魔王と配下の英雄譚(修正版)

るちぇ。

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第一章 英雄の序曲

第26話「魔王の心、人の心1」

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 20時、オラクル・ナイツが玉座の間に集まった。皆、アデルを不審な目で見ている。一方で、アデルもまた驚き目を見開いて全員を見ている。互いに思うところは多いだろうからな。

「……ここは魔界?」
「そう見えるだろうけど、皆良い奴だよ」

 アデルには未知の世界だろう。俺だって、現実で配下たちを見たら世紀末だと思うよ。能力を知っていればなおのこと。

「さて、急な招集に応じてくれてありがとう」
「いえ、我らがオラクル・ナイツ。我が君の求めに応えることこそ、至上の喜びにございます」

 ウロボロスがひざまずくと、全員がそれに続いて頭を垂れた。ただ1人、アデルだけが立ち尽くしている。
 それを見て不敬と思ったのか、神無月が声を荒げる。

「おい、そこの人間! お前も同じようにしないか!」
「え、何で私まで!?」
「アデルは現地協力員だ。その必要はないぞ」

 神無月はウロボロスよりも盲目的ではないらしい。何か言いたげに口をもごもご動かすも、それ以上強要することなく恐らく出かけていた言葉を飲み込んでくれた。

「畏まりました。しかし人間、変な真似をしてみなさい。確実に殺しますよ」

 ウロボロスもそうだが、神無月はそれ以上に冷酷だ。怪しいと思ったら即殺害してしまう可能性がある。一応、こっそりと防御魔法を張っておくか。これが管理職が抱える板挟み問題なのかもしれない。

「俺から報告することがある。ここら一帯を支配する国、その社会構造、そして敵の戦闘力についてだ」

帝国のシステムも大切だが、それ以上に、序列7位の武器で兵士を倒したというのは皆を安堵させたようだ。おもちゃで倒せる敵ならば万が一の可能性は低い。

「敵はお遊戯レベルと言っていい訳だが、あれが全てとは言い切れない。そこで、アデルに情報を提供して貰いたい」
「う、うん。えっと、まずは神隠しの事件についてなんだけど……」

 アデルの話を聞いて、皆おおよそ事態を把握できたようだ。あのフェンリスですら頷いている。説明上手だな。さて、全員が理解してくれたなら話は早い。

「そういう訳で、未知の敵が潜む可能性は極めて高い。しかも、ドミニオンズには存在しない魔法を使役する何者かが存在する。決して慢心せず、細心の注意を払って欲しい」

これは仮定の話だが、俺がドミニオンズで鍛えたアカウントごとこの世界に召喚された以上、他のプレイヤーがいても不思議ではない。同じゲームなら負けはしないが、別のゲームから来ている場合、パワーバランスがはっきりするまでは正面衝突は避けたいところだ。

「さて、まずはあの村一帯とその族長の家の調査を行う。尻尾を掴んだらまずは報告を。特徴さえ知ることができれば、後から探す方法はいくらでもある」
「委細、承知致しました。ところで……その、お尋ねしたいことが御座います。今後、我が君はどうされるおつもりでしょうか?」
「今後、とは?」
「単刀直入に申し上げます。我が君はこの世界に介入されますか? それとも静観なさいますか?」

そこが問題なんだよな。介入というと物騒だが帝国の兵士を斬った以上、何かとこの世界の種族と争うことになるだろう。そうなった時、基本方針を決めておかなければ動き辛い。だが、まだ判断するには情報が圧倒的に足りないと言っていい。もう賽を投げてしまったから悠長なことも言っていられないけど。
 思いを馳せる。仮にこの世界と争うことになれば、配下たちは大いに活躍するだろう。それはモニター越しで眺めるのとはまた違う光景に違いない。その一方で殺される可能性も当然ある。さて、どうしたものか。
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