【完結】売られる為に召喚された後天性サキュバスの俺は、魔物嫌いな溺愛調教師と期限付き契約を交わす

秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)

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7.売られる為に召喚された後天性サキュバスの俺は、魔物嫌いな溺愛調教師のせいで情緒不安定に陥る

7-3.売られる為に召喚された後天性サキュバスの俺は、魔物嫌いな溺愛調教師のせいで情緒不安定に陥る

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(面倒くさいこと言っちゃったな、そんな関係性じゃないのに)

一度口に出した言葉は消えてくれず、後悔しても取り戻すことはできない。
案の定八つ当たりを受けたカリタスは、驚いて目を見開いていた。

「……ごめん、やっぱ忘れ「誤解だ、リベラ! あれは穏便に済ませようと、どうにか愛想笑いしてみただけだ! 決して好意があった訳ではない!」」

だが彼は勢い良く反動をつけて起き上がり、必死の形相で否定してくる。
俺は思わず逃げようとするが、覆い被さられて動けなくなってしまった。

「別に、そこまで必死に弁明しなくてもいいよ。俺が勝手に不安になっただけだし」
「感情を隠さないでくれ。心離れされるくらいなら、怒られた方が余程マシだ」

押し倒されて腕を掴まれ、至近距離で瞳の熱を見せつけられる。
けれどそれは、俺の気持ちと同一のものじゃない。

「本当に、怒ってる訳じゃないんだよ。ただ後ろ盾がなくなるのは怖くて」

口では契約を理由にしてるけど、俺の本心はもっと爛れている。
対してカリタスは、純粋に契約者を逃したくないだけなのに。

(最悪だ、試すような言葉を言って主人を不安にさせた。大切にしてくれてるのに)

魔物としてすら役に立てない分、せめて飼いやすい愛玩動物でいたいのに。
いつの間にか俺は、名実共に愚かな生き物と成り下がってしまった。

「頼むから泣かないでくれ、リベラ。不安は当然だ、私の振る舞いが至らなかった」
「カリタスは悪くないってば、もう放っておいてよ……」

滲む視界を強く擦るが、優しく腕を掴まれて止められる。
自分でも面倒な奴だと思うのに、彼は甲斐甲斐しく宥め続けてくれていた。

「放置することはできない。これは主人としての責務ではなく、私個人の欲求だ」

カリタスは眉尻を下げながら僅かに口角を上げ、複雑な表情を覗かせていた。
怒りや困惑は感じないが、代わりに真意を察するのも難しい。

「私に心が揺らしているのが、愛らしくて堪らない。不謹慎だが、許してほしい」
(俺が情けなさ過ぎて、保護欲拗らせてるのかな。それなら過保護の説明つくし)

これは手の掛かる愛玩動物ほど可愛いと感じる、飼い主特有の心理なのだろうか。
そう解釈すると、今度は彼に擦り寄る罪悪感が薄れていく。

(近いうちに離れなきゃいけないって、そうしないと後悔するって分かってるのに)

思考と感情が一致せず、言動も行動も支離滅裂に陥っていく。
打算に服従しきれず、誠実に向き合える訳でもないのに。

(心が、潰れそうだ)

全てが中途半端で、自分の見苦しさに嫌気が差しても、解決方法は浮かばない。
だから条件付きの優しさに抗えず、無力に縋り続けるしかなかった。



喫茶店には酷い迷惑を掛けてしまったが、今度は屋内の隔離庭園を用意してくれた。
そこは給仕役の店員しか出入りできず、もう気に病む事はないと思っていたのに。

「カリタス様、また呼び出しでございます。一応連絡しましたが、追い返しますか」
「いや、私が対応しよう。君たちの仕事に、こんなものは入っていないだろう」

カリタスが喫茶店に入り浸っている事が知れて、待ち伏せが増えてしまっていた。
店側も邪険には出来ず、無駄な仕事が増えた結果アルランネさんも疲弊している。

「まだ時間が残っているはずだから、リベラはここで待っていてくれるか」
「もちろん。お菓子食べながら、のんびりしてるよ」

数少ない安寧の地を守るべく、カリタスも仕方なしに立ち上がる。
そして俺も騒動を避ける為、この閉ざされた部屋で隠れ待つことになっていた。

「では、追加で注文を頼む。会計は好きにしてくれて構わない」
「承知いたしました。未発表商品を、特別にお出し致しましょう!」

 金払いが良い顧客を逃がしたくない喫茶店側は、愛想良く特別対応を行っている。
だが平等に扱われれば休息の場も持てないから、心底ありがたい配慮でもあった。



応対に手間取っているのかカリタスは戻らず、代わりに店員が銀盆を携え入室する。
だが普段とは違う雰囲気を感じ、俺は椅子から体を離して警戒し始めた。

「お待たせいたしました。ご注文になられました、新発売の焼き菓子でございます」
(あれ、この人は見たことないな。大体の店員さんは分かるのに)

俺達は下手な店員よりも入り浸っているから、顔見知りも実は多い。
だが特殊な客でもあるから、初回は紹介を経るのが暗黙の了解でもあった。

ひいては店側も、俺達の対処方法を説明されているはずなのに。

「俺、花を混ぜてないお菓子は無理なんだけど。あと未発表品だって聞いてないの」

受け付けないお菓子が多い俺は、裏で確認を行ってから必ず提供にまわされる。
つまり事情を知らないコイツは、店が把握していない部外者で確定だった。

そして証拠を提示すると、身元不明の店員は化けの皮を剥ぎ取っていく。

「淫魔風情が頭をまわしやがって。怪我したくなきゃ大人しくしろ、これは警告だ」
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