ、ひとつだけ忘れていた。確かあの時、アデルはこう言ったな。何でもするから助けて欲しいと」
「そ……そうだったね。それで、何を要求するのかな?」
「俺たちはこの大陸にやって来たばかりだ。何でもいい。ここの情報が欲しい。あと衣食住を少しでいいから保証してくれ。それが対価だ」
「な……なんだ、そんなことか」

 アデルだけでなく、村人たちも胸を撫で下ろしたようだ。一気に緊張の糸が解れただろう。張り詰めた気を一度でも緩めてくれれば話しやすくなるに違いない。

「そのくらいお安い御用だよ。立ち話もなんだから、私の家に来て」

 さて、これで少しでも打ち解けられたらいいんだが。それは話してみて判断するしかないな。
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