異世界人と学ぶ社畜の人生哲学

アルペン

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理不尽と要求

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「ここは...」

タケルは呟いた。
やけに響くそこは、広大な宮殿を思わせ所々に金を施し頭上には巨大なシャンデリアがギラギラと存在感を放つ。

「ようこそ!勇者様!」

そう甲高い声で言い放つ存在に目を向ける。そこには、金の王冠を付け煌びやかなドレスに身を包む金髪ロングの美女が居た。

そんな事よりこの娘が放つ言葉に動揺を隠せないのが、タケルだった。
現代社会で仕事に疲れた帰り道だった筈がこの現実離れした場所に突如移動した。そして、「勇者様」その単語に動揺が隠せずワナワナと震えてしまう。

「あ、貴方は?」
そう聞かずには居られなかった。
タケルは震える声で聞くと

ニッコリ

そう擬音が聞こえてきそうな程に素晴らしい笑顔で
「自己紹介がまだでしたね!」

クルッと一回転、ドレスが放つ光を撒き散らしながらストンっと言い放つ
「私はこの、アイキュルト帝国第3王女せルミアですわ!そして、この帝国に襲ってくる魔王を討伐して貰う為に召喚しました!」

魔王、帝国?第3王女?

あまりに現実離れした単語の数々は社畜として生きたタケルにはパニックを起こすには十分な材料であり、実際タケルは頭が整理出来ないで居た。

「あの、大丈夫ですか?」

そう顔を近づかせる娘にタケルは1つの疑問をぶつけた。

「何故、俺なんだ?」

実際タケルはそれが疑問だった。
話しぶりからすれば、その強大な魔王を倒したいならこんなひょろひょろな俺じゃなくても、そう思うのは自然な事だ。

「それは分かりません!」

は?
自信満々に応える娘にタケルは目を丸くして、固まった。

「召喚は召喚の神様が選ぶので私達下界の人間には知る由もないのです!」

エッヘンと応える娘にタケルは失望した。この世界の王女は、ここまで理不尽に。

「ならば、言わせて貰う」

「はい?」
コテンッと首を傾げる娘にタケルは目を鋭くして言い放つ。

「ならば、実行者の責任はどうなる」

その言葉は、罰する様な強い表現だった。
「実行者?」
娘は更に首を傾げて疑問を露呈した。

「そうだ、実行者だ。神が選ぶなら選ばれた責任は神が持つべきだ。だが、神は選ぶだけで実行の決定権は貴方だ。実行をした責任は貴方が持つべきだろう」

そう言われて、娘は合点がいったのか笑顔を浮かべながら自信満々に応えた。

「それなら勿論!私達は責任を取り貴方に装備の提供を」
「ならば、俺を危険な戦闘に駆り出そうとしてるのは何故だ」

「え、はい?」
心底不思議、そんな顔をしてるのは娘でありタケルはさも当然とばかりに堂々としている。娘は困惑しながらも身振り手振りで説明を始める。

「えっとですね、私達は国が滅びそうなんです!ならば、召喚して勝てない相手を倒して貰おうとするのは当然でしょう!」
「ああ、確かに。勝てない相手だろうが自身が危険な状況に陥ればそこに抵抗の権利はある」

「ならば!」

「だが、俺がその危険な戦闘に参加しなければいけない義務は無いだろう」

タケルは戦いたく無かった。
タケルは続けて言い放つ。

「俺を勝手に召喚して、自身の防衛に装備を与えて戦えとはあまりに理不尽極まりない。」
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みんなの感想(1件)

とめきち
2019.06.15 とめきち

そりゃそうだ。
その気になって、魔王退治に向かうなんて、アホのすることだ。

解除

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