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第一章 英雄の序曲
第25話「閑話休題:真の忠誠を示す者3」
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カルマの放つコウモリの眷属はことごとく脳天に風穴が空き、墜落していく。
「中々良い太刀さばきじゃの。これならばどうじゃ!」
「カルマ様の暴走を止め、魔王様への真の忠誠を示すと致しましょう」
コウモリたちが四方八方へ飛び立つ。神無月の武器、エストックは前方の敵には強いが全方位となると分が悪い。数で勝るカルマの方が圧倒的に有利なはずだった。
神無月によって投げられたエストックで1体が串刺しに、両手で2体が握り潰される。更に特攻をかけた1体は蹴り飛ばされ、続いた2体は潰された眷属を投げつけられて吹き飛ぶ。
「やるのう、しかし……!」
そう大きく動いた直後では、頭を狙うコウモリまでは処理できない。そのカルマの判断はまともな相手なら正しい。
「無駄ですよ。私のエストックは単なる剣ではありませんので」
まさにコウモリが頭部に噛みつこうとした瞬間、飛んで来たエストックに貫かれ吹き飛ぶ。
カルマは失念していた。神無月のエストックはその手を離れようとも、意のままに操れるのだと。
「……糸、か。なるほど、お主の得意技であったの」
「えぇ、これこそ魔王様から頂戴した私の神具、エア・ライン」
神無月は跳躍して飛び上がると空中で着地。カルマでは背伸びしても届かない高い位置を取る。
「糸を足場とするか。腕を上げたのう、神無月」
「私の戦場は空中。360度方向から切り刻むことをお約束致します」
神無月の一礼と同時に、カルマが再度出した眷属たちは小間切れになって散っていく。
「……何と、これほどとはの」
そして背中に衝撃。胸の辺りからエストックの刃先が飛び出していた。更にカルマの両手両足に浅い切り傷が無数に刻まれる。僅かにでも動いたら最後、カルマの肉体は切り刻まれコウモリの後を追うこととなる。
「勝敗は決しました。さぁ、その性欲超増強剤を渡して下さい」
「ふふ、嫌じゃ」
カルマは強気に一歩前へ踏み出す。だが無傷。何事も無かったかのようにエア・ラインを無視して歩く。
「そんな……! エア・ラインは確かに……!?」
「それが主とワシの差ということじゃの。特別に教えてやろう。スキル名、エンドレス・ワルツ。肉体を影へ同化させる技じゃ。ま、ありていに言えば低コストかつ高速化、更に連続使用可能のワープじゃの。ほれ、こうして手に持っている物も一緒に運べる」
自慢げにカルマは性欲増強剤を掲げつつ、エストックを投げ返す。傷はもう塞がっていた。誰がどう見ても神無月の完全敗北。だが、今まさに決着が付くその瞬間。
「入浴中の魔王様がウロボロス様に襲われました!」
睦月の報告で戦況が動く。
「なんじゃと!? おのれウロボロス……! ここはお預けじゃ! 命拾いしたのう、神無月!」
「いいえ、私の勝ちです」
ガラスが砕け散る音がして、恐る恐るカルマが手元に目を落とすと、ビーカーはエストックで砕かれていた。勿論、中身は零れ落ちている。
「そんな……ワシが……神無月に出し抜かれるじゃと!? 魔王様のお世継ぎが!! 逞しい御体を一人占めする計画が!!」
カルマの悲痛な叫びが響き渡り、激闘は終わったのだった。
「神無月様、これは?」
「睦月、知らない方が幸せなこともあります。例えばこれがそうなのですよ。さ、持ち場に戻りなさい」
一人取り残されたカルマは力なく笑いながら立ち上がる。
「……こんなものが無くとも実力で魔王様の心を射止める。待っておるのじゃ、我が愛しき魔王様! じゃが、まずはウロボロス! 首を洗って待っているのじゃ!」
そして、暴走機関車のように最短ルートを突っ切って行った。魔法やスキルも使わずに。後で修復作業に相当の時間がかかったのは言うまでもない。
「中々良い太刀さばきじゃの。これならばどうじゃ!」
「カルマ様の暴走を止め、魔王様への真の忠誠を示すと致しましょう」
コウモリたちが四方八方へ飛び立つ。神無月の武器、エストックは前方の敵には強いが全方位となると分が悪い。数で勝るカルマの方が圧倒的に有利なはずだった。
神無月によって投げられたエストックで1体が串刺しに、両手で2体が握り潰される。更に特攻をかけた1体は蹴り飛ばされ、続いた2体は潰された眷属を投げつけられて吹き飛ぶ。
「やるのう、しかし……!」
そう大きく動いた直後では、頭を狙うコウモリまでは処理できない。そのカルマの判断はまともな相手なら正しい。
「無駄ですよ。私のエストックは単なる剣ではありませんので」
まさにコウモリが頭部に噛みつこうとした瞬間、飛んで来たエストックに貫かれ吹き飛ぶ。
カルマは失念していた。神無月のエストックはその手を離れようとも、意のままに操れるのだと。
「……糸、か。なるほど、お主の得意技であったの」
「えぇ、これこそ魔王様から頂戴した私の神具、エア・ライン」
神無月は跳躍して飛び上がると空中で着地。カルマでは背伸びしても届かない高い位置を取る。
「糸を足場とするか。腕を上げたのう、神無月」
「私の戦場は空中。360度方向から切り刻むことをお約束致します」
神無月の一礼と同時に、カルマが再度出した眷属たちは小間切れになって散っていく。
「……何と、これほどとはの」
そして背中に衝撃。胸の辺りからエストックの刃先が飛び出していた。更にカルマの両手両足に浅い切り傷が無数に刻まれる。僅かにでも動いたら最後、カルマの肉体は切り刻まれコウモリの後を追うこととなる。
「勝敗は決しました。さぁ、その性欲超増強剤を渡して下さい」
「ふふ、嫌じゃ」
カルマは強気に一歩前へ踏み出す。だが無傷。何事も無かったかのようにエア・ラインを無視して歩く。
「そんな……! エア・ラインは確かに……!?」
「それが主とワシの差ということじゃの。特別に教えてやろう。スキル名、エンドレス・ワルツ。肉体を影へ同化させる技じゃ。ま、ありていに言えば低コストかつ高速化、更に連続使用可能のワープじゃの。ほれ、こうして手に持っている物も一緒に運べる」
自慢げにカルマは性欲増強剤を掲げつつ、エストックを投げ返す。傷はもう塞がっていた。誰がどう見ても神無月の完全敗北。だが、今まさに決着が付くその瞬間。
「入浴中の魔王様がウロボロス様に襲われました!」
睦月の報告で戦況が動く。
「なんじゃと!? おのれウロボロス……! ここはお預けじゃ! 命拾いしたのう、神無月!」
「いいえ、私の勝ちです」
ガラスが砕け散る音がして、恐る恐るカルマが手元に目を落とすと、ビーカーはエストックで砕かれていた。勿論、中身は零れ落ちている。
「そんな……ワシが……神無月に出し抜かれるじゃと!? 魔王様のお世継ぎが!! 逞しい御体を一人占めする計画が!!」
カルマの悲痛な叫びが響き渡り、激闘は終わったのだった。
「神無月様、これは?」
「睦月、知らない方が幸せなこともあります。例えばこれがそうなのですよ。さ、持ち場に戻りなさい」
一人取り残されたカルマは力なく笑いながら立ち上がる。
「……こんなものが無くとも実力で魔王様の心を射止める。待っておるのじゃ、我が愛しき魔王様! じゃが、まずはウロボロス! 首を洗って待っているのじゃ!」
そして、暴走機関車のように最短ルートを突っ切って行った。魔法やスキルも使わずに。後で修復作業に相当の時間がかかったのは言うまでもない。
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