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キス
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「れ、れっ、れんしゅっ……!?」
「そうだよ、何事も初めから上手くはいかないからね。何度も練習して、経験を積むことが大事なんだよ?」
おにいさんはさも当然のことのように続けた。耳に生あたたかい息が吹きかかり、背中にぞわぞわしたものが走る。
「で、でもっ……」
「またさっきみたいな雰囲気になった時に、今度はうまく出来るように練習しなくちゃ」
「ね?」と優しい声でうながされて、ぼくはどう答えていいかわからなくなる。
「で、でも、でも、ぼくもおにいさんも、男だよ?」
「練習なんだからいいじゃない。唇自体は男も女も変わらないよ?」
おにいさんの指先が、触れるか触れないかの力加減でぼくの下唇をゆっくりとなぞる。
(く、くすぐったい……なんか、ぞわぞわして、ヘンな感じ……)
「ね? アオイくん……」
甘えるような声で名前を呼ばれて、じんと頭がしびれた。
頬に手をそえられ、ぼくはすぐ近くにあるおにいさんの顔を見上げた。ふわりと甘い匂いが鼻をくすぐって、くらくらっとめまいがする。
「うん……」
なんだか頭がぼんやりしてきて、ぼくは言われるままにうなずいていた。おにいさんは笑みを深め、ぼくの頬を優しくなでてくれる。
「素直なイイ子だね……おにいさん、君みたいな子、大好きだよ……♡」
そう言って、顔を近づけてくる。ぼくはおにいさんの長いまつげをドキドキしながら見つめた。
「こうやってね、お鼻がぶつからないように少し顔を傾けて、ゆっくり顔を近づけていって……」
おにいさんが何かしゃべる度にあたたかい吐息が顔にかかり、いい匂いがふわっとただよう。
「薄目を開けて、相手の唇の位置を確認して……」
おにいさんの唇はもう、すぐそこまでせまっていた。ぼくは思わずギュッと目を閉じる。
「ふふ、そう……唇が触れあう時には目を閉じて」
そして、フニッと唇にやわらかなものが押し当たる感触。
(こ、これが……キス……)
ふれあった唇を通じて、おにいさんのぬくもりや息づかいをすぐ近くに感じた。恥ずかしくて、ドキドキして、心臓が破裂しそうなのに、なんだかうれしいような、ふわふわと体が浮きあがるような感じもする……。
少しして離れていったぬくもりにちょっと惜しい気持ちになりながら、ぼくは目を開けておにいさんを見上げた。
「ね、簡単でしょ」
おにいさんがそう言ったけど、ぼくは生まれて初めてのキスの感覚をかみしめるのに夢中で、あまり聞いていなかった。
「さ、もう一回しよっか」
「えっ……んぷっ」
近づいてきたおにいさんの唇が、もう一度ぼくのものに重なる。今度はチュッと音を立てて。
(わ、なんか、恥ずかしい音っ!)
しかも、さっきみたいにただくっつけるだけじゃなく、チュッ、チュと音を立てて、ついばむように何度も吸いついてくる。
(う~、は、はずかしい……)
ぼくが固まっていると、おにいさんはフフッと小さく笑うような吐息をこぼして、今度はムニュッと唇を強く押しつけてきた。
「んむっ!? ンッ、んふっ……」
思わず後ろに傾いた頭を、おにいさんの手に支えられる。そのままぴったりくっついた唇をモニュモニュとこねるように押しつけられ、ぼくは息苦しさにうめき声をもらした。
「んんっ、むっ、んうぅ~っ……ぷはっ!」
「息は止めなくても大丈夫だよ? お口が塞がってるときは、鼻で呼吸すればいいの」
ハアハアと息を切らすぼくに、おにいさんがさとすように言う。言われてはじめて、無意識のうちに自分が息を止めていたことに気がついた。
「リラックス、リラックス」
こわばった口の端に、おにいさんがチュッチュッとキスをする。少し力が抜けたところに、上唇をパクッとはさみ込まれた。そのままはむはむとついばまれ、ぼくは反射的におにいさんの下唇に吸いついた。
「ん……そう、その調子」
おにいさんがキスをしながらぼくの頭をよしよしとなでる。ぼくはなんだかちょっとうれしくなって、おにいさんがしてくれたみたいに、自分から唇を押しつけてチュッ、チュッと音を立てて吸いついた。はじめはおそるおそる、慣れてきたら少し大胆に。
(おにいさんの唇……やわらかい……)
ふれあう粘膜のやわらかさと、あたたかな吐息、鼻にぬける甘い香り……いつしかぼくは、それらに夢中になっていた。
「ん……ふ……アオイくん、上手だね」
おにいさんは微笑んで、また頭をなでてくれた。ほめられるのがうれしくて、思わず口もとがゆるんでしまう。
「優秀なアオイくんなら、もっと大人のチューも出来ちゃうかな?」
「おとな……?」
ぼくが首をかしげると、おにいさんは目を細めてドキッとするような笑みを浮かべた。
「そ。もっとエッチで、とろとろになっちゃう、気持ちぃキス……」
ささやいて、ぼくの唇を舌でペロッとなめる。
「ふぇっ!?」
「大人のキスはね、ベロを使うんだよ?」
「べろ……」
(さっきもすごく気持ちよかったのに……あれよりも気持ちいい、大人のキス……)
ぼくは想像して、こくりとツバを飲み込んだ。
「そうだよ、何事も初めから上手くはいかないからね。何度も練習して、経験を積むことが大事なんだよ?」
おにいさんはさも当然のことのように続けた。耳に生あたたかい息が吹きかかり、背中にぞわぞわしたものが走る。
「で、でもっ……」
「またさっきみたいな雰囲気になった時に、今度はうまく出来るように練習しなくちゃ」
「ね?」と優しい声でうながされて、ぼくはどう答えていいかわからなくなる。
「で、でも、でも、ぼくもおにいさんも、男だよ?」
「練習なんだからいいじゃない。唇自体は男も女も変わらないよ?」
おにいさんの指先が、触れるか触れないかの力加減でぼくの下唇をゆっくりとなぞる。
(く、くすぐったい……なんか、ぞわぞわして、ヘンな感じ……)
「ね? アオイくん……」
甘えるような声で名前を呼ばれて、じんと頭がしびれた。
頬に手をそえられ、ぼくはすぐ近くにあるおにいさんの顔を見上げた。ふわりと甘い匂いが鼻をくすぐって、くらくらっとめまいがする。
「うん……」
なんだか頭がぼんやりしてきて、ぼくは言われるままにうなずいていた。おにいさんは笑みを深め、ぼくの頬を優しくなでてくれる。
「素直なイイ子だね……おにいさん、君みたいな子、大好きだよ……♡」
そう言って、顔を近づけてくる。ぼくはおにいさんの長いまつげをドキドキしながら見つめた。
「こうやってね、お鼻がぶつからないように少し顔を傾けて、ゆっくり顔を近づけていって……」
おにいさんが何かしゃべる度にあたたかい吐息が顔にかかり、いい匂いがふわっとただよう。
「薄目を開けて、相手の唇の位置を確認して……」
おにいさんの唇はもう、すぐそこまでせまっていた。ぼくは思わずギュッと目を閉じる。
「ふふ、そう……唇が触れあう時には目を閉じて」
そして、フニッと唇にやわらかなものが押し当たる感触。
(こ、これが……キス……)
ふれあった唇を通じて、おにいさんのぬくもりや息づかいをすぐ近くに感じた。恥ずかしくて、ドキドキして、心臓が破裂しそうなのに、なんだかうれしいような、ふわふわと体が浮きあがるような感じもする……。
少しして離れていったぬくもりにちょっと惜しい気持ちになりながら、ぼくは目を開けておにいさんを見上げた。
「ね、簡単でしょ」
おにいさんがそう言ったけど、ぼくは生まれて初めてのキスの感覚をかみしめるのに夢中で、あまり聞いていなかった。
「さ、もう一回しよっか」
「えっ……んぷっ」
近づいてきたおにいさんの唇が、もう一度ぼくのものに重なる。今度はチュッと音を立てて。
(わ、なんか、恥ずかしい音っ!)
しかも、さっきみたいにただくっつけるだけじゃなく、チュッ、チュと音を立てて、ついばむように何度も吸いついてくる。
(う~、は、はずかしい……)
ぼくが固まっていると、おにいさんはフフッと小さく笑うような吐息をこぼして、今度はムニュッと唇を強く押しつけてきた。
「んむっ!? ンッ、んふっ……」
思わず後ろに傾いた頭を、おにいさんの手に支えられる。そのままぴったりくっついた唇をモニュモニュとこねるように押しつけられ、ぼくは息苦しさにうめき声をもらした。
「んんっ、むっ、んうぅ~っ……ぷはっ!」
「息は止めなくても大丈夫だよ? お口が塞がってるときは、鼻で呼吸すればいいの」
ハアハアと息を切らすぼくに、おにいさんがさとすように言う。言われてはじめて、無意識のうちに自分が息を止めていたことに気がついた。
「リラックス、リラックス」
こわばった口の端に、おにいさんがチュッチュッとキスをする。少し力が抜けたところに、上唇をパクッとはさみ込まれた。そのままはむはむとついばまれ、ぼくは反射的におにいさんの下唇に吸いついた。
「ん……そう、その調子」
おにいさんがキスをしながらぼくの頭をよしよしとなでる。ぼくはなんだかちょっとうれしくなって、おにいさんがしてくれたみたいに、自分から唇を押しつけてチュッ、チュッと音を立てて吸いついた。はじめはおそるおそる、慣れてきたら少し大胆に。
(おにいさんの唇……やわらかい……)
ふれあう粘膜のやわらかさと、あたたかな吐息、鼻にぬける甘い香り……いつしかぼくは、それらに夢中になっていた。
「ん……ふ……アオイくん、上手だね」
おにいさんは微笑んで、また頭をなでてくれた。ほめられるのがうれしくて、思わず口もとがゆるんでしまう。
「優秀なアオイくんなら、もっと大人のチューも出来ちゃうかな?」
「おとな……?」
ぼくが首をかしげると、おにいさんは目を細めてドキッとするような笑みを浮かべた。
「そ。もっとエッチで、とろとろになっちゃう、気持ちぃキス……」
ささやいて、ぼくの唇を舌でペロッとなめる。
「ふぇっ!?」
「大人のキスはね、ベロを使うんだよ?」
「べろ……」
(さっきもすごく気持ちよかったのに……あれよりも気持ちいい、大人のキス……)
ぼくは想像して、こくりとツバを飲み込んだ。
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