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8.神さまと一緒の生活が始まる

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「おはよっ! 今日からアキラと一緒だね!」
 
 3柱の神様が神の国に帰ってから、コノハはご機嫌だ。
 やっと自由になった、と喜々している。

 神様は階級があるが、1人1人役割が異なる。
 天照大神様は三貴神の1人。神の国の主であり、太陽神。コノハのことを可愛がっている。
 寿老人様は、七福神の1人であり、コノハのことを可愛い孫だと思っているようだ。
 思兼神様は、知恵を司る神。神の法を管理する役目があり、コノハのことを心配している。

 だが、巻き込まれた僕は違う。
 
 もう、神さまとは見ないわっ! 天照大神様から畏まなくてもいいって、おっしゃったことだし。
 コノハは居候の1人として、みることにした。
 
「いいよ! 畏まるとあたし、窮屈きゅうくつだよ! 普段のアキラで、いてくれると嬉しいからっ!」
 
 なっ! 何で、僕の心を読めるっ。
 
 そう思った時、コノハの腹からグ──と鳴り始めた。
 恥ずかしそうに腹を手で押さえたコノハは僕を見つめては、おねだりした。
 
「アキラ。朝ごはん、食べたいな」
 
 神でも、腹が減るのか。
 やれやれと呆れかえった僕は、コノハに1つ提案した。
 
「朝ごはんを作ろうか。目玉焼きとごはんでいいかな?」
 
「いいよっ! 楽しみっ!」
 
「じゃあ、待っててね」

 早速、台所に移ろうと思ったとたん……。

 ──ピンポーン。

 またもや、インターホンが鳴る。
 
 また、神様が訪問しにきたのかな?
 
 ドアスコープから眺めると、アパートの大家さんだった。
 玄関ドアを開けて、挨拶しようとしたが、大家さんはなぜかムスっとしていて機嫌悪そうだった。
 
「アキラさん、近所迷惑になっています。これ以上、騒音を出されるようでしたら退去させていただきます。
 迷惑をかけないと約束するなら、始末書を書いてください。書かないのであれば、1か月以内に退去してください」

 立ち退きを告げられた僕は、冷や汗をかいた。
 
「す……すみません。気を付けます」と深く頭を下げた。

「…………」

 大家さんが手に持っている始末書を、僕に手渡そうとする。無言の圧力を浴びながら、始末書を受け取った。
 注意した大家さんは苦虫を噛み潰したように再び睨み、玄関ドアを勢いよくバタンと閉めた。

 始末書を手に持った僕は、ブルブルと震えた。コノハ! おまえ! 迷惑千万じゃないか! と言いたい気持ちだ。
 だが、コノハはテレビをずっと見ていた。
 相変わらず、ん? どうしたの? と顔に浮かべていた。

 この先、思いやられそうだ。
 
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