【完結】体を代償に魔法の才能を得る俺は、無邪気で嫉妬深い妖精卿に執着されている

秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)

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6-4.妖精卿と羽化編4【R-18:背面位】

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「あぅ、あ゛っ、ヴァルネラぁ!  ……っう゛ぁああ!」
「グレイ、シス! んっ、ぐ……!」

 俺の一番奥でヴァルネラが脈打ち、熱いものが注がれて満たされていく。
 体の末端まで魔力も巡り、俺の内側が隙間なく彼で満たされた。

(体が燃えるみたいに熱い。それに抱き込まれてるから、耳元で吐息が聞こえる)

 まだ熱と快楽で体が震えているのに、ヴァルネラは俺を離してくれない。
 それどころか俺の首に顔を寄せて、僅かに腰を揺らしていた。

「……んぅっ、まだするの? 奥で、こっそり動いてるでしょ。あ、あっ!」
「貴方に魔力を馴染ませたくて、擦りつけたくなってしまうんです。嫌ですか?」

 弱い律動を繰り返しながら、まだ欲の消えない目でヴァルネラが見つめてくる。
 けれど俺も既に理性を捨てていて、体はさっきの熱をはまだ追い求めてた。

「ううん。俺、熱くて疲れてるのに、もっと欲しい。ねぇ、くれる?」
「っ、あまり可愛いこと言わないでください。抑えが利かなくなるから」

 誘って来たのはヴァルネラなのに、彼は俺の言葉一つで余裕を失くしてしまう。
 それが愛らしく感じて、彼の腰に足を絡ませて行為の再開を促した。

「激しくてもいいから、まだ抜かないで。俺、ヴァルネラの魔力が欲しい」

 耳元で囁くとヴァルネラは耳を染めた後、なにかを耐えるように歯を食いしばる。
 そして俺の頬を一度だけ撫でて、ゆっくりと体を離した。

「……分かりました。せめてもう少し、楽な体位にしましょうか」
「抜いちゃうの? やだ、寂し、……え、な、なに!?」

 挿入されていたものが抜かれ、俺はヴァルネラを反射で引き留めようとする。
 しかし彼はひっくり返した俺をうつ伏せに寝かせ、腰だけ高く持ち上げさせた。

「日を追うごとに可愛くなっていきますね、貴方。……じゃあ、続けましょうか」
「ん゛あっ、ヴァルネラぁ! あっ、やっ、あっ! う゛ぁああ!」

 今度は後ろから激しく突かれて、俺は獣みたいな声を上げながら悶え狂う。
 髪を振り乱して喘ぎ、力を失った上半身が寝台に沈み込んだ。

「もっと腰を上げてください、グレイシス。私を奥に入れて」
「分かった、頑張るから見てて……! ぁ、んんっ!」

 溺れるような快楽で思考が溶け、俺は自ら尻を割り開いてヴァルネラに差し出す。
 けれどそこまですると思っていなかったのか、背後で息を呑んだ音が聞こえた。

「んぅ、こ、こうするほうが入れやすい……? 俺、分かんないよ……」
「……えぇ、偉いですね。でも絶対に他の人にやってはいけませんよ」

 ヴァルネラが褒めるように背中に唇を落とすと、多幸感に紛れて甘い声が漏れる。
 俺は更に受け入れようと腰を振り、ヴァルネラを深く咥え込もうと努力した。

「俺だって、ちょっとは頑張ってる……。やんっ、そこっ、やだぁ!」
「えぇ、ちゃんと分かってますよ。証拠に、翅が開いてきましたしね」

 そう言って彼が俺の背を撫でると、覚えのないひっかかりがあることに気づいた。
 気がつくと体内の魔力がそこに集束し、燃えるような感覚をもたらす。

「は、ね……? ん、ぁああああ゛っ!」
「落ち着いて、大丈夫ですから」

 混乱に陥った俺が背中に手をまわそうとすると、ヴァルネラがそれを押し留める。
 ――しばらく経つと熱は治まり、半透明の薄翅が生えた俺を大鏡が映し出した。

(本当だ。俺の背中から、小さいけど翅が出てきてる)

 現実味のない光景に釘付けになってると、ヴァルネラに後ろから翅を触れられた。
 そして感極まったように抱き締められ、うなじに口づけを落とされる。

「やっと、ここまで来たんですね。偉いですよ、グレイシス」
「……うん。俺もちょっとだけ、安心した」

 背中で揺れるそれはヴァルネラの悲願であり、俺の願いを叶える兆しでもあった。
 あとはこれを大事に育て、魔法が使えるようになればいい。

「じゃあ今日は、ここで終わりにしましょうか。翅に障ってもいけないですから」

 ヴァルネラは入っていたものを抜いて後始末を始め、俺は優しく横たえられる。
 そして掃除が終わると今度は抱きかかえられ、浴室で丁寧に体を洗われた。

(でも勘違いしちゃいけない。甲斐甲斐しい理由は俺への好意じゃないから)

 彼は洗うことに専念しているように見えて、翅を愛でることに心を奪われている。
 視線は交わらず、俺だけが一方的にヴァルネラを見つめていた。



 気づかぬ間に意識を失い、目を覚ました時にはうつ伏せで寝かされていた。
 部屋にヴァルネラの姿はなく、机には置き手紙が残されている。

(ヴァルネラ、魔物狩りに行ったのか。おかげでゆっくり寝れたけど。……あれ)

 俺が机に置かれた手紙を読んでいると、外から少年の声が聞こえてくる。
 窓を覗くと案の定、見覚えのある小さな影が手を振っていた。

「グレイシス、いるんでしょ! 出て来て!」
「ディーロ、また来たんだ」

 さすがに無視することはできず庭に向かうと、やはり門の外には彼がいた。
 けれど俺と目が合った途端、その瞳は驚きに染まって固まる。

「っ嘘でしょ、そこまで症状が進行しちゃったんだ。グレイシス、翅が生えてる」
「病気みたいに言わないでよ。これは魔法使いになる為の過程なんだから」

 ディーロの視線が俺の翅に釘付けになり、愕然とした表情で立ち尽くしている。
 けれど俺はその視線が気に入らなくて、翅をたたんで背中に隠した。

「はぐらかさないで。グレイシスも分かってるでしょ、自分が異常な状態だって」
「うるさい、なにも言わないで」

 会話は平行線に見えて、実はディーロの方に傾いている。
 でも後戻りなどできず、俺は意地を張るしかない。

「普通の魔法使いは、翅なんか生えてないよ。異常だって、絶対」
「俺は本来魔力適性がないだから、こうでもしないと成果が出ないんだよ」

 耐え切れなくなった俺は庭から立ち去ろうとするが、ディーロがそれを許さない。
 門の柵越しに俺の服の袖を摑んで引き留め、必死に説得を続けてくる。

「ディーロ。心配してくれるのは分かってるけど、もう来ないで。俺、平気だから」
「無理だよ、ずっと一緒にいたんだから。どうせあの時も、殺せやしなかったんだ」

 真っ直ぐに見つめる瞳は心配そうに揺れ、深い親愛の情を滲ませていた。
 俺はとうとう耐えきれなくなり、ディーロの手を振り払って屋敷へと駆け込んだ。

「その翅のことを調べて、また会いに来るから。それまで耐えて、グレイシス!」

 背中に彼の声がぶつかってくるが、俺はずるずると廊下に蹲って耳を塞ぐ。
 誰が正しいのかなんて、本当はとっくに分かっていたから。

(俺のことなんか忘れて、さっさと自由になればいいのに。馬鹿だな、ディーロ)

 運命に別れた夜が異常だっただけで、彼はずっと俺の味方でいてくれた。
 けれどもう正しい道になど戻れず、俺は茨の道を進むしかない。
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