異世界列車囚人輸送

先川(あくと)

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5章 運ばれゆく罪人

7、悪いが、今夜中にベルナードまで着くことは不可能になった

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     ◇

 囚人用車両には討伐隊のメンバーが全員そろっていた。
 とはいえ先の戦闘で数名が命を落とし、数名は馬から落ちて行方知れずとなった。
 シノは改めて頭数を数えてみた。

 ジョー、デュアメル、レナ、シノのほかに、のっぽの兵士、ひざをひきずった兵士、それからトウセキがよだれくりと陰で呼ぶ、唇を情けなく半開きにしては「シィーッ、シィーッ」とよだれを啜る兵士。
それから賞金稼ぎのぐらぐら・ウィリー。

「それで、どうでしたか?」
「悪いが、今夜中にベルナードまで着くことは不可能になった」
「そっか……」
 ジョーがため息をついた。
「このまま一晩かけて次の駅につき、次の駅で燃料を補給するそうだ」
 シノは計画に大幅な遅れが出たことにより、一晩をどのように明かすか話し合わなければいけなかった。
「交替で見張りをして、後のものは後ろの車両で眠ることにしよう」
 シノが言った。

「俺はこの車両に残るぜ。あいつらが大人しく寝てくれるようには見えないから」
 デュアメルは檻の中でうごめく四つの影に目をやった。

「デュアメル、隊長の話に従うに」
「そうよ、睡眠も任務のうちだと言っていたのはあなたでしょう」

「ジョー様、お言葉ですがね、俺は眠れるときに眠ることは大事だと言ったんだ。だが、今は眠ってる場合だとは思えないんでね」
 デュアメルは囚人用車両で寝転がるトウセキを睨んだ。トウセキは寝返りをうって、討伐隊のメンバーに向き直ると、憎たらしい笑みを浮かべて手を振った。

「俺は眠らせてもうらぜ、ココナッツちゃん」
 トウセキの挑発をデュアメルは鼻であしらった。

「とはいえ、次の駅につくのは明日の朝だ。そこからベルナードまで五時間。十四時間もある」
「十四時間くらい起きてられますよ、隊長」
「順調に行って十四時間だ。これから何が起こって、どうなるか分からない。寝られるうちに寝ておくべきだろう」
 シノはデュアメルの肩を叩いてつづけた。

「お前が頼りなんだ。万全の状態でいてもらいたい」
「へいへい、どっちにしろ隊長の命令には逆らえないんだ」

「分かってくれて助かるよ。いつまた群盗が襲ってくるか分からない。この速度でしか走れない以上、列車の最後部に二人、歩哨を立たせて、もう二人はここで囚人を監視する。残りの四人は後ろの客車で休息を取り、三時間ごとに交代しよう」

「メンバーはどうします?」

「そうだな。デュアメルはジョーと組んでくれ」
 シノはてきぱきとバディを作っていった。

 ジョーはラッセル侯爵の長女であり、領土防衛代官でもある。万が一のことも考えて、もっとも頼りになるデュアメルと組んでもらうことにする。

「私はのっぽちゃんとだに!!」
 のっぽの兵士とペアになったレナは跳ねるような足取りでのっぽの兵士の隣についた。

 シノは戦力のバランスを考えて、ひざを引きずった兵士と組むことにした。

 最後にぐらぐら・ウィリーとよだれくりの兵士が残り、彼らがペアを組むことになった。

 デュアメルチームとレナチームが歩哨につき、シノチームとウィリーチームが交代で囚人を見張る。
 最初の三時間を、シノと膝を引きずった兵士が看守を務めた。

 そのときには何の問題もなく、このまま静かな夜が続くかに思われた。


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