臭いモノには花

プロローグ

【プロローグ】

たった十日。


たった十日の出来事である。



私には、自身に未だ何が起こったかを把握出来ていなかった。

いや、このような出来事を受け入れる事の方が極めて難しい。



若しこの一連の出来事を他人に伝えたとしても間違いなく信じては頂けないだろう。
「そんな可笑しな話があってたまるか！」そう言って笑うに違いない。


それ程までにこの噺は奇怪、かつ恐ろしいのだ。


何がそんなに怖いのかって？そりゃあ「全員が正しく」行動をしていることだ。本当の正解なんて誰にもわかりゃしないが、私たちは皆「自分の行動は正しかった」と決して信じては止まない。


…。


ほら、言ってみた通りだ。
きっと今目の前のお前は今の言葉でさえ判っちゃいない。


「事実は小説より奇なり」。


誰が最初に言った言葉だ？
的を射ている。


ひとりひとりの持つ小さな歯車が嚙み合わさった時、嚙み合わさってしまった時。其処に広がった光景はとんでもなく悍ましい結末へ変化する。