魔王と配下の英雄譚(修正版)

るちぇ。

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第一章 英雄の序曲

第41話「血塗られた魔導兵器2」

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 族長の家に通ずる道にそびえ立つ要所が見えて来た。情報通り堀で囲われており、石垣と瓦屋根の白壁の建物がそびえ立っている。まるで日本の城のようだ。

「魔王様、どうするのじゃ? 眷属を放つかのう?」
「いや、その必要はない。フェンリス、行ってくれ」
「え、いいんですか?」
「あぁ、派手にかき乱して欲しい。相手の戦力も見ておきたいからな。ただし、強敵が出て来たら逃げるんだ」

 無いとは思うが、万が一ここに魔導兵器なるものの研究施設があるならば、防衛用の戦力を保有していると考えた方が良い。無鉄砲に突っ込まれると心配だから、釘を刺しておかないと。

「わかりました! 行って来ます!」
「あと、できれば殺し過ぎないように……」

 言い終わる前に、フェンリスは堀と石垣を乗り越えて建物の中に飛び込んでいく。その直後、次々と悲鳴が響き渡った。

「犬ころ……後で覚えておくのじゃぞ。魔王様の言を蔑ろにしおって……!」
「あー……まぁ、いいか。俺たちも行くぞ。付いて来い、カルマ」

 悪魔のような笑みを浮かべられては、恐くて失禁してしまうかもしれない。さっさと中に入って適当なところでフェンリスを叱っておこう。そうすれば最悪の事態は避けられるはずだ。
 堂々と正門から入ると、警備兵と思われる兵士たちが出て来る。剣は鉄製だけど、防具は革製の軽装備だ。一応、戦闘もできるといった格好だろう。

「カルマ、片付けてくれ」
「了解じゃ。さぁ、お前たち。行って来るのじゃ!」

 カルマの影からコウモリたちが出現し、兵士たちの首を集中攻撃して食い千切っていく。吸血鬼という設定だからか、カルマは血の雨を浴びて満足そうに笑っている。

「あー……その、お前も殺し過ぎるなよ? お前にとってはゲームでも、あいつらにとっては人生なんだからな?」
「そう言われてものう……ワシはこうして殺すスキルばかりじゃ。コウモリたちは食い荒らす。むしろ中途半端に残す方がよっぽど惨いと思うがの」

 その状態をイメージして吐き気を催した。俺の配下って、なんて惨いの。真面目に設定を変えたくなってきた。

「……なら、歯向かう奴だけ始末してくれ。逃げる兵士は見逃してくれよ?」
「それくらいならば、お安い御用じゃ」

 それでも、職務に忠実な奴が多いようだ。目の前で同僚が血祭りに上げられるのを見てもなお、向かって来る兵士が後を絶たない。そんなに来なくていい、いや、むしろ来ないで欲しいのに。

「ふむ……懲りぬ奴らじゃな。どれ、もっと盛大にやってやろうかの」

コウモリたちが首だけでなく、体中至るところを噛みちぎり始める。どこも大動脈が走っているのだろう。カルマの通り道は真っ赤に染まり、まるで赤いカーペットが敷かれたみたいになっていく。

「……こんな所で生々しいレッドカーペットを歩くことになるなんて」
「血染めの絨たんはお気に召したかのう?」

 どの角度から見ても気に入る要素が一切無い。しかし、カルマの輝くような笑顔を見ると素直にそう伝えるのは余りに申し訳が無い。

「あー……その、なんだ。人間が減ると国力が落ちてしまうんだぞ。殺し過ぎないでくれ」
「それもそうじゃのう……。ワシとしたことが、少々熱くなってしまったようじゃ」

 残念そうな呟きだ。敵は排除したいというのは、配下なら当然の欲求。むしろそれを変に縛り付けるのもまたストレスか。

「でも、本当に助かっている。いつもありがとう」

 惨殺を肯定する訳にはいかない。ならせめて、感謝の気持ちを伝えよう。お前たちがいなければ、きっと訳もわからないまま野垂れ死んでいたから。

「何を言っておるのじゃ、魔王様。ワシはこうしてお傍にいるだけで幸せじゃ。そのような勿体ない言葉は必要ないのじゃぞ」

 良かった、カルマも喜んでくれたみたいだ。惜しむらくは、ここが惨殺現場でなければ最高のシチュエーションだったんだけど。
さて、沸いて来るのは雑魚ばかり。本当にここには魔導兵器の研究所があるのだろうか。それにしては抵抗が余りにも弱い。

「フェンリスの方は……楽しそうだな」

 かなり派手に暴れ回っているらしい。位置座標がピンポン球を思い切り放り投げてバウンドしているみたいに、縦横無尽に動き回っている。
 しかし、それも束の間。座標が突然止まって動かなくなる。戦闘ではない。フェンリスは活発に動いて戦うスタイルなのだから。会話か、それとも。

「ふむ……妙じゃの。ここの雑魚共相手に手こずるとは思えぬが……。眷属を放って様子を見に行かせようかの?」
「いや、直接見に行った方が速い。行くぞ!」

 いても立ってもいられず、俺は走り出した。
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